「ワキガ」とは?原因・治療・手術についても解説!【医師が監修】
更新日:2023/04/04
自分の臭いが気になり、もしかしたらワキガではないかと気にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ワキガとは、脇が特徴的な悪臭を放つ症状のことをいいます。腋臭症とも呼ばれ、欧米では生理現象の1つとして認識されています。しかし、東アジアでは特徴的な臭いや衣類に付く黄ばみ等に嫌悪感を持つ傾向があるため、悩んでいる方も多いかもしれません。
今回はワキガとはどのような症状なのか、原因や治療法も含めて解説します。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
ワキガとは
ワキガとはどのような症状ですか?
腋の臭いが、特に強い状態をワキガといいます。ワキガの臭いは特徴的で、単なる汗臭さとは異なります。ワキガの診療に精通している医師であれば、ワキガと汗臭さの違いを間違えることはないとされています。
また、ワキガの症状の1つとして、衣類に黄ばみが付くこともあります。
症状には個人差があり、程度が強い場合にワキガと診断されます。ワキガの原因となる分泌物には遺伝子が関係するとされています。そのため、ワキガは臭いにより社会生活上の問題を引き起こす遺伝性疾患であるといえるでしょう。
また、ワキガの症状の1つとして、衣類に黄ばみが付くこともあります。
症状には個人差があり、程度が強い場合にワキガと診断されます。ワキガの原因となる分泌物には遺伝子が関係するとされています。そのため、ワキガは臭いにより社会生活上の問題を引き起こす遺伝性疾患であるといえるでしょう。
ワキガの原因
ワキガの原因を教えてください。
脇は、身体の中でも汗腺と皮脂腺が特に発達している場所です。
汗腺は「アポクリン汗腺」「エクリン汗腺」の2種類に分類されます。アポクリン腺は特定の部位に発達する汗腺で、水分だけでなく脂質やたんぱく質、コレステロールといった成分を分泌するのが特徴です。
アポクリン腺からの分泌物は、脇に住み着いている常在菌によって分解され、独特の臭いを発生します。これがワキガの臭いの正体です。アポクリン汗腺からは、臭いの原因となる分泌物だけでなく、衣服が黄ばむ原因となる物質も分泌されます。
アポクリン腺は脇や耳の中、陰部、乳輪等に存在し、思春期に発達します。
汗腺は「アポクリン汗腺」「エクリン汗腺」の2種類に分類されます。アポクリン腺は特定の部位に発達する汗腺で、水分だけでなく脂質やたんぱく質、コレステロールといった成分を分泌するのが特徴です。
アポクリン腺からの分泌物は、脇に住み着いている常在菌によって分解され、独特の臭いを発生します。これがワキガの臭いの正体です。アポクリン汗腺からは、臭いの原因となる分泌物だけでなく、衣服が黄ばむ原因となる物質も分泌されます。
アポクリン腺は脇や耳の中、陰部、乳輪等に存在し、思春期に発達します。
食べ物が汗臭さの原因になることはありますか?
赤身の肉類や動物性脂肪、コレステロール等の摂取で臭いが増強されるという報告があります。しかし、現時点では十分な科学的根拠があるわけではなく、食べ物と体臭の関連性は明らかになっていません。
ワキガの発生頻度・年齢差
ワキガに悩む人は多いのでしょうか?
日本人の約10%がワキガであるとされています。国によっては、ほぼ100%の人がワキガであるという国も存在します。そのような国ではワキガは生理現象の1つとして認識されているため、特に問題になることはありません。
日本では、約10%という比較的少数の人のみがワキガであるため、臭いによる社会的な問題や、コンプレックスの原因になりやすいと推察されます。
日本では、約10%という比較的少数の人のみがワキガであるため、臭いによる社会的な問題や、コンプレックスの原因になりやすいと推察されます。
ワキガになりやすいのはどのような人ですか?
ワキガは、性ホルモンの分泌が活発になる思春期以降に発症します。通常、高齢者や小児は発症しないとされています。
ワキガの原因物質を分泌するアポクリン腺は、耳の中にも存在しています。そのため、耳垢の性状からワキガの有無を推測することが可能で、耳垢に湿り気がある人の約80%がワキガであるともいわれています。
ワキガの原因物質を分泌するアポクリン腺は、耳の中にも存在しています。そのため、耳垢の性状からワキガの有無を推測することが可能で、耳垢に湿り気がある人の約80%がワキガであるともいわれています。
ワキガの受診科目
ワキガを疑ったときは何科を受診すればいいですか?
ワキガを正しく診断するためには、皮膚科や形成外科で診察を受ける必要があります。臭いが気になるあまり、自分はワキガであると思い込んでしまう人も多くいます。しかし、自分の症状がワキガかどうかを自分判断することは困難とされています。
ワキガの診断はどの皮膚科や形成外科でも可能ですが、治療の選択肢は医療機関によって異なります。それぞれの医療機関がどのような治療を行っているのかを事前に調べたうえで、目的とする治療ができる医療機関を受診するのがおすすめです。
ワキガの診断はどの皮膚科や形成外科でも可能ですが、治療の選択肢は医療機関によって異なります。それぞれの医療機関がどのような治療を行っているのかを事前に調べたうえで、目的とする治療ができる医療機関を受診するのがおすすめです。
ワキガの検査
ワキガの診察ではどのような検査を行いますか?
問診により自覚症状と他覚症状をそれぞれ確認し、ガーゼ法による医師の評価も加味したうえで総合的に診断します。
自覚症状のみが強い場合は、自臭症などのいわゆる「気にしすぎ」である可能性もあります。他覚症状については、これまでに他人に臭いを指摘されたことがあるかといったことを参考にします。
自覚症状のみが強い場合は、自臭症などのいわゆる「気にしすぎ」である可能性もあります。他覚症状については、これまでに他人に臭いを指摘されたことがあるかといったことを参考にします。
ガーゼ法とは、どのような検査でしょうか?
腋にガーゼを挟み、しばらく経った後に回収したガーゼの臭いを医師が嗅ぎ、客観的に臭いを評価する検査です。医療機関によっては、ガーゼを挟んでいる間に5分程度の軽い運動を実施する場合もあります。
ワキガの治療方法
ワキガはどのような治療が行われますか?
ワキガの治療は、保存的治療とそれ以外の治療法に分けられます。治療には一部保険適応外のものも含まれるため、治療方針や負担する費用についてあらかじめ担当の医師に確認しておきましょう。
保存的治療とはどのような治療法でしょうか?
保存的治療とは、原因そのものを取り除くことはせず、症状の改善や軽減を目指す治療方法のことです。
ワキガの代表的な保存的治療としては、以下が挙げられます。
ワキガの代表的な保存的治療としては、以下が挙げられます。
- 生活習慣の改善
- 塩化アルミニウム液の外用
保存的治療で十分な効果が出ればいいのですが、一般的には十分に改善することが少ないとされています。その場合は、マイクロ波を利用した治療機器の利用や手術を行うことになります。
生活習慣の改善
生活習慣の改善について詳しく教えてください。
ワキガの治療は、乱れた生活習慣を見直すところから始まります。
具体的には、以下の生活習慣がワキガの改善に効果があるとされています。
具体的には、以下の生活習慣がワキガの改善に効果があるとされています。
- こまめにシャワーを浴びる
- 薬用せっけんで身体を洗う
- 身体を清潔にした状態で制汗剤を使用する
- 脱毛する
- 天然素材の衣類を着用する
- 生活リズムを整える
- 禁煙する
塩化アルミニウム液の外用
塩化アルミニウム液の外用について詳しく教えてください。
塩化アルミニウム液には、汗を抑える効果や殺菌効果があり、塗り続けることで汗の分泌自体を減らすともいわれています。
効果が出るまでに時間がかかる場合もあるため、継続的に使用することが重要です。
効果が出るまでに時間がかかる場合もあるため、継続的に使用することが重要です。
マイクロ波治療機器
マイクロ波を利用した治療機器について詳しく教えてください。
皮膚の表面からマイクロ波を照射することで、切開することなく汗腺を損傷させる治療法です。
FDA(米国食品医薬品局)で効果と安全性が認められており、米国では腋窩多汗症、ワキガ、減毛の適応で承認を取得しています。日本では腋窩多汗症に対してのみ承認を取得しているため、多汗症を合併しているワキガの人でのみ実施可能な治療法です。
FDA(米国食品医薬品局)で効果と安全性が認められており、米国では腋窩多汗症、ワキガ、減毛の適応で承認を取得しています。日本では腋窩多汗症に対してのみ承認を取得しているため、多汗症を合併しているワキガの人でのみ実施可能な治療法です。
手術療法
ワキガの手術について詳しく教えてください。
手術は、局所麻酔で行う場合と全身麻酔で行う場合の両方があります。皮弁法と呼ばれる術式が一般的で、一度の手術で臭いはほとんど気にならなくなるとされています。
医師によってワキガの診断が確定されている場合には、手術は保険適応となります。
医師によってワキガの診断が確定されている場合には、手術は保険適応となります。
皮弁法とはどのような手術ですか?
脇を切開し、皮膚を剥がしてから反転させ、特殊な医療用のハサミでアポクリン腺を取り除いていく手術です。
手術後に再発することはありますか?
汗腺は術後1~2カ月で再生するため、臭いが再発する場合があります。特に、手術の際にアポクリン腺の除去が不十分な場合で再発しやすいとされています。
子どもでも手術は可能ですか?
二次性徴が終わる前に手術をすると、術後にアポクリン腺の成長が起こるために再発しやすくなります。そのため、二次性徴後に手術を行うとよいでしょう。女性の場合は18歳以上、男性の場合は20歳以上が目安です。
編集部まとめ
ワキガは脇の悪臭や衣服の黄ばみといった症状が特徴で、臭いにより社会生活上の問題を引き起こす遺伝性疾患です。
臭いが気になるあまり、自分はワキガであると思い込んでしまう人も多くいますが、ワキガと正しく診断するためには、皮膚科や形成外科で診察を受ける必要があります。
手術のほかにも、症状の改善や軽減を目指すさまざまな治療法が存在します。気になる症状がある場合は、受診を検討してみましょう。
参考文献