「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」の初期症状・予防法はご存知ですか?医師が監修!
成長期に増える骨の量は20歳前後でピークを迎え、年齢を重ねるにつれて質は悪くなり量も減ります。その結果脆くなった骨が折れやすくなり、骨折によって生活の質も落ちてしまうパターンが大半です。
骨粗鬆症は高齢者がなりやすい病気として知られているので、まだ若い年齢だと普段の生活で意識することが難しいかも知れません。しかし将来の健康を守るためにも早めに意識しておくことが大切です。
ここでは骨粗鬆症はどのような病気なのか、症状の特徴や発生の原因、治療時におけるポイントについてお話させて頂きます。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の特徴
骨粗鬆症(骨粗しょう症)はどんな病気ですか?
その後、老化現象や食生活などの影響で骨の量が減ったり質も悪くなったりすると、骨粗鬆症を発症しちょっとした刺激ですぐに骨折するようになってしまいます。大変危険な状態なので早急に治療が必要です。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の初期症状とはどんなものですか?
骨折のときは折れたところに痛みが生じ、動かせなくなります。ところが痛みをあまり感じないこともあるのが、この病気の厄介なところです。
痛みを感じることができなかったせいで、骨折の発見が遅れることもあります。特に折れやすくなるのは手首の骨・背骨・骨盤・肩・太ももの付け根部分の骨です。背中や腰の骨に異常が生じると、2cm以上身長が低くなることもあります。身長が縮むのは椎体が潰れてしまうせいです。その他、背中が丸くなる症状が出ることもよくあります。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)はなぜ起こりますか?
ところが、何らかの理由でこの代謝サイクルが正常に回らなくなると、骨の形成スピードよりも早く破壊の方が進んでしまいます。その結果、骨全体の量が少なくなってしまい、ちょっとした衝撃で簡単に折れてしまうほど弱くなってしまうわけです。
骨の代謝バランスがおかしくなってしまう原因は色々ありますが、栄養不足も一因として考えられます。カルシウム・マグネシウム・ビタミンDなど骨を形作るのに欠かせない栄養が不足すると、骨の新陳代謝がうまくいきません。毎日の運動量があまりにも足りない場合も、骨に必要な負荷が不足して栄養をしっかり取り込めなくなります。
その他、エストロゲンなど女性ホルモンの減少やステロイドなど医薬品の副作用も、発症に関与する要因の1つです。
高齢者の方が発症しやすいと聞きました。
50代前半から発症しやすくなり、70代の2人に1人がこの病気を発症しています。ご家族の方も、高齢者の転倒などに注意して見守ってあげることが必要です。
性別により発症しやすさは違いますか?
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の診断と治療方法
診断は何科で受けるべきですか?
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の診断方法を教えてください。
画像診断と併せ、血液や尿を調べる検体検査も必要です。骨折の経験など問診の結果も踏まえた上で骨粗鬆症かどうか判断するのが、一般的な流れになります。
治療にはどんな薬を使いますか?
いずれにしても、正常に機能しなくなった骨の新陳代謝のバランスを調整し、骨の量を増やすための薬剤が投与されます。
薬以外にどんな治療を行いますか?
骨粗鬆症(骨粗しょう症)治療におけるポイント
骨粗鬆症(骨粗しょう症)は治りますか?
特に高齢者は病気の有無に関わらず骨折によって生活の質が著しく低くなる可能性があります。調査によって、死亡率も上昇することも判明しました。そのため、治療後も定期検診を欠かさずに受けて、食事療法や運動療法を継続する必要があります。
予防に効果のあることは何ですか?
遺伝要素や加齢の影響など自分では除去しきれない発症リスクもありますが、栄養や運動対策などはご自身の努力で取り除ける危険因子も少なくありません。喫煙や過度の飲酒など問題のある生活習慣を改め、大量のコーヒーなど刺激物を避けることも予防に効果的です。
高齢になると誰でも骨粗鬆症(骨粗しょう症)になるのは本当ですか?
最後に、読者へメッセージをお願いします。
もちろん、骨粗鬆症は遺伝要素なども絡んでくるので、予防すれば必ず防げる病気とはいえません。ただ、治療でも食事療法と運動療法は主軸になるぐらい、食生活と運動習慣は大切な要素です。
骨の健康を維持するために必要な栄養を摂取し、運動不足にならないよう若いうちから意識することは生涯に渡り生活の質を落とさないためにも大事なことです。運動もウォーキングなど簡単な方法で構わないので、できることから始めましょう。
編集部まとめ
骨粗鬆症はちょっとしたことでも骨折しやすくなってしまう病気です。骨折すると思うように身体を動かせなくなるので、行動範囲が一気に狭くなります。
お世話をするご家族にも負担がかかってしまうので、骨粗鬆症を予防することは家族全員の協力が必要といえるのではないでしょうか。
幸い、カルシウムが多い牛乳は身近な飲み物で、コンビニやスーパーで手軽に買えます。和食自体、小魚や豆腐など骨の健康を守るための食材を多く使うので、日本は食事の対策を実践しやすい環境です。
運動対策と併せ普段から骨の健康を守るためのヘルシーな食生活を心がけましょう