FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 【医師解説】“手のしびれ・痛み”を放置するリスク「仕事や生活にマイナスな影響が出る」

【医師解説】“手のしびれ・痛み”を放置するリスク「仕事や生活にマイナスな影響が出る」

 公開日:2024/08/01
【医師解説】“手のしびれ・痛み”を放置するリスク「仕事や生活にマイナスな影響が出る」

手のしびれや痛みは、もしかすると神経障害の兆候かもしれません。放置すると病状が悪化し、日常生活や仕事に支障をきたす可能性もあります。手のしびれや痛みを我慢することの悪影響について、「くらげ整形外科」の山﨑先生に解説していただきました。

山﨑 厚郎

監修医師
山﨑 厚郎(くらげ整形外科)

プロフィールをもっと見る
金沢大学医学部医学科(現・金沢大学医薬保健学域医学類)卒業。その後、千葉県がんセンター、千葉県こども病院、成田赤十字病院、聖隷佐倉市民病院、千葉市立青葉病院、君津中央病院などで勤務医として経験を積む。2020年、千葉県千葉市花見川区に「くらげ整形外科」を開院。「安心してうけられる、当たり前の医療」をモットーに、日々より良い医療の提供に邁進している。医学博士。日本手外科学会認定手外科専門医、日本整形外科学会認定専門医。日本肘関節学会会員。

手のしびれや痛みの原因

手のしびれや痛みの原因

編集部編集部

手のしびれが気になることがあります……。何が原因なのでしょうか?

山﨑 厚郎先生山﨑先生

しびれというのは、神経や血管に関連した様々な原因によって引き起こされます。手がしびれる一般的な原因としては、「神経の圧迫」「神経の損傷」「血行障害」などが挙げられます。稀に脳や首からくるものや、手首そのものに原因がある場合も考えられます。

編集部編集部

疾患の場合もあるのですか?

山﨑 厚郎先生山﨑先生

もちろんです。「正座をしていたら足がしびれた」といった明らかなきっかけがある場合は別ですが、そうではないのにしびれがあるとしたら、何かしら病的な要因の可能性があります。

編集部編集部

どのような疾患が考えられますか?

山﨑 厚郎先生山﨑先生

例えば、手の神経が圧迫される疾患には「手根管症候群」「胸郭出口症候群」「肘部管症候群」などがあります。いずれも、手と脳とをつなぐ神経が、途中で圧迫されているために起こる疾患です。

手の神経が圧迫される疾患を解説

手の神経が圧迫される疾患を解説

編集部編集部

それぞれの疾患について、もう少し教えてください。

山﨑 厚郎先生山﨑先生

まず手根管症候群は、手首の内側にある「手根管」の神経が圧迫されることによって、しびれや痛みが起こる疾患です。仕事や家事、スポーツなどで手首をよく使う人に起こりやすいと言われています。

編集部編集部

胸郭出口症候群は、どんな疾患ですか?

山﨑 厚郎先生山﨑先生

首から腕にかけての動脈や静脈、神経が通過する場所が狭くなることで、神経や血管が圧迫されたり引っ張られたりする疾患です。一般的な症状としては、腕や手の痛みやしびれ、動かしにくさ、手の冷えなどがあります。

編集部編集部

肘部管症候群についてはいかがでしょうか?

山﨑 厚郎先生山﨑先生

肘部管症候群は、肘(ひじ)の内側にあり、肘部管を通っている尺骨神経が圧迫されたり引っ張られたりすることにより、特に小指側のしびれや動かしにくさが生じます。

編集部編集部

放置して治ることはありますか?

山﨑 厚郎先生山﨑先生

軽い打撲など一時的な圧迫であれば、安静にしていて症状が緩和されることも考えられます。しかし、誘因がはっきりしなかったり、改善の傾向がなかったりする場合は必要な検査をおこない、適切な処置や治療を施さないと、ずっと症状が残ってしまうなどの悪影響が起こり得ます。

手のしびれや痛みを放置するリスク

手のしびれや痛みを放置するリスク

編集部編集部

例えば、どんな悪影響が考えられますか?

山﨑 厚郎先生山﨑先生

症状が強まるのはもちろんのこと、動かしにくさなどが重症化すると仕事のパフォーマンスに影響を及ぼします。「職場に迷惑をかけたくない」と、しびれを我慢して動かし続けて重症化してしまうと、治療のために仕事を休まなければいけなくなることもあり、かえって職場に迷惑をかけてしまうかもしれません。休職することによる経済的なデメリットもありますし、重症化してからの治療だと治療自体に時間を要したり、回復が難しかったりする場合があるので、早めに対処しましょう。

編集部編集部

手のしびれや痛みを感じたら、どうすればいいですか?

山﨑 厚郎先生山﨑先生

あまり我慢せずに、まずはお近くの医療機関に相談しましょう。その際、「いつからしびれがあるのか」「何かきっかけはあったか」などを時系列でまとめておくと説明しやすいと思います。

編集部編集部

「しびれで受診するのは、大げさかもしれない」と思ってしまいます。

山﨑 厚郎先生山﨑先生

お気持ちはよくわかりますが、神経に何かしらの異常があってしびれを引き起こしていることが考えられるため、一度しっかりと検査した方がいいと思います。受診した結果、「なんともありません」「軽症なので様子を見ていて大丈夫」となっても、安心して過ごせることの方が大切なので、軽症で受診するのは恥ずかしいことではないですよ。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山﨑 厚郎先生山﨑先生

手のしびれや痛みは、神経が圧迫されたり引っ張られたりしているサインかもしれません。放っておくと重症化したり、回復が難しかったりする場合があるため、気がついたら早めの受診をおすすめします。受診してみて「大したことなかった」という結果も安心につながると思うので、気兼ねなくご相談いただきたいです。

編集部まとめ

私たちの生活に「手の動き」は、欠かせません。手のしびれや痛みは多くの場合、脳と手をつなぐ神経がどこかで圧迫されたり引っ張られたりすることで起こるとのことでした。我慢している間に重症化し、治療に時間やお金がかかってしまうことも考えられるので、気になる症状があったら、放置せずに医療機関を受診しましょう。

医院情報

くらげ整形外科

くらげ整形外科
所在地 〒262-0032 千葉県千葉市花見川区幕張町6丁目90−1 幕張メディカルスクエア 1階
アクセス JR「幕張駅」 徒歩3分
診療科目 整形外科、リハビリテーション科

この記事の監修医師