子どもの「鼻水」や「せき」は風邪? 花粉症? 見分け方と受診の目安を小児科医が解説

子どもの鼻水やせきが止まらないとき、春や秋であれば「花粉症かな? それとも風邪?」と迷う親は多いのではないでしょうか? 両者は経過が異なるため、正しく鑑別する必要があります。風邪と花粉症の見分け方について、おおやまこどもクリニック院長の大山伸雄先生(日本小児科学会小児科専門医)に話を聞きました。
※2025年4月取材。

監修医師:
大山 伸雄(おおやまこどもクリニック)
子どもの鼻水やせきが止まらない原因とは?

編集部
子どもの鼻水やせきが止まらない原因としては、どのような疾患が考えられますか?
大山先生
ウイルスなどの感染症や花粉症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などが考えられます。
編集部
さまざまな原因が考えられるのですね。
大山先生
はい。せきや鼻水など表れる症状は似ていても、それぞれの疾患ごとに特徴があります。風邪の場合はせきや鼻水に加えて、発熱や倦怠感などの症状が表れます。花粉症では鼻づまり、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が出ます。アレルギー性鼻炎では発熱や倦怠感などの全身症状は基本的に認められません。
編集部
症状の違いによって疾患を鑑別できますか?
大山先生
ある程度は可能です。花粉症やアレルギー性鼻炎であれば、発熱や倦怠感などの全身症状は認めにくい傾向にあります。正確に診断するためには、検査が必要です。例えばアレルギー性鼻炎の場合は、ハウスダストや花粉、カビ、ペットの毛などがアレルゲン(アレルギーの原因物質)となって発症するケースが多いため、血液検査で原因を調べます。
編集部
どのくらい症状が続いたら、診察を受けたほうがよいのでしょうか?
大山先生
食事がとれない、ミルクが飲めない、夜眠れないなど、日常生活に支障をきたしている場合は治療が必要な段階のため、受診をおすすめします。症状がそこまで悪化していなくても、困った症状があれば、いつでもかかりつけの小児科医に相談してください。
風邪と花粉症の見分け方

編集部
最近、子どもの花粉症が増えているというのは本当ですか?
大山先生
はい。調査によっては、5~9歳の子どもにおける花粉症の有病率は約30%、10代では約半数にのぼると報告されています。つまり2人に1人は花粉症という割合です。1998年に実施された過去の調査では、10代の有病率は20%程度でした。この数値からも、年々有病率が上がっていると分かります。
編集部
なぜ、花粉症の子どもが増加しているのでしょうか?
大山先生
花粉の飛散量増加や大気汚染などの環境変化、アレルギー体質の遺伝や鼻粘膜の機能低下などを原因として、花粉症を発症する子どもが増加していると考えられています。
編集部
花粉症とアレルギー性鼻炎の違いは何ですか?
大山先生
花粉症はアレルギー性鼻炎の一種です。アレルギー性鼻炎には通年性と季節性があります。通年性の原因にはハウスダストやカビ、ペットの毛などがあります。一方、季節性の代表的な疾患が花粉症です。
編集部
花粉症と風邪を見分けるポイントを教えてください。
大山先生
両者は症状の出方が異なります。花粉症の場合、鼻水は透明でサラサラしています。一方、風邪の場合は、黄色みがかっていて、粘り気のある鼻水が出る傾向があります。
編集部
鼻水以外にも違いはありますか?
大山先生
全身症状の有無が異なります。花粉症の場合は鼻水や目のかゆみなどの症状を伴うケースが多いものの、全身の健康状態は比較的良好に保たれます。一方、風邪の場合は鼻水に加えて、発熱や喉の痛み、全身倦怠感などさまざまな症状が表れます。
編集部
さらに見分けるポイントはありますか?
大山先生
せきの出方もポイントです。風邪のときはせきが目立つケースが多い一方、花粉症ではあまり目立たない傾向にあります。花粉症でせきが出る場合でも、花粉が気道粘膜を刺激して生じる、痰を伴わない乾いたせきが中心です。一方、風邪では痰が絡んだゴホゴホとした湿ったせきが多くみられます。
子どもの風邪や花粉症をどう治すか?

編集部
風邪か花粉症か区別がつかない場合は、どのように対応するのでしょうか?
大山先生
基本的に、風邪も花粉症もつらい症状を抑える対症療法を行う点では共通しています。そのため、どちらの場合も子どもの年齢に合わせてシロップや粉薬、錠剤などを処方します。
編集部
風邪か花粉症か、区別する必要はないのでしょうか?
大山先生
予防の観点から区別は重要です。花粉症の場合、毎年同じ時期に同じような症状が表れるため、症状が出始めた段階で治療薬の使用を開始し、症状の悪化を防ぎます。そのため、花粉症が疑われる場合はアレルギー検査を実施し、適切な治療へつなげます。
編集部
アレルギー検査はどのように実施するのでしょうか?
大山先生
近年では、指先からの少量の採血により、比較的短時間で結果が判明する検査方法を用いています。従来の検査は腕からの採血を実施し、結果判明までに数日から1週間程度要していました。しかし、新しい検査法は採血量が少ないため子どもにも実施しやすく、花粉症などのアレルギーが疑われる場合の評価に有用です。
編集部
風邪でも薬を使う必要はありますか?
大山先生
発熱やせきなどの症状が強い場合は、解熱剤やせき止めなどの対症療法として薬を使用します。ただし、風邪は主にウイルスによる感染症のため、原則として抗菌薬(抗生物質)は不要です。まずは安静にし、十分な水分補給と栄養摂取を心がけてください。多くの場合、風邪は自然に回復するため、症状や年齢に応じて必要最小限の薬を使用する方針が一般的です。
編集部
最後に読者へのメッセージをお願いします。
大山先生
子どもが風邪なのか花粉症なのかは、発熱や全身のだるさの有無、鼻水の性状やせきの出方などを観察すれば、ある程度の見分けは可能です。ただし、正確な診断には医師の診察が欠かせません。「風邪か花粉症か判断できない」「症状が長引いて心配」と感じた際は、早めにかかりつけの小児科へ相談することをおすすめします。
編集部まとめ
子どもは鼻水やせきが止まらないなど、風邪に似た症状を示すケースが多くみられます。しかし最近は花粉症の子どもも増えており、花粉症の場合は症状が表れる前から治療薬を服用し、ある程度症状を予防・軽減することが可能です。鼻水やせきで困っている際は、一度かかりつけの小児科へ相談してください。
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