FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 痛みに特化した「ペインクリニック」の治療を医師が解説 治療計画の決まり方とは?

痛みに特化した「ペインクリニック」の治療を医師が解説 治療計画の決まり方とは?

 更新日:2024/01/19
痛みに特化した「ペインクリニック」での治療を医師が解説 進行度による違いはある?

「痛み」に特化したペインクリニックというものをご存知でしょうか? 痛みを専門に診るペインクリニックの坂本典昭先生(こすぎ坂本医院 院長)に、実際に行われている治療のことをMedical DOC編集部が聞きました。

坂本 典昭

監修医師
坂本 典昭(こすぎ坂本医院)

プロフィールをもっと見る
東邦大学医学部卒業後、東邦大学医療センター大森病院で麻酔科の経験を積む。その後、済生会横浜市東部病院では集中治療に従事したのち、仙台ペインクリニックや景翠会金沢病院で専門的なペインクリニック治療に携わり、2023年、川崎市中原区に「こすぎ坂本医院」を開院、院長となる。医学博士、日本麻酔科学会専門医、日本ペインクリニック学会専門医。

そもそもペインクリニックとは?

そもそもペインクリニックとは?

編集部編集部

「ペインクリニック」とはなんですか?

坂本 典昭先生坂本先生

ペインクリニックは、痛みや疼痛に特化した専門医が診療を行っている医療機関です。慢性的な痛みや難治性の疼痛を抱える患者さんに対して、痛みの原因を特定し、患者さんの日常生活に配慮した適切な治療や管理を行います。

編集部編集部

どんな特徴があるのですか?

坂本 典昭先生坂本先生

ペインクリニックには痛みに関する専門知識と経験を持った医師や医療スタッフが在籍しており、痛みの原因を専門的に追求したうえで、多様な治療法を提供することができます。

編集部編集部

痛みの原因は、どのように特定していくのですか?

坂本 典昭先生坂本先生

痛みの原因を特定するために必要な検査や評価が行われます。病歴の詳細な確認に始まり、身体的評価、画像検査、神経学的評価などを実施して、痛みの原因やメカニズムを明確にしてから、治療を行っていきます。

編集部編集部

どんな治療法があるのでしょうか?

坂本 典昭先生坂本先生

ペインクリニックでは、薬物療法、物理療法・運動療法などのリハビリテーション、神経ブロック療法など、多くの治療法が提供されます。個々の症状や状態に合わせて、医師と患者さんが相談しながら治療計画が立てられています。

痛みの治療法について詳しく教えて! 医師が徹底解説

痛みの治療法について詳しく教えて! 医師が徹底解説

編集部編集部

治療法について、もう少し詳しく教えてください。まずは薬物療法から。

坂本 典昭先生坂本先生

薬物療法はペインクリニックにおける中心的な治療法です。それぞれの痛みの種類や原因によって、適切な薬剤を処方していきます。いわゆる「鎮痛薬(非ステロイド性鎮痛薬)」も使用しますが、ほかに抗うつ薬、抗てんかん薬などを使うこともあります。抗うつ薬や抗てんかん薬には鎮痛作用があり、痛みの緩和が期待できると国際疼痛学会(IASP)のガイドラインにも示されています。

編集部編集部

リハビリテーションはどうですか?

坂本 典昭先生坂本先生

とくに慢性的な痛みには、いわゆる超音波や低周波などの器具を使った物理療法や、動きを円滑にするためのストレッチや運動などのリハビリテーションも用いられます。「痛いときに運動なんて……」と思われる方も多いかもしれませんが、適切な負荷で正しく運動を行えば問題はなく、むしろ痛みの緩和が期待できるのです。

編集部編集部

では神経ブロック療法についても教えてください。

坂本 典昭先生坂本先生

神経ブロック療法は、疼痛やしびれなどを軽減するために、神経に薬剤を注入する治療法の一つです。神経ブロックは、特定の神経や神経叢(神経の束)に対して行われ、その神経が担当する部位や組織に直接作用します。痛みやしびれ、知覚異常などの症状を軽減することができるだけでなく、痛みによって興奮状態になっている交感神経を抑制し、血流を良くすることができるので、痛みの悪循環を断つことができます。

治療方針はどうやって決めるの? ペインクリニックでの流れを教えて

治療方針はどうやって決めるの? ペインクリニックでの流れを教えて

編集部編集部

さまざまな治療法があるのですね。

坂本 典昭先生坂本先生

そうですね。さらに、神経ブロックにも「神経根ブロック」や「硬膜外ブロック」「星状神経節ブロック」などの種類があり、それぞれの症状や状態に応じて選択されます。

編集部編集部

治療方針はどのように決められるのですか?

坂本 典昭先生坂本先生

患者さんそれぞれの状態に応じて選択されるので、あまり単純には述べられないのですが、例えば急性疼痛と慢性疼痛では異なるアプローチが必要です。急性疼痛には炎症物質の抑制を内服治療で行っていくのが効果的であり、慢性疼痛には内服薬に加えて神経ブロックなどの方法が活用されます。一番重視しているのは患者さんの生活と症状との関連性です。痛みによって、日常生活にどのような影響が出ているのかお聞きして、初診時に治療の目標を立てます。その目標に対して内服治療のみで達成が見込めるか、または神経ブロックで効果を見ながら内服薬を追加していくか判断していきます。

編集部編集部

進行度によっても違ってきますか?

坂本 典昭先生坂本先生

「進行度」という点では、関節や筋などの解剖学的な変形の進行度で判断するという見方もあります。一方で、「痛みを脳まで伝える経路が過敏になる程度」を痛みの進行度の一つとして判断することもあります。痛みになって過敏になっている場合は、一度その悪循環を断つ必要がありますので、原因となっている部位に対しての神経ブロック、または脳から神経へ過敏にならないように落ち着かせる内服薬などを用いて治療を進めていきます。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

坂本 典昭先生坂本先生

痛みを表現し、人に伝えるのは簡単なようで実は難しいものです。原因のわからない痛みにお悩みの方は、ペインクリニックのような痛みの専門外来に一度相談することを検討してみてはいかがでしょうか。痛みの原因の説明や治療方法の提案を日常生活に配慮しながら行ってもらえると思います。

編集部まとめ

痛みの治療法にはさまざまな選択肢があり、それらを、痛みの原因や患者さんの生活などを考慮しながら選択し、提供してくれるようです。どうしたら良いのかわからない痛みに悩んでいる方は、一度お近くのペインクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

こすぎ坂本医院

こすぎ坂本医院
所在地 〒211-0063 川崎市中原区小杉町3丁目441伊達ビル2階
アクセス 東急東横線・目黒線、JR南武線『武蔵小杉駅』南口より徒歩約3分
JR横須賀線・湘南新宿ライン『武蔵小杉駅』新南口より徒歩約8分
診療科目 内科・小児科・ペインクリニック

この記事の監修医師