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「肝斑」治療を皮膚科医が解説 レーザー・飲み薬・塗り薬 効果的な治療法とは?

 公開日:2023/07/19
「肝斑」治療を皮膚科医が解説 レーザー・飲み薬・塗り薬 効果的な治療法とは?

「肝斑」はシミの一種ですが、日光黒子(老人性色素斑)、そばかすなどと異なり、レーザー治療では治らず、かえって悪化させてしまう可能性が高いそうです。同じ「シミ」の仲間なのに、何故なのでしょうか? そこで肝斑治療法について、美容皮膚科医の高瀬聡子先生(ウォブクリニック中目黒総院長)に、Medical DOC編集部が話を聞きました。

髙瀬 聡子

監修医師
髙瀬 聡子(ウォブクリニック中目黒)

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東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院にて臨床研修修了。その後、東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科診療に従事、アトピー外来・レーザー外来などを担当。2007年、東京都目黒区に「ウォブクリニック中目黒」を開院。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会、日本香粧品学会、日本レーザー医学会の各会員。著書に「ゆる美容事典」ほか。

頬にできる肝斑(かんぱん)とは? 皮膚科医が肝斑ができる原因やシミとの違いも含めて解説

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編集部編集部

「肝斑」とはなんですか?

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

主に30~40代を中心とし、50代後半くらいまでの時期に頬骨・目の周りを中心に左右対称に表れるのが肝斑です。「日光黒子(老人性色素斑)」や「そばかす」のようにはっきりした輪郭は、肝斑には見られません。もやっと薄褐色のシミが広がるイメージです。

編集部編集部

「シミ」とは違うのですか?

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

「シミ」の種類の一つが肝斑です。はっきりとした輪郭がないほか、左右対称に表れたり、色も若干異なっているなどの特徴から、ほかのシミと区別することできます。しかしながら、「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」のように、左右対称に表れるあざや「日光黒子」の下に肝斑がかくれているケースなど、さまざまなパターンがあり、肝斑をきちんと診断するのは専門家でないと難しいかもしれません。

編集部編集部

では、肝斑ができる原因はなんなのですか?

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

肝斑もほかのシミと同様に、紫外線や肌への過剰な摩擦・刺激で悪化する傾向があり、これらが原因の一つとなっていると考えられています。しかし、厳密な発生のメカニズムについては、実のところまだはっきり分かっていません。妊娠や経口避妊薬(ピル)の服用で肝斑ができたり、高齢となって閉経を迎えると肝斑が薄くなったり消えたりすることから、女性ホルモンのバランスが関わっているのは間違いないと思います。また、ストレスとも関わりがあると言われています。

編集部編集部

閉経で薄くなったり消えたりするのですね。

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

そうです。肝斑の発生は50代後半くらいまで続きますが、60代を超えてから発生することはあまりありません。ほかのシミでも、例えば「そばかす」は、思春期を中心に発生し、「日光黒子」は加齢とともに発生の割合が高くなるなど、年代により発生のしやすさが異なるものがあります。

肝斑の治療法には何がある? レーザー・飲み薬・塗り薬で治療できるって本当? 治療法別の特徴と選び方を知ろう

肝斑の治療法には何がある? レーザー・飲み薬・塗り薬で治療できるって本当? 治療法別の特徴と選び方を知ろう

編集部編集部

肝斑の治療法を教えてください。

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

トラネキサム酸やビタミンCなどの内服薬が有効です。トラネキサム酸にはメラニンの発生を抑える働きがあり、現在の肝斑治療では最もポピュラーな方法となっています。さらに、ハイドロキノンクリームや美白剤などの外用薬を使った治療もあります。

編集部編集部

レーザーで治療する方法もあるそうですね。

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

はい。ですが、レーザーについて知っておいていただきたいのは、肝斑が通常のシミ用レーザーでは消えないばかりか、症状を悪化させてしまう可能性があるということです。また、一般的な美白ケアではなかなか症状が治まらないのも肝斑の特徴です。当院では、肝斑には「お薬」と「肝斑専用のレーザー」とのコンビ治療が効果的と考えています。

編集部編集部

肝斑専用のレーザーがあるのですか?

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

はい。繰り返しになりますが、肝斑は、通常のシミ用レーザーで治療を行うとレーザーのパワーが強すぎて余計に悪化してしまいます。肝斑を改善するには、必要以上の刺激を与えないよう、ごく弱いパワーで肌の中に停滞しているメラニンを少しずつ壊していく肝斑専用のレーザー治療が必要です。

編集部編集部

セルフケアで、肝斑に有効なものはありますか?

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

多くの美白成分入り化粧品は「シミの原因であるメラニンの生成を抑えて発生を防ぐ」という予防的な役割ですが、ハイドロキノンという成分が配合されている美白化粧品は、メラニン色素そのものを薄くする働きがあります。そのため、すでにできてしまったシミ・肝斑に対してもアプローチできます。

肝斑治療のQ&A 皮膚科での治療は保険適用? トラネキサム酸などシミ用市販薬の効果は? 肝斑を放置しても自然に治ることはない?

肝斑治療のQ&A 皮膚科での治療は保険適用? トラネキサム酸などシミ用市販薬の効果は? 肝斑を放置しても自然に治ることはない?

編集部編集部

肝斑の治療は、保険適用になりますか?

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

肝斑の治療には基本的に、保険は適用されないため自費診療となります。

編集部編集部

肝斑を放置していても、自然に治ることはないのですか?

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

紫外線や、肌への過剰な摩擦・刺激を避けることで、少しずつ薄く、目立たなくなっていったり、閉経に伴って肝斑が解消されたりすることは期待できますが、そうしたことを除けば基本的に「肝斑を放置していて自然に治る」と言うことは考えにくいと思います。

編集部編集部

シミや肝斑用の「トラネキサム酸」は、市販薬でも良いのですか?

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

ドラッグストアなどでもトラネキサム酸配合の内服薬を手に入れることはできます。ただし、ピルとの併用ができないなど、服用に際しては十分な注意を必要としていますので、不安がある方は服用前に皮膚科医・美容皮膚科医に相談するのが確実です。

編集部編集部

最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあればお願いします。

髙瀬 聡子先生髙瀬先生

「肝斑」は「シミ」の一種ですが、治療やケアの方法は全く異なります。それぞれに適した治療法を選択せず、自己判断でケアしてしまうと、効果を実感できないだけでなく、場合によっては症状が悪化してしまうこともあるため、まずは皮膚科医や美容皮膚科医など、専門家へ相談することをお勧めします。皮膚科・美容皮膚科など専門機関でのシミ・肝斑治療を検討する際は、「しっかりとカウンセリングをしているか」「いくつかの治療法から、症状にあった適切なものを提案してくれているか」などに着目して選ぶと良いでしょう。

編集部まとめ

自分のシミの種類を判断してもらうためにも、そして、適切な治療法を提案してもらうためにも、まずは専門家に相談するのが良いようです。メラニン色素そのものを薄くする「ハイドロキノン」が配合されている美白化粧品も気になるところです。

医院情報

ウォブクリニック中目黒

ウォブクリニック中目黒
所在地 〒153-0061 東京都目黒区中目黒1-10-23 シティホームズ中目黒アネックス2F
アクセス 東急東横線「中目黒駅」 徒歩3分

診療科目 皮膚科、美容皮膚科

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