「コーヒーが梅雨の低気圧頭痛」に効果的なのをご存知ですか? その理由を管理栄養士が解説
「コーヒーは低気圧頭痛に効く」というのを耳にしたことはあるでしょうか。コーヒーというとカフェインによる眠気覚まし効果が有名ですが、低気圧頭痛に効くというのであれば、これからの季節、積極的に飲みたいところです。そこで今回は、コーヒーにどんな効果があるのか、コーヒーと頭痛の関係性について管理栄養士の山本さんに解説していただきました。
監修管理栄養士:
山本 瞳(管理栄養士)
目次 -INDEX-
なぜ「コーヒー」が頭痛に効くのか 答えはコーヒーに含まれる〇〇にあった
編集部
コーヒーを飲むと頭痛が良くなるのは本当ですか?
山本さん
本当です。コーヒーに含まれるカフェインには血管を収縮させる働きがあります。そのため、血管が拡張することで起こる「片頭痛」や低気圧によって起こる「低気圧頭痛」などに効果があると言われています。
編集部
カフェインの効能について教えてください。
山本さん
カフェインには、交感神経を刺激し活性化させる効果があります。具体的には、眠気覚ましや疲労回復などの効果があり、市販の頭痛薬や酔い止め薬にも配合されていることもあります。また、カフェインには強い利尿作用もあります。体内の水分を排出するため、むくみなどを改善する効果もありますね。
編集部
低気圧のときに頭痛が起こりやすいのはなぜですか?
山本さん
天気が悪い時や低気圧時に起こる頭痛は「低気圧頭痛」と呼ばれます。周りの気圧や酸素濃度が低い環境下では、体内に酸素を取り込もうと、血管が拡張します。山頂でお菓子の袋がパンパンに膨らむのをイメージすると、分かりやすいかもしれません。低気圧頭痛は脳の血管が拡張し、神経を刺激してしまうことで起こります。そのためコーヒーを飲むと、カフェインの血管を収縮させる作用によって、頭痛が改善すると言われています。
コーヒー以外にも頭痛に効く食べ物はある? 管理栄養士おすすめの食材・栄養素を紹介
編集部
コーヒーのほかに、カフェインを多く含むものを教えてください。
山本さん
緑茶や紅茶、ウーロン茶、ココア、チョコレートなどにもカフェインは多く含まれています。緑茶の一種である玉露は、コーヒーよりも多くカフェインを含んでいます。また、エナジードリンクやコーラなど、コーヒー以外にも多くのものにカフェインは含まれています。
編集部
カフェインのほかに、頭痛に効く栄養素はありますか?
山本さん
マグネシウム、ビタミンB2などが挙げられます。マグネシウムは、収縮した筋肉の緊張を和らげる効果があるため、頭痛に効果的な栄養素です。アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類、木綿豆腐などの大豆製品に多く含まれています。ビタミンB2は神経や血管の興奮を鎮める効果があるため、これも頭痛に効果があると言われている栄養素です。豚レバーや牛レバー、うなぎなどに特に多く含まれています。
編集部
コーヒーと一緒に食べてはいけないものがあれば教えてください。
山本さん
コーヒーに含まれるカフェインには、カルシウムの吸収を妨げ尿と一緒に排出するという働きがあります。そのため、カフェオレなどをカルシウム摂取目的で飲むことは、あまり理にかなっているとは言えません。また、コーヒーに含まれるタンニン(ポリフェノールの一種)は鉄分や亜鉛とくっついて、体への吸収を妨げてしまいます。貧血の原因にもなりかねないので注意が必要です。
編集部
コーヒーは1日どのくらい飲んだら良いですか?
山本さん
カフェイン摂取量の目安は、FDA(米国食品医薬品局)によると、1日400mgとされています。コーヒーに含まれるカフェイン量は、100mlあたり60mgです。コーヒーは豆を焙煎する方法などによって、カフェイン量が多少異なりますが、1日3~4杯程度であれば問題ないとされています。
「コーヒーは頭痛に効く」が、飲みすぎは頭痛を引き起こす原因にも?
編集部
コーヒーを飲むときの注意点はありますか?
山本さん
首や後頭部の血流が悪くなって起こる「緊張性の頭痛」では、コーヒーを飲むと逆効果になる場合もあります。緊張性の頭痛では脳の血管が収縮している状態であるため、カフェインによってさらに血管が収縮し、結果的に頭痛を悪化させてしまいます。また、カフェインの覚醒作用は、4~6時間程度持続すると言われています。睡眠時間に影響を及ぼしてしまうため、飲む時間やタイミングには注意が必要です。
編集部
コーヒーを飲みすぎるとどうなるのでしょう?
山本さん
コーヒーを飲みすぎるとカフェインの過剰摂取によって、めまいや吐き気、下痢、頭痛、手足のしびれ、睡眠障害、高血圧など様々な症状を引き起こすことがあります。加えて、カフェインやタンニンの作用によって、カルシウムや鉄分の吸収が妨げられ、骨粗しょう症や貧血の原因にもなります。また、カフェイン中毒にも注意が必要です。
編集部
カフェイン中毒とはどんなものですか?
山本さん
日常的にカフェインを摂取し続けていると、カフェインの離脱症状を引き起こすことがあります。具体的な症状としてはイライラや倦怠感、眠気、脱力感などの症状が挙げられます。また、カフェインを日常的に摂取し続けると、常に血管が収縮している状態になります。そして、急にカフェイン摂取をやめた時に血管が一気に拡張するため、頭痛を引き起こしやすくなります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山本さん
コーヒーは頭痛に効果的な飲み物ですが、全ての頭痛に効くわけではありません。頭痛が改善しない時は、薬を飲んだり早めに病院を受診したりすることも検討しましょう。
編集部まとめ
コーヒーに含まれるカフェインには、血管を収縮させる作用があるため、片頭痛や低気圧頭痛に効果的であることがわかりました。しかしコーヒーの飲みすぎは逆効果であったり、体に様々な悪影響を及ぼしたりする原因にもなります。飲みすぎには十分注意し、適切なカフェイン摂取量にとどめるようにしましょう。