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「サプリメント」は危険? 安全? 正しい選び方・摂り過ぎのリスクも医師が解説!

 公開日:2025/03/18

人々の健康意識が高まっている近年、毎日サプリメントを摂取する習慣がある人も多いのではないでしょうか。しかし、サプリメントの安全性について、しっかりと考えたことはありますか? 健康維持や美容、体調管理のためにサプリメントを活用する人が増える一方で、適切な選び方や服用方法に不安を感じる人も少なくありません。そこで今回は、サプリメントを選ぶ際に知っておきたい基本知識や注意点、安全に使用するためのポイントなどについて、「板橋腎リウマチ隼聖クリニック」の上野先生に解説していただきました。

上野 智敏

監修医師
上野 智敏(板橋腎・リウマチ隼聖クリニック)

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鹿児島大学医学部医学科卒業。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。その後、飯塚病院、虎の門病院、複数の医療機関で経験を積む。2023年、東京都板橋区に「板橋腎・リウマチ隼聖クリニック」を開院。医学博士。日本内科学会認定総合内科専門医、日本腎臓学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本透析医学会専門医、日本高血圧学会専門医。

サプリメントの効果

サプリメントの効果

編集部編集部

まず、サプリメントについて教えてください。

上野 智敏先生上野先生

サプリメントとは、日常の食事では十分に摂取できない栄養素や成分を補うための栄養補助食品です。ビタミン、ミネラル、アミノ酸など、体に必要な栄養素を手軽に摂取でき、カプセル、錠剤、パウダー、ドリンクなど、様々な形態で販売されています。サプリメントは、健康維持や美容、睡眠の質やスポーツパフォーマンスの向上など、様々な目的で利用されますが、あくまでも補助的に用いられるものです。

編集部編集部

本当に効果はあるのでしょうか?

上野 智敏先生上野先生

効果の感じ方は、成分や期待される効果などによって個人差があります。また、効果があるとしても、すぐに実感できるものばかりではないので、サプリメントによっては焦らず長期的に続けることが大切です。

編集部編集部

1日に複数のサプリメントを摂取しても大丈夫でしょうか?

上野 智敏先生上野先生

いくつかのサプリメントを併用することは可能ですが、成分の重複や過剰摂取に注意が必要です。特にビタミンやミネラルの摂取量には上限があり、「ビタミン過剰症」という病態もあるため、摂取する際には医師に相談するのが安全です。

編集部編集部

たくさん飲めばいいというわけではないのですね。

上野 智敏先生上野先生

そのとおりです。栄養素といえども摂りすぎると、尿から排出されるときに負担がかかる場合もあります。1日の目安の摂取量が表示されているサプリメントも多いので、確認したうえで服用しましょう。

編集部編集部

尿から排出されるビタミンと、そうでないビタミンがあるのですか?

上野 智敏先生上野先生

そうですね。ビタミンは大きく「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」に分けられます。水溶性ビタミンは過剰な分は尿から排泄される一方、脂溶性ビタミンは摂りすぎると体に蓄積します。例えば「尿が泡立つ」「足がむくむ」などは、腎臓に問題が起こっている可能性のあるサインなので、これらの症状に気づいたらまずは医師に相談してください。

サプリメントは本当に安全?

サプリメントは本当に安全?

編集部編集部

サプリメントは全て自然由来なのでしょうか?

上野 智敏先生上野先生

いいえ。たしかに、一部のサプリメントは自然由来の成分から作られていますが、化学的に合成された成分が含まれる場合もあります。購入前に成分表を確認し、どのようなものが含まれているかを把握することが大切です。

編集部編集部

「天然」という表記があれば安全ですか?

上野 智敏先生上野先生

実際のところ、天然という表示はあまり規制されていないため、必ずしも自然な成分だけを使用しているわけではありません。本当に「100%天然由来」のサプリメントを探したいのであれば、ご自身で表示成分を調べたり、信頼できるメーカーや第三者機関の認証を確認したりする必要があります。また、「自然由来」や「天然由来」は、逆に言えば認可されていない成分である可能性もあるため、そうした意味でも注意が必要です。

編集部編集部

妊娠中や授乳中に、サプリメントを摂取してもいいのですか?

上野 智敏先生上野先生

妊娠中や授乳中は、葉酸など特定の栄養素が必要になるので、成分によってはむしろサプリメントの摂取が推奨されることもあります。しかし一方で、摂取を控えた方がいい成分もあるため、必ず医師に相談して適切なサプリメントを選んでください。

編集部編集部

念のため医師に確認した方が安心ですね。

上野 智敏先生上野先生

はい。妊娠中や授乳中の女性に限らず、かかりつけの医療機関があり、サプリメントを服用する際は、あらかじめ主治医に確認しておくことをおすすめします。一部のサプリメントは、医薬品と相互作用を起こすことがあるので、特に毎日薬を服用している場合は、サプリメントを始める前に医師や薬剤師に相談しましょう。

安心・安全にサプリメントを選ぶためのポイント

安心・安全にサプリメントを選ぶためのポイント

編集部編集部

サプリメントを選ぶ際、気をつけることはありますか?

上野 智敏先生上野先生

第一に知っておいていただきたいのは、サプリメントはあくまでも栄養補助などを目的としており、薬の代替にはならないということです。特定の症状や疾患を治療する目的で服用するものではないので、改善したい症状や疾患がすでにある場合は、まず医療機関に相談することが大切です。また、サプリメントの「質」についても気にするようにしてください。特にビタミンBには複数の種類があり、それぞれが干渉しあうので原則として別々で販売されています。ビタミン同士の相互作用などもあるため、やはり医療機関に相談してから開始するのが安心かと思います。

編集部編集部

症状の改善にサプリメントは有効でないということでしょうか?

上野 智敏先生上野先生

そうとも限りません。貧血のある人に鉄を摂取してもらうなど、医療機関でサプリメントを処方することも増えてきています。医療機関での検査や診察結果に基づいて適切に処方されるサプリメントであれば、効果は十分に期待できます。

編集部編集部

自分でサプリメントを選ぶ際のポイントはありますか?

上野 智敏先生上野先生

自身の不足している栄養素は自分ではわかりませんが、血液検査をすると数値として分かります。本当に自分の体に必要なサプリメントを摂ろうと思ったら、まずはかかりつけの先生に相談してみるのがおすすめです。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

上野 智敏先生上野先生

繰り返しになりますが、サプリメントはあくまでも現代人の忙しい生活で足りない栄養素を補助するものなので、「摂るだけで健康になる」と思って薬と同じ感覚で摂取してしまうのは間違いです。また、「たくさん摂れば摂るほど健康」という勘違いをして、必要以上に服用した結果、肝臓に障害を起こすケースも散見されます。安全かつ効果的にサプリメントの服用を続けるためには、かかりつけ医に相談してから選ぶことをおすすめします。

編集部まとめ

サプリメントの基本知識や選ぶポイントなどについて解説していただきました。サプリメントを生活に取り入れる際は、あくまでも補助的な役割であることを認識したうえで、成分や品質、安全性を確認し、できれば医師や専門家に相談することが大切とのことでした。毎日の健康を支えるためにも、信頼できるサプリメントを賢く選び正しく摂取しましょう。

医院情報

板橋腎リウマチ隼聖クリニック

板橋腎リウマチ隼聖クリニック
所在地 〒173-0016 東京都板橋区中板橋29-6
アクセス 東武東上線「中板橋駅」 徒歩3分
診療科目 内科、リウマチ科、腎臓内科、皮膚科

この記事の監修医師

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