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【漫画付き】ペインクリニックは痛みをとるだけ? 根本治療はしてくれないの?

 更新日:2023/03/27
【漫画付き】ペインクリニックは痛みをとるだけ? 根本治療はしてくれないの?

ペインクリニックは、どんな痛みにも対応してくれますが、痛みそのものの原因となる病気や怪我などの根本治療にはどう関わっているのでしょう。痛みを緩和する治療法の具体的な内容から、治療への取り組み方など、患者の痛みに寄り添う治療を実践されている「どばし泌尿器クリニック」の土橋富美子先生に解説いただきました。

土橋 富美子

監修医師
土橋 富美子(どばし泌尿器科クリニック)

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日本大学医学部卒業。国際医療福祉大学熱海病院麻酔科、国際医療福祉大学講師などを経て、2019年9月に熱海市にて「どばし泌尿器科クリニック」を夫婦で開業し、ペインクリニック内科を担当。日本麻酔科学会認定麻酔科専門医、日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医、緩和ケア研修修了。

治療は①神経ブロック、②理学療法、③内服薬

治療は①神経ブロック、②理学療法、③内服薬

編集部編集部

「痛み」をとってくれるペインクリニックですが、根本治療はしてくれないのでしょうか?

土橋先生土橋先生

痛みの原因が首の骨(頸椎)・肩や膝の関節・腰の骨(腰椎)など骨格の変性によるものである場合には、局所の炎症を神経ブロックで抑えることにより根本治療が可能です。手術をしなくても日常生活が送れるよう症状をコントロールしていきます。ただ、腹痛など内臓の痛みの場合は病気のサインであることが考えられるので、原因がどこからきているのかを探って、場合によっては専門医へご紹介します。一重に『痛み』と言っても原因は様々です。患者様それぞれに合った治療を選択、提案していきます。

編集部編集部

ペインクリニックを訪れる患者さんに多いのは、どんな痛みでしょうか?

土橋先生土橋先生

多いのは、首や肩のこり五十肩腰痛坐骨神経痛膝の痛み頭痛帯状疱疹後の神経痛肋間神経痛などですね。痛みの程度や原因、また生活の状況はさまざまですので、患者様のお話を聞いて、生活の質を少しでも上げるために痛みを緩和する、ということを目標にやっています。

編集部編集部

ペインクリニックではどんな治療が主流ですか?

土橋先生土橋先生

ペインクリニックでの治療は主に3種類で、①神経ブロック(注射)②理学療法③内服薬です。神経ブロックとは、局所麻酔薬や抗炎症剤を神経の近くに針を使用して投与することで局所の痛みや炎症を軽減します。血流も改善するため、自己回復力を高めます。ただ、針を刺すということに抵抗がある方には、ウオーターベッドや低周波治療器といった理学療法を繰り返し行うことで痛みを緩和させる方法もあります。また、疾患によっては内服治療がメインになる場合もあります。

編集部編集部

「神経ブロック」と聞くと怖いイメージがありますが、リスクはないのでしょうか?

土橋先生土橋先生

使用する針は極力細い針を使用しています。予防接種で使用するのと同じ細さです。神経の近くに針を進めることによる神経損傷や感染のリスクはゼロではありませんが、神経ブロック施行の頻度を適切に守ること、患者さんの体調の悪い時の施行は避けることを遵守すればリスクはかなり低い治療です。

編集部編集部

治療には、飲み薬も使いますか?

土橋先生土橋先生

はい。急性の炎症がある場合には消炎鎮痛薬を使用します。痛みが慢性的(3カ月以上)になり神経因性疼痛といって、坐骨神経痛や肋間神経痛、帯状疱疹後神経痛に代表されるような『しびれる』『ビリビリする』『時々ビーンとした痛みがある』といった症状の場合には、抗うつ薬抗けいれん薬といった薬を使用します。複数の薬を漫然と内服しているだけでは副作用ばかりが出てしまうので、患者様と相談しながら必要最小限の処方を心がけています。

神経ブロック注射は局所麻酔で痛みをブロック。効果は1~2時間

神経ブロック注射は局所麻酔で痛みをブロック。効果は1~2時間

編集部編集部

「神経ブロック」とは、具体的にどんな治療法でしょうか?

土橋先生土橋先生

神経ブロックとは、局所麻酔薬や抗炎症剤を神経の近くに針を使用して投与することで局所の痛みや炎症を軽減する治療です。血流も改善するため、自己回復力を高めます。痛みは「患部が痛いから動かさない」→「血流が悪くなる」→「発痛物質が溜まる」→「痛みが増悪する」といった悪循環がおこります。そのような時に神経ブロックで痛みを止め、痛みの悪循環を遮断することで辛く続いていた痛みから徐々に解放されていきます。

編集部編集部

「神経ブロック」では、どんな場所に注射をするのでしょうか。

土橋先生土橋先生

トリガーポイントといって、首こり・肩こりの方でしたら、首や肩のコリの強いところへ注射をします。腰痛・坐骨神経痛の方でしたら、腰椎(腰の骨)・仙骨(尾てい骨)のあたりから神経の近くへアプローチします。肩や膝の関節注射も症状に合わせて行います。痛み止めを点滴して全身へ投与するのではなく、痛みの原因となっている局所へ必要量を投与します。

編集部編集部

「神経ブロック」には、痛み止めの他にどんな薬が使われますか?

土橋先生土橋先生

痛みがひどい場合は、局所麻酔薬と一緒に抗炎症剤を投与します。椎間板ヘルニアによる腰や足のひどい痛み、坐骨神経痛の悪化で臀部の辛い痛みがある場合は抗炎症剤を使用すると、神経ブロックの効果がより持続します。

慢性痛は治りが遅くなるため、急性痛のうちにペインクリニックへ

慢性痛は治りが遅くなるため、急性痛のうちにペインクリニックへ

編集部編集部

痛みは我慢しないほうがいいと聞いたことがありますが、本当ですか?

土橋先生土橋先生

そうですね、誰でも痛みを我慢していると辛くなり、鬱々としてきます。特に、その辛さが誰にも分ってもらえない時にはイライラしてしまいます。『何か悪い病気なのかしら』と不安にもなります。ですから、なるべく我慢はせずに受診をお勧めします。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

土橋先生土橋先生

痛みが続くと気分が鬱々とし、日常生活がうまくいかなくなってしまいます。周囲にわかってもらえない痛みはつらいものです。一人で悩まずに、まずはペインクリニックを受診してみてください。日常生活を楽しめるようお手伝いをいたします。

編集部まとめ

どんな痛みにも対応してくれるペインクリニックは、心強い存在です。ただ、痛みを一時的にとるだけでは、根本治療にはならないのでは? という心配がありましたが、心配は杞憂だったよう。痛みの原因を探ってくれて、痛みを根本から治すために必要な専門医を紹介し、時には連携して治療にあたってもらえることがわかりました。
ペインクリニックが最も得意とするのは、痛みを一時的に抑える「神経ブロック注射」。効果は1~2時間とはいえ、痛みで動かさなくなっている部分を少しでも動かすだけで、痛みの悪循環から解放され、治りが早くなる効果もあります。
痛みは、我慢すると精神的にもよくないだけでなく、長引くほど治りづらくなるとのこと。痛みが気になるときは、できるだけ早くペインクリニックに頼ることが、痛みとうまく付き合うコツだと学びました。

医院情報

どばし泌尿器科クリニック

どばし泌尿器科クリニック
所在地 〒413-0015 静岡県熱海市中央町17−15 K’sメディカル3階
アクセス 熱海駅から徒歩17分/来宮駅から徒歩13分
JR熱海駅よりバスにて清水町バス停下車
診療科目 泌尿器科・腎臓外科・ペインクリニック内科・麻酔科

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