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「性病」は無症状が多いことをご存じですか? 前兆や早期発見の重要性も医師が解説

 更新日:2024/11/18

「自分には関係ない」「自分だけは大丈夫」、性病に対してこんな風に考えている人も多いのではないでしょうか。じつは、全く症状がなくても性病に感染していることもあることをご存じですか? 今回は、性病を早期発見する重要性について、「性感染症内科ペアライフクリニック横浜院」の永井先生に詳しく教えていただきました。

永井 良

監修医師
永井 良(性感染症内科ペアライフクリニック横浜院)

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帝京大学医学部卒業。2024年、神奈川県横浜市に「性感染症内科ペアライフクリニック横浜院」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会専門医。日本性感染症学会、日本感染症学会の各会員。

性病は感染していても無症状?

性病は感染していても無症状?

編集部編集部

性病に感染すると、どのような症状が出るのですか?

永井 良先生永井先生

症状は疾患によってそれぞれ異なります。例えば、国内で近年急増している「梅毒」は、しこりやただれといった症状が出現しますが、痛みやかゆみなどの症状はみられません。しかし一方で、「淋病(淋菌)」や「性器クラミジア感染症」では、男性なら排尿時痛や尿道からの膿、女性ならおりものの異常や不正出血がみられます。

編集部編集部

必ずなんらかの症状がみられるのですか?

永井 良先生永井先生

いいえ、必ずしもそうとは限りません。性病の多くは自覚症状に乏しいため、気づかないうちにパートナーへ感染させてしまうことも少なくないのです。

編集部編集部

無症状の場合もあるのですね。

永井 良先生永井先生

はい。そのほか、梅毒のように、しこりやただれなどの症状が出現しても、痛みやかゆみなどの症状がなければ気づかないこともあります。したがって、少しでも違和感を覚えたら性病科や性感染症内科、泌尿器科、婦人科などの性病を診察してくれる医療機関を受診しましょう。

編集部編集部

症状に気づかず、見逃してしまうこともあるのですね。

永井 良先生永井先生

そのとおりです。ほかにも、いつの間にか症状が消えてしまうこともあります。そのため、「様子を見ていたら治っていた」と話す患者さんも多いのですが、それは治ったのではなくただ症状が消えただけです。症状が消えたと思っても安心せず、必ず受診することをおすすめします。また、定期的なセルフチェックも必要です。

性病の患者数はこんなに多い

性病の患者数はこんなに多い

編集部編集部

最近、性病の患者数が増えていると聞きました。

永井 良先生永井先生

最近、急増しているのは梅毒です。厚生労働省の発表によると、2021年以降大きく増えており、特に20~50代の男性、20代の女性で目立っています。

編集部編集部

なぜ、梅毒の患者数が急増しているのですか?

永井 良先生永井先生

様々な原因が考えられますが、性風俗の従事歴や利用歴が関係していると考えられます。また、SNSやマッチングアプリなどを介して、性行為のハードルが下がったことも関係しているのではないかと考えられています。

編集部編集部

そのほか、性病患者の急増に関係していると思われることはありますか?

永井 良先生永井先生

臨床をおこなう上での個人的な見解ですが、「特に若い人を中心に、コンドームの使用率が低下しているのではないか」と考察しています。

編集部編集部

なぜ、梅毒の患者数増加が判明したのでしょうか?

永井 良先生永井先生

梅毒は、保健所への届出が義務づけられている疾患です。医師は、患者さんが梅毒であることが検査で判明した場合には、保健所へ届出をしなければなりません。こうした背景から「梅毒が増えている」とメディアで騒がれた結果、「もしかしたら自分も梅毒かもしれない」と心配になって検査を受けにきた人が増え、結果的に梅毒が見つかって患者数が増加したのではないかと考えられます。

編集部編集部

ということは、潜在的な患者数はもっと多いということですか?

永井 良先生永井先生

そのように考えられます。症状が出ても気づいていない、あるいは性病を疑っていない場合には、検査すら受けていないかもしれません。そのような人が梅毒である可能性を含めると、実際の患者数はもっと多くなるのではないかと予測されます。

性病を早期発見する重要性

性病を早期発見する重要性

編集部編集部

性病を放置すると、どのようなリスクがあるのですか?

永井 良先生永井先生

疾患によりますが、例えばクラミジアを放置すると、女性の場合は卵管や卵巣、骨盤腹膜などで炎症を起こし、いずれは不妊症の原因になることもあります。また、男性においてもクラミジアに感染すると尿道炎が起こり、やがて精巣上体にまで炎症が広がって、男性不妊の原因になり得ます。

編集部編集部

そのほかの疾患についてはいかがでしょうか?

永井 良先生永井先生

梅毒は病期によって第1期から第4期まで分類されます。感染後、3カ月が経過すると梅毒の細菌が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、体幹部などに淡い赤い色の発疹が出ます。現在はこの時期までに治療されるケースが多くなりましたが、治療せずに放置すると将来的に心臓や脳神経に関わる合併症を招く可能性があります。最悪の場合は、命のリスクになることもあります。

編集部編集部

命を落とすこともあるのですね。

永井 良先生永井先生

梅毒以外にも、命のリスクになり得る性病はあります。例えば、HIV(エイズ/ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると年単位で免疫細胞が破壊されていき、やがてエイズを発症します。無治療で放置すると免疫力が失われ、病気にかかりやすくなって死に至ることもあります。

編集部編集部

できるだけ早く検査を受けることが大事ですね。

永井 良先生永井先生

はい。一般的に、性病は自然治癒するものではなく、きちんと医療機関で治療をおこなうことが重要です。違和感があるのに放置すると、知らない間にパートナーにうつすなど、感染者を増やす可能性があります。できるだけ早めに検査を受けるようにしましょう。その際は、念のためパートナーも必ず受けるようにしましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

永井 良先生永井先生

1人で複数の性病を発症していることは珍しくなく、同時に治療するケースも少なくありません。そのため、検査を受けるときには喉や性器などまんべんなく検査してくれる医療機関を選びましょう。また、1つの菌やウイルスだけでなく、複数の疾患に対しても検査してくれる医療機関に受診すると安心です。

編集部まとめ

昨今の梅毒の感染者増加を機に、性病感染に対する危機意識は高まりを見せています。「もしかしたら自分も……」と思ったら、早めの受診を徹底しましょう。パートナーにうつすなど感染を拡大させないためにも、早めの行動が大切です。

医院情報

性感染症内科ペアライフクリニック横浜院

性感染症内科ペアライフクリニック横浜院
所在地 〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸2-8-9ブライト横浜4階
アクセス JR「横浜駅」 徒歩5分
相鉄本線「平沼橋駅」 徒歩8分
診療科目 性感染症内科

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