「在宅医療」の始め方ガイド メリット・デメリットや押さえておくべきポイントを医師が徹底解説!

廣田先生

在宅医療は、通院が難しい人や自宅で療養したいと願う人のために提供される医療サービスです。医師が定期的に自宅を訪問して診察や薬の処方をおこなったり、看護師が訪問してケアや点滴、服薬の管理をしたりします。また、必要に応じてリハビリテーションなどをおこなうことも可能です。

廣田先生

そうですね。病気や怪我などで行動範囲が狭くなっても、住み慣れた自宅で安心して療養できるよう支えるのが在宅医療の役割です。がんをはじめとする重い病気を抱えた場合には、痛みを和らげたり生活の質を向上させたりする緩和ケアも提供されるので、特に終末期医療を希望される人や、病院を退院した後も継続的な医療が必要な人にとって、大きな支えとなる仕組みです。

廣田先生

たしかに、不安になる気持ちも理解できます。しかし、在宅医療を選択する際は、医師や看護師のみならず、介護保険を利用した介護ヘルパーなどの介護サービスも併用できることがほとんどなので、全てのケアをご家族が負担する必要はありません。事前にケアプランを立て、サポートを活用し、不安を解消しておくことが大切です。

廣田先生

在宅医療では、患者さんが住み慣れた自宅でリラックスしながら療養できる点が最大のメリットです。また、通院が難しい場合でも定期的に医師や看護師が訪問してくれるため、移動の負担がありません。さらに「家族と過ごす時間が増える」「ご近所付き合いも継続できる」といったように、精神的な安定につながることもメリットと言えるでしょう。

廣田先生

自宅で対応できる治療に限りがあるため、高度な検査や脳梗塞や心筋梗塞などの緊急対応が必要な場合は病院に行かなければなりません。さらに、自宅に医療スタッフが常駐しているわけではないため、家族しか家にいないときに体調が急変するリスクには注意が必要です。

廣田先生

速やかにかかりつけの在宅医療の医師に連絡することが第一です。そのためにも普段から、在宅医療の医師と連絡を取る手段（緊急時の電話番号など）を家族間で共有しておくことが大事です。そして、指示があった場合は病院へ移動する体制も整えておきましょう。

廣田先生

もともと自宅生活を送っていた人が通院困難となった場合は、かかりつけ医やケアマネジャーなどに相談して、在宅医療を提供してくれる医療機関を紹介してもらいましょう。現在、病気や骨折などで入院中で退院後も自宅で医療を受けたいという場合は、入院中の病院の主治医もしくは地域連携室などのソーシャルワーカーなどに相談することをおすすめします。インターネットで近くの訪問診療を調べて、気になるところに電話してみるのもいいと思います。

廣田先生

在宅医療は保険適用されますが、通常の診療費よりは費用がかかることを知っておいてください。また、訪問診療や看護、リハビリの回数や内容によっても費用が変わるため、事前に医療機関で確認することをおすすめします。

廣田先生

外来診療と訪問診療を並行している医療機関も多いのですが、外来診療がメインのところだと、緊急事などの対応が速やかにできないことも考えられます。訪問診療をメインとしてやっているところや、並行してやっていたとしても、訪問医療のための専門スタッフがいるところにお願いする方が安心だと思います。また、夜間の緊急対応をやっているかもチェックポイントです。

廣田先生

訪問医療は「寝たきりの人しか利用できない」「費用がかかる」というイメージを持つかもしれません。しかし、訪問医療は病名に関係なく利用できて、費用も通常の通院よりも少し高い程度なので、まずはお気軽に相談してほしいと思います。通院がしんどくなってきた人や、家族が病院に連れて行くのが少し厳しくなってきたという人は、かかりつけ医やケアマネジャーに聞いてみたり、気になるクリニックに直接問い合わせたりしてみるといいでしょう。