巻き爪・陥入爪は放置するとどうなる? 深爪がよくないって本当?【医師解説】
爪は、体の先端にある小さな部位ですが、足先を保護して、歩くときにしっかり体重がかけられるようにする役割もあります。しかし、合わない靴を履き続けていたり外反母趾などになったりすると、爪の形が変形し、かえって指を傷付けてしまうこともあるのです。そこで、巻き爪・陥入爪とその治療法について、医師の池田 雄次先生(ふらットクリニック稲毛院長)に解説してもらいました。
監修医師:
池田 雄次(ふらットクリニック稲毛)
目次 -INDEX-
巻き爪・陥入爪(かんにゅうそう)ってどんな状態? どうして起こるの?
編集部
巻き爪・陥入爪とはどのような状態ですか?
池田先生
巻き爪とは、爪の先端が内側に巻いたように変形することで、陥入爪は爪の端が皮膚に食い込んで、疼痛や炎症、肉芽形成などを引き起こしている状態を指します。巻き爪は、とくに親ゆびに多い症状ですが、親ゆび以外でも起こることがあります。
編集部
どうしてそのような状態になるのですか?
池田先生
巻き爪は、先端の狭い靴やハイヒールによる足先の圧迫や外反母趾など足の変形、加齢などが原因で起こります。一方、陥入爪の原因はいくつかありますが、最も多いのが深爪です。
編集部
生まれつきということもあるのですか?
池田先生
生まれつき巻き爪や陥入爪ということはあまりありません。しかし、先天的に爪そのものが薄い人などは、陥入爪になりやすいということはあります。
巻き爪・陥入爪を放っておくとどうなるの? 治療についても教えて
編集部
巻き爪・陥入爪を放っておいて治ることはありますか?
池田先生
放っておいて治ることはまずありません。そのままにしておくと、痛みが徐々に強くなり、日常生活動作に支障をきたすようになります。とくに陥入爪の痛みはかなり辛く、放っておくとしっかり体重をかけて歩けなくなったり、歩き方が左右アンバランスになったりして、腰痛などを引き起こすことも考えられます。
編集部
それは大変ですね。
池田先生
実は、それだけではありません。巻き爪が進行すると、爪が切れなくなってしまったり、皮膚に傷がついて細菌が入り込み、炎症や化膿を引き起こしたりする可能性もあるのです。
編集部
巻き爪・陥入爪の治療にはどんなものがありますか?
池田先生
爪周囲に炎症を起こしていたら抗生剤を内服し、食い込んでしまった部分の爪を切除する外科手術が必要です。 しかし、これでは根本解決にはならず、再度繰り返してしまう方も多いので、最近はこれらの治療と並行して、矯正治療も行うようになりました。
巻き爪・陥入爪の矯正治療って? 期間はどのくらいかかるの?
編集部
矯正治療について、もう少し詳しく教えてください。
池田先生
例えば当院では、ワイヤーによる矯正治療を採用しています。爪の表面に、横方向にスプリングの弾性ワイヤーを装着します。爪自体が曲がっていても、ワイヤーの「真っ直ぐになろうという力」が常に働いているので、少しずつ巻き込んだ爪が改善されていくという治療です。これにより、極度に曲がっている爪も切ったり、抜いたりする必要がなくなりました。
編集部
期間はどのくらいかかりますか?
池田先生
ワイヤーを装着した爪は、数カ月かけて本来の形状に矯正されます。当院ではワイヤーを入れたあと、だいたい2カ月後に最初のチェックをお願いしています。 爪の厚さや症状によっては、ワイヤーの交換が必要になる可能性もありますが、1回の治療で終了する人もいます。
編集部
矯正治療の注意点などはありますか?
池田先生
爪そのものに、ワイヤーを装着するスペースが必要なので、爪の白い部分を2mmほど伸ばしておく必要があります。あとは、保険適用外となりますので、費用がやや高額に感じられるかもしれませんね。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
池田先生
巻き爪にならないためには、足にあった靴を履くなどが必要ですが、陥入爪を防ぐためには深爪をしないことがとても大切です。「爪は短く切り揃えるのが良い」というイメージがあるかもしれませんが、足を裏側から見たときに、爪の先端が少し出ているくらいでも問題ありませんので、ぜひ深爪はせず、ある程度の長さを保っていただけたらと思います。また、かなりひどくなってから受診する人が多いのですが、そうなると治療にも時間がかかりますので「ちょっと痛いな」「腫れている」と感じたら、我慢せずにすぐ受診してもらえればと思います。
編集部まとめ
ハイヒールや深爪が、足ゆびの炎症や化膿につながる可能性があるのですね。外科的治療だけだと、一旦は良くなっても繰り返すことが多いことにも驚きました。まずは深爪をしないこと、そしてもし痛みや腫れなどを感じたら、早めに受診することが大切とのことでした。
医院情報
所在地 | 〒263-0031 千葉市稲毛区稲毛東1-16-11 F+ビル1階 |
アクセス | JR「稲毛」駅より徒歩6分程度 京成電鉄千葉線「京成稲毛」駅より徒歩8分程度 |
診療科目 | 内科、小児科、皮膚科、整形外科 |