「アトピー性皮膚炎」の原因はご存じですか? “アレルギー体質”だとなりやすいって本当?【医師解説】

花粉症や食物アレルギーなど、いわゆる“アレルギー体質”と呼ばれる人は、「アトピー性皮膚炎」になりやすいと言われています。一体、なぜ発症しやすいのでしょうか? また、どのように対処すればいいのかも気になるところです。「ぶん皮膚科クリニック」の文先生に解説してもらいました。
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監修医師:
文 省太(ぶん皮膚科クリニック)
アレルギー体質だとアトピー性皮膚炎になりやすい?

編集部
アレルギー体質の人は、アトピー性皮膚炎になりやすいのですか?
文先生
アレルギー体質の人は、アトピー性皮膚炎を発症しやすい傾向があります。花粉症や喘息などのアレルギー疾患を持つ人は、皮膚の免疫反応も過敏になりやすく、かゆみや湿疹が出やすいのです。ただし「必ず発症する」というわけではなく、体質に加えて生活環境やスキンケアの状態も影響します。
編集部
アレルギー体質だからといって、必ずアトピー性皮膚炎になるわけではないのですね。
文先生
はい、必ずアトピー性皮膚炎になるわけではありません。アレルギー体質はあくまで「なりやすい土台」を持っているに過ぎません。実際には生活習慣や環境要因の方が、発症に与える影響は大きいと考えられます。
編集部
そもそも「アレルギー体質」とはどういうことですか?
文先生
アレルギー体質とは、花粉や食べもの、ホコリなど、本来なら害のないものに対して体の免疫が過剰に反応してしまう体質のことです。くしゃみやかゆみ、湿疹などが出やすく、症状の出方によって花粉症やアレルギー性鼻炎、食物アレルギーなど様々な種類があります。
編集部
アトピー性皮膚炎は遺伝と関係があるのでしょうか?
文先生
家族にアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患がある場合、発症リスクが高まると知られています。ただし、環境や日常生活で大きく左右されるので、親がアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患があるからといって、子も必ずそうなるわけではありません。
アレルギー体質だとアトピー性皮膚炎になりやすい原因

編集部
なぜ、アレルギー体質だとアトピー性皮膚炎になりやすいのですか?
文先生
アレルギー体質の人は、免疫が本来無害な物質にも過敏に反応して炎症を起こしやすい特徴があります。さらに皮膚のバリア機能が弱いことが多く、乾燥や刺激物が入り込みやすいため、かゆみや湿疹につながります。この2つが重なることで、アトピー性皮膚炎を発症しやすくなるのです。
編集部
皮膚のバリア機能とはなんですか?
文先生
皮膚には水分を保持し、外からの刺激を防ぐ役割があります。アレルギー体質の人はこの機能が弱く、肌が乾燥しやすい傾向があります。そのため外部からのアレルゲンや細菌が入り込みやすく、炎症やかゆみを引き起こしやすくなるのです。
編集部
免疫の過敏さは、どのように関係するのでしょうか?
文先生
アレルギー体質の人は、花粉やホコリ、食べものなど本来害のないものにも免疫が「異物」として反応し、炎症を起こします。皮膚にその反応が強く出ると湿疹や赤み、強烈なかゆみとして表れ、これがアトピー性皮膚炎の症状につながります。
編集部
ストレスや生活習慣も関係するのですか?
文先生
ストレスや睡眠不足、食生活の乱れは、自律神経やホルモンのバランスを崩して免疫をさらに不安定にします。そのほか、不規則な生活やハウスダスト、過度な乾燥などの要素もアレルギー反応をさらに悪化させます。アレルギー体質という土台に、こうした要素が加わることでアトピー性皮膚炎の症状が出やすくなるのです。
アレルギー体質の人がアトピー性皮膚炎にならないよう生活で気をつけるべきこと

編集部
アトピー性皮膚炎を予防するために、日常生活でできることはなんですか?
文先生
まずはスキンケアが大切です。毎日の保湿で皮膚のバリア機能を守りましょう。刺激の強い石けんや熱いお湯を避け、低刺激の保湿剤でこまめにケアすることが大切です。また、汗や汚れを放置しないことも予防につながります。
編集部
食生活で気をつける点はありますか?
文先生
体の免疫細胞の多くが腸に集まっており、いわゆる善玉菌は炎症を抑える物質を作り出し、アレルギーの暴走を防ぐ働きをしています。そのため、腸内環境は免疫機能を正常に保つために重要です。バランスの取れた食事を心がけ、腸内環境を整えることを意識しましょう。
編集部
そのほかに気をつけることがあれば教えてください。
文先生
食物アレルギーが疑われる場合は、自己判断せず医師に相談するようにしましょう。また、ビタミン・ミネラルを含む野菜や良質なタンパク質をしっかり摂ることで、皮膚の健康を支えます。ほかにも、アトピー性皮膚炎を放置すると食物アレルギーの発症リスクが高まるので、しっかり対策を取るようにしましょう。
編集部
生活環境で注意するポイントは?
文先生
ハウスダストやダニ、花粉などのアレルゲンを減らす工夫が必要です。寝具を清潔に保ち、部屋の換気や掃除をこまめにおこないましょう。タバコの煙やペットの毛も刺激になるため、家庭内でできる工夫を積み重ねることが重要です。
編集部
ストレスとの付き合い方はどうすればいいですか?
文先生
ストレスは症状を悪化させる大きな要因です。適度な運動や趣味の時間を持ち、気分を切り替える工夫をしましょう。睡眠をしっかりとり、心身を休めることも免疫の安定につながります。無理をせず、自分のペースで生活を整えることが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
文先生
アトピー性皮膚炎の治療は、まずしっかりとした保湿で肌のバリア機能を整えることが基本です。そのうえで、湿疹が出ている部位には症状の程度などに応じてステロイド外用薬や非ステロイド外用薬を用います。湿疹病変を適切にコントロールすることが、かゆみや悪化を防ぐだけでなく、アトピー以外にもほかのアレルギー疾患の発症リスクを減らすことにもつながります。困っていることがあれば、ぜひ皮膚科に相談してください。
編集部まとめ
アトピー性皮膚炎は強烈なかゆみが特徴で、場合によっては日常生活に支障が生じることもあります。しかし、環境を整えたり、生活習慣を見直したりすることで発症のリスクを下げたり、症状を軽減したりすることは可能とのことでした。ほかのアレルギー疾患を引き起こさないためにも、医師に相談しながらしっかりアレルギー対策をおこないましょう。
医院情報

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