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骨粗鬆症の初期症状・セルフチェック方法を医師が解説 症状の特徴や病院での診断・検査も説明

 公開日:2023/10/12
骨粗鬆症の初期症状・セルフチェック方法を医師が解説 症状の特徴や病院での診断・検査も説明

筋肉が弱くなった時は自分でもなんとなく衰えを感じることもありますが、骨が弱くなったとしても、自分で気づくのは難しそうです。そこで骨が弱くなって起こると言われる骨粗しょう症の初期症状やセルフチェック方法などについて、整形外科医の乗松祐佐先生(のりまつ整形外科・骨粗しょう症クリニック院長)にMedical DOC編集部が聞きました。

乗松 祐佐

監修医師
乗松 祐佐(のりまつ整形外科・骨粗しょう症クリニック)

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2000年に自治医科大学医学部を卒業後、自治医科大学大学院(博士課程)や米・マサチューセッツ総合病院(ハーバード大学)博士研究員、国際医療福祉大学教授などを経て、2023年6月、東京都世田谷区に「のりまつ整形外科・骨粗しょう症クリニック」を開院、院長となる。整形外科一般診療はもちろんのこと、特にリハビリテーションや骨粗しょう症診療などに強みを活かした医療を展開している。

骨が脆くなる骨粗鬆症(骨粗しょう症)とはどんな病気? 初期症状や原因・特徴についても教えて

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編集部編集部

骨粗しょう症とはどんな病気ですか?

乗松 祐佐先生乗松先生

骨粗しょう症を一口で言うと、骨折しやすくなる病気ということです。骨には、カルシウムなどのミネラルが含まれているのですが、その量のことを骨量と言います。骨量が何らかの原因によって減少すると骨の中がスカスカの状態になり、折れやすくなってしまいます。これが骨粗しょう症です。

編集部編集部

どんな症状が出るのですか?

乗松 祐佐先生乗松先生

骨粗しょう症の自覚症状はほとんどないため、転んで手をつく、くしゃみをするといった理由などで骨折してしまい、はじめて発症に気づくことが多いのです。骨粗しょう症によって骨折しやすくなる部位は、手首の骨、脊椎(体の重さに耐えられなくなって生じる圧迫骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨近位部骨折)、肋骨、骨盤などです。

編集部編集部

骨粗しょう症の原因はなんですか?

乗松 祐佐先生乗松先生

発症の原因は加齢や閉経、もしくは無理なダイエットによる栄養不足などによって引き起こされる原発性骨粗しょう症と、特定の病気や薬剤の使用が契機となって発症する続発性骨粗しょう症の2種類に分類されます。しかしながら、骨粗しょう症の患者さんの多くは高齢女性であることを考えると、骨粗しょう症と閉経が密接に関係していることがわかると思います。

編集部編集部

それはなぜですか?

乗松 祐佐先生乗松先生

元来、骨は常に新陳代謝を繰り返します。具体的には、破骨細胞により古くなった骨は壊され、骨芽細胞により骨を修復し、新たな骨を作るというサイクルを続けていきます。しかし、閉経によりエストロゲンというホルモンが減少すると、破骨細胞のスピードに骨芽細胞が追い付かなくなり、骨量が減少し、骨が折れやすくなるのです。

病院で骨粗鬆症と診断される人によくある症状 骨粗しょう症の診断には骨密度検査等どんな検査が必要?

病院で骨粗鬆症と診断される人によくある症状 骨粗しょう症の診断には骨密度検査等どんな検査が必要?

編集部編集部

骨粗しょう症と診断される人によく見られる症状はありますか?

乗松 祐佐先生乗松先生

よく見られるのは、身長の減少や姿勢の変化です。「脊椎」いわゆる「背骨」の骨折や変形により、身長が縮んだり、背中が丸まったりすることがあります。またその結果、お腹や背中の痛みを訴えることもあります。あとは、骨粗しょう症は歯ぐきの骨も影響を受けるため、歯の保持が難しくなり、グラグラしてくることもあります。

編集部編集部

骨粗しょう症の診断には骨密度検査など、どんな検査が必要ですか?

乗松 祐佐先生乗松先生

骨粗しょう症の診断をつける検査はいくつかありますが、よく行われるのが骨密度検査です。骨密度とは、単位面積あたりの骨量を言います。同検査の種類はいくつかありますが、一般的に行われていて信頼度の高い検査は2種類のX線を照射する「DEXA法」です。ほとんどの場合、腰椎と大腿骨の付け根の2箇所の骨密度を測定します。

編集部編集部

ほかにはどのような検査がありますか?

乗松 祐佐先生乗松先生

骨密度検査に加えて、脊椎の圧迫骨折の有無を調べるための単純X線撮影(レントゲン)、採血検査および尿検査による骨代謝マーカーの測定、何か別の病気に罹患してないかを調べる血液検査などを実施することもあります。

編集部編集部

それらの結果を踏まえ、どのように診断されるのですか?

乗松 祐佐先生乗松先生

やや専門的な話になりますが、「脆弱性骨折」があるかどうかということに骨密度検査の結果を組み合わせて診断されます。「脆弱性骨折」とは、先ほどの「くしゃみをしたら骨折した」といったような、軽微な外力によって発生した骨折のことです。以下のようなケースだと「骨粗しょう症」と診断されます。

(1) 椎体骨折または大腿骨近位部骨折がある
(2) (1)以外の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満
(3) 骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD以下

編集部編集部

YAMとかSDとは何ですか?

乗松 祐佐先生乗松先生

骨密度のYAMとは「若年成人平均値」のことで、健康な20歳から44歳(部位によっては20〜29歳)の骨密度の平均値を表しています。SDとは「標準偏差」のことで、数値(Tスコア)は平均からどれだけ離れているかの値です。骨密度のTスコアが-1未満であれば骨密度の低下があることを示しているため、-2.5SD以下というのは骨密度がかなり低下していると言えます。

骨粗鬆症(骨粗しょう症)のセルフチェック法を医師が紹介 更年期・閉経後の女性や腰痛持ちは骨密度の低下に注意が必要?

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編集部編集部

では、自分でチェックする方法はありますか?

乗松 祐佐先生乗松先生

骨粗しょう症そのものをご自身でチェックすることはできませんが、以下に当てはまる人は骨粗しょう症の可能性があります。思い当たる方は、早めの検査をお勧めします。

□ 身長が縮んだ(若い時より2cm以上)
□ 背中や腰が曲がってきた
□ 背中や腰に痛みを感じる
□ お腹がすぐ苦しくなり、あまり食べられない
□ すぐに息切れがする
□ 重いものを持ったり、立ち上がったりする時に腰などに痛みが走る

編集部編集部

なぜ早めの検査が良いのですか?

乗松 祐佐先生乗松先生

先述のとおり、骨粗しょう症は骨折をしてはじめて気がつく方がとても多いのです。さらに、骨粗しょう症の方が骨折をすると、治癒するのにも時間がかかってしまいます。早期に診断がつき、早期に対応できれば骨折を防ぐことが期待できます。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

乗松 祐佐先生乗松先生

繰り返しになりますが、骨粗しょう症の方が一旦骨折してしまうと、治るまでにリハビリを含めると長期の期間を要します。その間に筋力が落ちたり、バランスが悪くなったりしてさらに転倒の危険が増します。そのようにして骨折が連鎖してしまうリスクを避けるためにも、早期に診断し、早期に治療することが必要です。先ほどのチェックリストで思い当たる項目がある方は、早めにお近くの医療機関、特に骨粗しょう症外来などを行っているところに相談してみてください。また、チェック項目に当てはまらなかった方も、50歳を過ぎたら、一度は骨粗しょう症検査を受けることをお勧めします。

編集部まとめ

骨粗しょう症は自覚症状がほとんどなく、骨折するまで気が付かないことが多いため、それぞれが自分の状態を意識し、定期的に検査を受けるのが重要なのですね。まずは、先述のセルフチェックで自身の状態を確認してみてはいかがでしょうか。

医院情報

のりまつ整形外科・骨粗しょう症クリニック

のりまつ整形外科・骨粗しょう症クリニック
所在地 〒157-0064 東京都世田谷区給田1-3-11 グランスイート世田谷仙川1F
アクセス 京王線「仙川」駅より徒歩10分
京王線「千歳烏山」駅より徒歩15分
診療科目 整形外科、スポーツ整形外科、リハビリテーション科、リウマチ科

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