ワキガ治療は保険適用? 治療法別の違いや費用を医師が解説 自由診療との自己負担額の違いは?

大西先生

明確な診断基準のようなものはありませんが、汗が臭いを発する「腋（えき）臭症」というものの中でも、とくに脇に強い臭いを発するものを「ワキガ」と呼んでいます。古い雑巾や硫黄、納豆などに似ていると言われる独特な臭いが特徴です。

大西先生

腋窩（えきか）部の「アポクリン腺」というところから分泌される汗が原因で起こります。汗には2種類あり、運動時などにたくさん汗をかく場合などは「エクリン腺」というところから分泌されますが、そちらはワキガの原因とはなりません。アポクリン腺から出る汗は、脂質やたんぱく質を含むため、ワキガの原因になるのです。

大西先生

アポクリン腺からの分泌物自体は、無臭であると言われています。その汗が、皮膚にある脂肪分やエクリン腺からの汗と混ざったり、皮膚や脇毛の常在細菌により分解されたりした結果、臭いの物質が出てしまうのです。

大西先生

そうです。ただし、原因は汗なので、汗をかきやすい人ほど症状が出やすいといえます。ワキガの症状がある方の中には、多汗症に悩んでいる人も少なくありません。

大西先生

そうですね。ワキガや多汗症は、医療機関で治療することができます。治療方法はいくつかありますが、当院ではメスを使わず、治療効果も半永久的と言われている「ミラドライ」という治療法をお勧めしています。傷跡も残らず、子どもから高齢者までどなたにも安全性の高い治療法です。

大西先生

ミラドライは「マイクロウェーブ」と呼ばれる電磁波を照射して、2種類の汗腺（アポクリン腺、エクリン腺）の働きをほぼなくしてしまう治療です。狙った部位だけに確実に電磁波を照射できることが最大の特徴で、汗腺の多い皮下2～3mmの層にエネルギーを集中させることができます。そのため安全で確実なワキガ・多汗症の解決が期待できます。

大西先生

はい。メスを使った手術療法があります。当院の場合は、脇のしわに沿って1本又は2本の切開を入れ、アポクリン腺、エクリン腺を直接見てハサミで切除していく剪除法（せんじょほう）という方法を採用しています。こちらは「皮弁法」とも呼ばれる方法ですね。

大西先生

「ミラドライ」も「剪除法」も効果が半永久的に持続する優れた治療法ですが、「まずは少し様子をみたい」という方には、汗腺の働きを抑える「ボトックス注射」などの治療もあります。こちらの効果は約6ヶ月です。

大西先生

剪除法手術は健康保険の適用になります。手術代は、3割負担の方で両脇で約6万円です。ボトックスやミラドライは、自費治療になりますね。

大西先生

参考までに当院では、ミラドライの1回目は33万円、2回目は14万8500円（※1年以内）です。ボトックスは両脇で7万7000円になります。

大西先生

自分の臭いを気にせずに、スポーツなどを楽しめるようになると、QOLも大きく向上します。ただ、ワキガ治療をどの医療機関で受けても大きな差はないように思えて、迷ってしまう方も多いと思います。そんな時は、決して費用の安さだけで判断せず、実績はあるか、しっかりとしたカウンセリングを行っているか、アフターフォローが受けられるかなどを確認してから医療機関を選択することをお勧めします。