肥満が気になる人必見! 無理なく効率的にダイエットするコツを医師が解説!

「ダイエットに大切なのは生活習慣を見直すこと」とよく耳にしますが、「具体的に、何を見直せばいいのか?」と、悩んでいる人も多いかもしれません。ここではダイエット治療のプロである肥満外来がどのように生活習慣の見直しをサポートしているか解説します。「中島内科クリニック」の中島先生に教えていただきました。

監修医師:
中島 茂(中島内科クリニック)
肥満外来とは?

編集部
「肥満外来」とは、どういったところですか?
中島先生
医療機関において医療や運動、栄養の専門家がダイエットを指導する外来を、肥満外来と言います。無理なく、効果的に減量が実現できるとして、現在、注目を集めています。
編集部
エステでおこなうダイエットなどと、どう違うのですか?
中島先生
一番大きな違いは、指導する人が医療などの専門家である点です。エビデンスに裏付けされた医学的なアプローチによってダイエットを指導するので無理なく、効率よくダイエットを実現できるのがエステなどとの違いです。
編集部
どんな人が治療の対象になるのですか?
中島先生
太っていることに悩んでいる人ならどなたでも対象になりますが、特におすすめなのは肥満や高度肥満の人です。日本における肥満や高度肥満の基準は、日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」に則って診断され、BMI25~35未満の場合を「肥満」、35以上の場合を「高度肥満」と呼びます。肥満や高度肥満の人は糖尿病などを合併しやすいので、ダイエットによって効果的に減量を進める必要があります。
編集部
そのほかには、どんな人に肥満外来はおすすめですか?
中島先生
これまで自己流のダイエットを続けてきたけれど、いつも途中で失敗するという人にもおすすめです。また、「体重は減るものの、すぐにリバウンドしてしまう」という人も、ダイエットのやり方が間違っているのかもしれません。その場合も肥満外来で正しい減量方法を学ぶことをおすすめします。
肥満外来における予防医療とは?

編集部
肥満外来では、どのようなことをするのですか?
中島先生
医療機関によって治療の流れは異なると思いますが、一例として当院ではまず無料カウンセリングをおこないます。ドクターやダイエットアドバイザーと面談し、いつ頃から肥満になったのか、現在の食事内容、運動習慣などを細かく確認します。その後、治療に進むことになった場合には、血液検査や尿検査、心電図検査、インボディによる脂質や筋肉量などの測定をおこないます。
編集部
様々な検査をおこなうのですね。
中島先生
はい。それから当院の場合には、血糖値がどれくらい上昇するか、インスリンの分泌脳が異常を示していないかなどを調べる「糖負荷試験」という検査もおこないます。糖負荷試験により糖尿病を発症していないか、その兆候がないかを調べることができます。これらのメディカルデータをもとに、個々に合わせた最適なダイエットプランを考えます。
編集部
具体的には、どのようなことをするのですか?
中島先生
減量で重要なのは、食事と運動です。まず食事においては管理栄養士など専門家とともに、現在の食事内容を振り返り、食べ過ぎていないか、必要な栄養素が不足していないか、食事の時間は適切かなどを見直します。
編集部
管理栄養士と一緒に振り返るのですね。
中島先生
理想的な食事は一人ひとり異なり、ある人には1日3食がいいけれど、ある人には1日2食がいいなど個人差があります。そのため、試行錯誤しながらご自分に適した食事スタイルを見つけていきます。
編集部
まずは現在の食事内容を見直すことが重要なのですね。
中島先生
「どれだけ食事量を制限すべきか」に対する考え方は、「その人の活動量やライフスタイル、体格、年齢などに応じて1日の摂取エネルギー量を計算し、その範囲内に摂取量を抑える」と「脂肪とタンパク質は摂ってもいいけれど、糖質だけは制限した方がいい」の2つがあります。糖質は肥満につながりやすいことから、現在では後者の意見を唱える専門家も増えています。ただし、どちらの食事スタイルが向いているかは人によって異なるので、実際には色々なパターンを試しながら、自分に合ったスタイルを探ります。
編集部
運動ではどのようなことを指導するのですか?
中島先生
現代人は圧倒的に運動不足の人が多いので、現在どれくらい運動しているかなどを確認した後、無理なく始められる運動メニューを提案します。ダイエットに効果的な運動でも継続できなければ意味がありません。そのため、その人のライフスタイルなどを考慮しながら、無理なく続けられるメニューを考えています。
編集部
そのほか、見直すべき生活習慣はありますか?
中島先生
健康的にダイエットをするには睡眠も重要です。研究により、睡眠不足の人は肥満になりやすいことがわかっています。現在どれくらい睡眠がとれているか、睡眠の質はどうかなどを問診で確認しながら、質の良い睡眠が取れるように促していきます。
編集部
肥満外来でのダイエット効果は、だいたいどれくらいから実感できますか?
中島先生
肥満の程度にもよりますが、早い人だと1週間~1カ月で効果を実感できるのではないかと思います。もしそれでも効果が実感できないようなら、やり方を見直す必要があります。ただし、これまで蓄積してきた生活習慣を改めるのは、短期間では困難です。長期的な視点で、コツコツと続けることが必要であり、そのためには医師や管理栄養士などの専門家と二人三脚で取り組むことが有効なのです。
肥満外来での予防医療とは?

編集部
肥満外来は、予防医療としての側面もあると聞きました。どういう意味でしょうか?
中島先生
予防医療とは、「病気になってから治療をする」のではなくて、「病気を発症しないように予防する」ことを目的とした医療のことを言います。予防医療を講じることで、QOLを向上させたり、慢性疾患を予防できたり、健康寿命を長く伸ばしたりといった効果が期待できます。肥満外来での治療も「痩せる」「体重を落とす」ことだけを目的にするのではなく、肥満を原因として発症する疾患を予防を目的としています。そのため、肥満外来での治療は予防医療の側面を持っているのです。
編集部
肥満を原因としてどのような疾患を発症するリスクがあるのですか?
中島先生
肥満と関係が深い疾患に、生活習慣病があります。生活習慣病とは高血圧や糖尿病、脂質異常症など、生活習慣が発症や進行に関係する疾患の総称です。生活習慣病は自覚症状がなく、放置すると命のリスクになることがあります。そのため、予防と早期発見に努めることが必要なのです。
編集部
ダイエットをすることで生活習慣病を予防することができるのですか?
中島先生
生活習慣病は食事、運動、喫煙、飲酒、睡眠など日常的な行動と深い関わりを持っています。無意識に積み重ねたそれらの行動が、生活習慣病の原因となることが多く、また、生活習慣病を1つ発症するとほかの病気を合併することもあり、次々と病気を抱えるようになってしまいます。そのため、生活習慣病の根源である食事や運動などを見直すことが、予防のためには必要なのです。
編集部
現在肥満や高度肥満の人でも、すぐに肥満外来で治療を始めれば予防の効果は期待できるのでしょうか?
中島先生
医療機関によって異なりますが、多くの肥満外来ではまず、メディカルチェックをおこなって、現在の医療データを収集します。当院のように糖負荷試験をおこない、さらに詳細に肥満の原因を探る医療機関もあります。これらの検査で生活習慣病が見つかればすぐに治療を始めることができますし、未病の段階でも発症の兆候があればすぐさま手を打つことができます。生活習慣病は、放置すればするほど進行していく疾患で、自然に治癒することはありません。ぜひ、肥満に悩んでいる人は一度肥満外来に相談していただければと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
中島先生
肥満外来は予防医療に重要とはいっても、実際のところダイエットを教科書通りに進めるのは困難でしょう。ライフスタイルや嗜好性、価値観などは人によって異なるため、通り一遍ではダイエットを進めることができません。そこで大事なのが「なぜ痩せたいのか」という動機です。私は長年の経験から、動機はリアルで具体的な方がいいということを実感しています。例えば「痩せて健康になりたい」よりも「痩せてモテたい」「綺麗になって好きな人に告白したい」などの動機の方が、ダイエットは長く続くものです。私たちは、こうした動機をカウンセリングで一緒に考えており、動機が明確になればダイエットも進めやすくなります。はじめの一歩が肝心なので、ぜひ肥満で悩んでいる人は肥満外来にご相談いただければと思います。
編集部まとめ
肥満は生活習慣病の元凶であるだけでなく、メンタルの状態や交友関係などにも大きな影響を及ぼします。何度も自己流ダイエットに失敗している人や、生活習慣病の兆しが見える人は、ぜひ肥満外来へ。医師など専門家の手助けを借りて、二人三脚でダイエットを進めてみてはいかがでしょうか。
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