「在宅介護サービス」の種類や利用する際の流れを介護福祉士が徹底解説! 費用を抑えるために知っておきたいこととは?
「親の介護が必要になった場合、どこに相談すればいいの?」「在宅介護サービスにはどんな種類がある?」という悩みをお持ちの方は多くいらっしゃると思います。いざというときに前もって準備をしておけば、最適なサービスを受けることができます。そこで、今回は介護福祉士の若山さんに在宅介護サービスの種類や利用する際の流れについて解説してもらいました。
監修介護福祉士:
若山 慎吾(介護福祉士)
在宅介護サービスの種類や特徴は?
編集部
在宅介護サービスとはなんですか?
若山さん
在宅介護サービスは、要介護者が自宅にいながらにして受けられるさまざまな介護サービスのことを指します。これには、介護福祉士など専門職の人が自宅を訪問して行うサービスや、要介護者が施設へ通いサービスを受けるタイプが含まれます。
編集部
在宅介護サービスには、どんな種類がありますか?
若山さん
在宅介護サービスには多くの種類があります。例えば、ホームヘルパーが自宅を訪問して生活援助や身体介護を行う「訪問介護」、自宅での入浴が困難な場合に利用できる「訪問入浴介護」、医療従事者が自宅を訪問し療養上のサポートを提供する「訪問看護」、リハビリテーションの専門職が自宅を訪問して機能回復訓練を行う「訪問リハビリテーション」などがあります。また、デイサービスセンターに日帰りで通い、介護サービスやレクリエーションを受ける「通所介護」も在宅介護サービスのひとつです。
編集部
在宅介護サービスを受ける上で注意するポイントはありますか?
若山さん
在宅介護サービスを受ける際には、まず利用者のニーズや状態に合ったサービスを選ぶことが大切です。また、利用するサービスの質や提供者の専門性を確認すること、費用や利用可能な時間帯、居住地などの条件を理解することも重要です。例えば、地域密着型サービスは事業所と同じ市区町村に住む住民のみが利用できます。地域包括支援センターや担当のケアマネージャーに相談すると、詳しい情報が得られます。
在宅介護サービスを受けるまでの流れ
編集部
在宅介護サービスを受けるためには、まず何から始めたらいいですか?
若山さん
最初に行うべきは、「要介護認定を受けること」です。これは、介護サービスを受けるために必要な手続きで、介護が必要な程度を判定するものです。高齢者が日常生活で困難を感じ始めた場合、まずは市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請をしましょう。その後、専門の調査員が自宅を訪問して、日常生活の状況や介護が必要な程度を評価します。評価の結果に基づいて要介護度が決定され、それに応じた介護サービスを利用できるようになります。
編集部
要介護認定を受けた後、どのようにして介護サービスを選ぶのですか?
若山さん
要介護認定を受けた後は、ケアマネージャーと相談しながら、個々のニーズに適したケアプランを作成します。ケアマネージャーは、利用者や家族の希望を聞きながら、介護保険サービスの中から最適なものを提案します。利用者の日常生活や健康状態、家族の状況に合わせて、必要なサポートを組み合わせることが大切です。最後に、ケアプランに基づいてサービス提供事業所を選び、サービスの利用を開始します。
編集部
介護サービスを利用している際に、状況が変わった場合はどう対応するべきですか?
若山さん
介護サービスを利用中に利用者の状況に変化があった場合は、ケアマネージャーに連絡して相談しましょう。利用者の健康状態や要望が変わった場合、ケアプランの見直しが必要になります。ケアマネージャーは、医療や介護の専門家と連携し、利用者に適したサービスへの再調整を行います。また、認知症の進行などにより、在宅での介護が困難になった場合は、施設への入所やほかの介護サービスへの切り替えが必要です。常に利用者の最善の利益を考え、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
在宅介護サービスの費用は?
編集部
在宅介護サービスの利用にはどのくらい費用がかかりますか?
若山さん
在宅介護サービスの費用は、利用するサービスの種類や頻度によって異なりますが、大きく分けて介護保険で補う費用と自己負担があります。介護保険を利用する場合、利用者はサービス費用の1~3割を自己負担として支払う必要があります。この自己負担の割合は、利用者の所得によって異なります。例えば、訪問介護や通所介護、訪問入浴などのサービスを利用した場合、サービス提供時間や内容に応じた費用が発生し、その一部を利用者が負担します。また、介護保険外のサービスを利用する場合は、全額自己負担となることもあります。具体的な費用は、サービス提供事業所やケアマネージャーに相談して確認することが重要です。
編集部
介護サービスの費用を抑えるためにはどのような方法がありますか?
若山さん
介護サービスの費用を抑える方法として、まずは利用者や家族が介護保険の制度について正しく理解し、適切なサービスを選ぶことが大切です。ケアマネージャーと相談しながら、本当に必要なサービスを効率的に利用することで、無駄な費用を削減できます。また、地域の支援サービスやボランティア団体が提供する無償または低額のサービスを活用することもひとつの方法です。例えば、地域の福祉センターやNPOが行う見守りサービスや軽微な家事援助などがあります。これらを利用することで、費用を抑えることが可能です。
編集部
介護サービスの費用に関して、家族が知っておくべきポイントはありますか?
若山さん
介護費用に関して家族が知っておきたいポイントは、ケアプランを定期的に見直すことの重要性です。利用者の状態や家族の状況は時間とともに変化するため、ケアプランを定期的に更新し、現在のニーズに合ったサービスを選択することで経済的負担を抑えられる可能性があります。例えば、症状の改善や悪化、家族の支援体制の変化などがあれば、それに合わせてサービスの種類や量を調整しましょう。さらに、介護保険以外の支援制度についても情報を収集し、可能な限り利用することも費用負担軽減の一助となります。自治体や福祉相談窓口を通じて、現状に適した支援制度がないか調べてみましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
若山さん
在宅介護サービスは種類が多いため、情報をしっかりと収集して自分や家族など利用者に合ったサービスを選択することが重要です。介護は一人で抱え込むものではなく、専門家や地域社会と協力して取り組むことが大切です。介護保険制度や様々な支援サービスがありますが、それらを最大限に活用するためには、正確な情報と理解が必要です。不安や疑問があれば、遠慮せずに専門家や相談窓口に相談しましょう。介護は決して一人ではないということを忘れずに、前向きな気持ちで取り組んでいただければと思います。
編集部まとめ
在宅介護サービスを利用すると、自宅での介護のさまざまなサポートを得られます。最適なサービスを選択するためには、利用者のニーズやサービスの質、費用などを総合的に考慮する必要があります。また、費用を抑えるためには、必要なサービスを効率的に利用することが大切です。ケアプランの定期的な見直しや自治体の支援制度を調べることで、経済的な負担を軽減できます。在宅介護サービスを適切に利用するためには、専門家の意見が欠かせません。わからないからと諦めて無理な在宅介護を続けるのではなく、市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談し、在宅介護サービスを活用しましょう。