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「緑内障」の原因・なりやすい年齢層はご存じですか? 早期発見のポイントや治療法も医師が解説!

 公開日:2024/07/25

緑内障は失明にもつながる疾患であり、早期発見と治療が重要です。緑内障の治療法はいくつかあり、そのなかでも比較的新しい治療に「レーザー治療」があります。今回は、緑内障のレーザー治療の効果や手術の流れなどについて、「稲毛海岸やすだ眼科」の安田先生に解説していただきました。

安田 健作

監修医師
安田 健作(稲毛海岸やすだ眼科)

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昭和大学卒業。その後、昭和大学医学部眼科学講座入局、昭和大学関連病院などで経験を積む。2023年、千葉県千葉市に「稲毛海岸やすだ眼科」を開院。日本眼科学会専門医・水晶体嚢拡張リング認定医。日本眼科医会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本緑内障学会、日本眼科手術学会の各会員。

緑内障とは?

緑内障とは?

編集部編集部

まず、緑内障について教えてください。

安田 健作先生安田先生

緑内障は、何らかの原因で視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなる疾患です。眼圧の上昇がその病因の1つと言われており、ほとんどの場合、自覚症状がなく進行します。

編集部編集部

なぜ、眼圧が高くなるのですか?

安田 健作先生安田先生

眼圧に影響を与える目の中の水(房水)の流れが悪くなり、眼外に排出されにくくになってしまうためです。緑内障による視神経障害や視野異常は、基本的には年単位でゆっくり進行します。しかし、稀ですが「急性緑内障発作」という、眼圧が急激に上昇することで2~3日で急激に失明へ至るケースがあります。代表的な症状は、目の痛みや見えにくさのほか、頭痛や吐き気・嘔吐などで、目の疾患とわかりにくいことも多いので注意が必要です。

編集部編集部

緑内障になる人は多いのですか?

安田 健作先生安田先生

緑内障は、白内障と並んで中高年の代表的な目の疾患で「40歳以上で5%、60歳以上では10%以上が緑内障」というデータもあるほどです。残念ながら日本の失明原因1位となっています。ただ、患者さん全体で考えると失明率はかなり低く、早期発見して適切に治療すれば、生涯にわたって視野と視力を保てると言われています。

緑内障の治療法

緑内障の治療法

編集部編集部

緑内障と診断されたら、どうしたらいいですか?

安田 健作先生安田先生

緑内障は高くなった眼圧により、視神経が障害される疾患です。一度障害された視神経を元に戻すことはできないので、治療の主な目標は「眼圧を下げて、視野障害進行を食い止めること」になります。

編集部編集部

具体的に、どのような治療があるのでしょうか?

安田 健作先生安田先生

まず、眼圧を下げるための目薬が処方されます。通常は1種類の目薬で様子を見て、効果がなければ2~3種類使用します。点眼治療で眼圧が下がらず緑内障が進行する場合は、手術が検討されます。また、目薬の効果があったとしても、体質によっては結膜炎、上眼瞼のくぼみ、瞼の腫れなどの副作用が起こり、治療が継続できないこともあります。加えて、喘息・不整脈・慢性閉塞性肺疾患などの全身疾患がある人は、一部の緑内障点眼薬の使用によって原病が悪化してしまうことがあるので注意が必要です。その際は、別の治療法(レーザー手術や外科的手術)を検討しなければなりません。

編集部編集部

どんな手術があるのですか?

安田 健作先生安田先生

初期~中期の視野障害がある緑内障には、「線維柱帯切開術」と呼ばれる房水の流出路である線維柱帯を切開して房水を流れやすくして、眼圧を下げる手術が主に選択されます。ほかにも、白内障手術と同時におこなう手術として、医療用チタンを埋め込んで房水排出を促進させる「水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術」という方法もあります。中期から後期の進行した緑内障には、線維柱帯切除術やインプラントを眼内に挿入して、房水を眼外に濾過する方法で対処します。

緑内障のレーザー治療

緑内障のレーザー治療

編集部編集部

緑内障にはレーザー治療もあると聞きました。

安田 健作先生安田先生

はい。点眼薬で改善がみられなかった場合、手術前にできるレーザー治療(SLT)があります。房水の主な経路である「線維柱帯」という部分にレーザーを照射することにより房水の流れをスムーズにし、房水流出量を増加させて眼圧を下げることを目的におこないます。一度の照射で目薬1本分の眼圧下降効果があると言われています。

編集部編集部

レーザー治療のメリットを教えてください。

安田 健作先生安田先生

まず、手術と比べて目への侵襲が少ないという点が挙げられます。また、線維柱帯の有色細胞のみに選択的に照射するレーザーを使用するため、周りの組織への影響が少なく、安全性が高いのも特徴です。さらに、治療時間は5~10分と短く、日帰りで受けられますし、反復照射も可能なので何度も治療を受けることができます。

編集部編集部

では、注意点はありますか?

安田 健作先生安田先生

効果に個人差があり、「約30%は眼圧が下がらない」と言われています。また、効果があっても、手術と比べると眼圧下降の度合いは少し下がります。レーザーで目の中に一過性の炎症が起きるので、眩しさや飛蚊症が出ることもありますが、一過性のものなので時間の経過とともに改善します。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

安田 健作先生安田先生

緑内障は日本人の後天的な失明原因の第1位で、早期発見がなにより重要な疾患です。なりやすいリスク要因として「40歳以上」「家族歴のある人」「近視の強い人」などがあるので、当てはまっていて、まだ検査を受けていない人は早めに検査を受けましょう。また、緑内障は年齢や症状、進行具合などで、目標とする眼圧値や治療方法が異なる疾患です。一人ひとりに合った治療目標を立て、治療していくのが大事です。点眼薬だけでなくレーザーなど、治療の選択肢が増えているので、未治療の人はもちろん、現在点眼薬で治療中の人もレーザー治療に興味があれば、お近くでレーザー治療に対応している眼科に相談してみることをおすすめします。

編集部まとめ

緑内障の治療法について解説していただきました。緑内障には予防法がなく、早期発見と早期治療がとても大事とのことでした。緑内障のリスクがある人もない人も、まずは検査を受けること、そして、緑内障と診断された場合は、医師の説明を十分に聞いて自分にあった治療を選択していきましょう。

医院情報

稲毛海岸やすだ眼科

稲毛海岸やすだ眼科
所在地 〒261-0004 千葉県千葉市美浜区高州3-23-1 ペリエメディカルビル美浜2F-B
アクセス JR「稲毛海岸駅」 徒歩1分
診療科目 眼科

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