足の裏に「体外衝撃波治療」ホントに効果ある? 治療回数・費用目安・保険適用のケースも医師が解説
ヨーロッパを中心に、多くの疼痛性疾患の除痛を目的として普及しつつある「体外衝撃波治療」。現時点で、日本で取り入れている医療機関はそれほど多くありませんが、治療効果が高く、安全性も優れているとして注目を集めています。一体どのような治療なのか、回数や費用目安を含めて、「世田谷かくた整形外科 成城学園前院」の角田先生に解説していただきました。
監修医師:
角田 篤人(世田谷かくた整形外科 成城学園前院)
体外衝撃波治療とは?
編集部
近年、注目を集めている体外衝撃波治療について教えてください。
角田先生
正確には「集束型体外衝撃波治療」と言い、衝撃波を患部に照射するという整形外科では比較的新しい治療法です。
編集部
衝撃波とはなんですか?
角田先生
音波の一種であり、物体が音速よりも速く移動するときに発生する波のことです。この衝撃波を医療に活用したのが体外衝撃波治療です。
編集部
「医療に活用」とは、どういうことでしょうか?
角田先生
機械的に衝撃波を作り出し、それを皮膚の上から患部に照射します。すると、痛みを感じる神経に作用したり、組織の修復を促したりして、慢性的な痛みの軽減が期待できるのです。
編集部
痛みの除去が治療の目的ですか?
角田先生
整形外科疾患では痛みの除去が主な目的ですが、衝撃波は痛みの治療以外にも様々な領域で用いられています。もともと衝撃波治療は、腎臓や尿管にできた結石に照射し、破砕する治療法として広く使用されてきました。結石の破砕に治療する衝撃波は非常にエネルギーが高いのですが、このエネルギー量を調整して患部に照射することによって疼痛の緩和が期待できます。また、最近では難治性の骨折に対しての有効性も確認されています。
体外衝撃波治療の仕組みと効果
編集部
体外衝撃波治療には、どのような効果があるのですか?
角田先生
まず、患部に体外衝撃波を照射すると、痛みの元となる組織に直接作用します。そして、痛みを受け取る受容器である「自由神経終末」を減少させ、痛みを和らげる効果が期待できます。また、痛みの伝達に関与する神経伝達物質を減少させることで、痛みが伝わるのを抑制する効果もあります。
編集部
そのほかには、どのような効果がありますか?
角田先生
血管を新しく作ったり、コラーゲンを産生したりする成長因子を作ることにより、変性した腱組織を再生させる効果が期待できます。そのほか、血流を改善して筋緊張を緩和させたり、リンパ管を新生して石灰沈着の吸収を促進したり、骨形成タンパク質を放出して骨形成を促進したりします。
編集部
具体的には、どのような疾患に対して適応となるのですか?
角田先生
- 足底腱膜炎
- アキレス腱炎・アキレス腱付着部炎
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- テニス肘(上腕骨外側上顆炎)・ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
- 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
- 石灰沈着性腱板炎・腱板炎
- 偽関節・疲労骨折
- 早期の離断性骨軟骨炎・早期の骨壊死
編集部
様々な疾患に対して適応になるのですね。
角田先生
そうですね。最近では、メジャーリーガーやトップアスリートなども疼痛の緩和などに用いています。日本ではまだ知名度が高くないかもしれませんが、欧米では広く普及している治療法です。
体外衝撃波治療の治療回数や費用の目安
編集部
体外衝撃波治療は、1回で効果が得られるのですか? 何回受ければいいのでしょうか?
角田先生
必要な施術回数は、患者さんの状況や疾患によって異なります。多くの疾患では、3~10日間隔で約3回の施術が必要とされています。1回の照射時間は、10分ほどです。
編集部
どれくらいで普段の生活を送ることができますか?
角田先生
治療直後から日常生活に復帰することができます。治療された部位に赤みや内出血ができる場合がありますが、数日程度で消失します。
編集部
体外衝撃波治療は、誰でも治療を受けることができるのですか?
角田先生
安全性が高いので、年齢などに関係なくどなたでも受けることができます。ただし、ペースメーカーを使用している人などは、事前に医師へご相談ください。
編集部
体外衝撃波治療は保険適用ですか? 費用の目安を教えてください。
角田先生
現在では、難治性足底腱膜炎の治療にのみ保険適用となります。そのほかの疾患については、自由診療となり、費用は医療機関によって異なります。一例として当院では、初回が税込1万6500円、2回目以降が税込8250円となります。詳しくは医療機関に問合わせください。
編集部
保険適用になる疾患もあるのですね。
角田先生
はい。これまで、足底腱膜炎は根本的な治療法がないと言われており、「ストレッチをする」「インソールを使用する」「湿布をする」「注射をする」しか対処法がありませんでした。しかし、体外衝撃波治療をおこなえば症状が出現しなくなったり、痛みの程度が軽減したりする効果が期待できます。難治性足底腱膜炎で悩んでいる場合は、保険適用で受けられる体外衝撃波治療を試してみてほしいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
角田先生
衝撃波治療を検討する際は、医療機関をしっかり吟味することが大切です。体外衝撃波治療には「集束型」と「拡散型」の2種類があり、著名な疼痛の軽減効果が期待できるのは集束型です。しかし、集束型の体外衝撃波治療をおこなっている医療機関は、都内でさえごくわずかというのが現状です。「対外衝撃波治療をおこなっている」と謳う医療機関を訪れる場合は、集束型か拡散型かを確認してから、治療に臨むことをおすすめします。
編集部まとめ
痛みなどに対する最新の治療法として注目を集めている体外衝撃波治療。残念ながら、まだ治療をおこなっている医療機関はそれほど多くありませんが、今後、普及することが予測されています。興味がある場合は、ぜひ治療をおこなっている医療機関へ相談してみましょう。
医院情報
所在地 | 〒157-0066 東京都世田谷区成城2-40-9 成城サウスサイド1階 |
アクセス | 小田急線「成城学園前駅」 徒歩1分 |
診療科目 | 整形外科 |