「ワキガ」になりやすい人の特徴はご存じですか? 見直すべき生活習慣や治療法も医師が解説!
近年ではワキガの治療が大きく進化し、ボツリヌス毒素注射やマイクロ波による治療など、様々な選択肢が登場しています。しかし、その一方で「できれば病院に行きたくない」「知られたくない」という人もいるのではないでしょうか。ワキガを自分で治すことはできるのかも気になるところです。今回は「秋葉原フロンティアクリニック」の鴫原先生に詳しく教えていただきました。
監修医師:
鴫原 康(秋葉原フロンティアクリニック)
目次 -INDEX-
ワキガの仕組み
編集部
なぜ、ワキガが起きるのでしょうか?
鴫原先生
ワキガは、アポクリン腺から出る汗が原因とされています。アポクリン腺とは脇の下などの皮膚の一部にしかない汗腺で、ここから分泌される汗には特有なにおいがあるとされています。
編集部
ワキガの仕組みについて詳しく教えてください。
鴫原先生
アポクリン腺から分泌された直後の汗は無臭です。しかし、皮脂腺からの脂肪分などと混ざり、皮膚にある常在菌で分解されることで強いにおいの原因物質が生成されるのです。
編集部
ワキガになりやすい人の特徴はありますか?
鴫原先生
基本的に、ワキガの原因は遺伝的素因です。ワキガは子どもに遺伝しやすく、両親がワキガだとその子どももワキガになる確率が高いことがわかっています。研究によると、日本人の約10%、欧米人の約80〜90%がワキガであることがわかっています。
編集部
ワキガの人のなかでも、特ににおいが強く出やすい人はいるのですか?
鴫原先生
はい。例えば、肉や油分の多いものを好んで食べる人は、ワキガのにおいが強く出やすいとされています。また、喫煙や飲酒の習慣も、においを強くする原因になります。
ワキガは自分で治せる?
編集部
ワキガが強くなる年代はありますか?
鴫原先生
特にワキガのにおいが強くなりやすいのは、10代後半~20代です。なぜなら、アポクリン腺の発達は性ホルモンの影響を強く受け、その分泌がピークになるのが10代後半~20代だからです。そのため、その後は少しずつ落ち着いてくると考えられます。
編集部
では、年齢が上がるにつれてワキガのにおいも弱くなってくるのですか?
鴫原先生
基本的には、年齢とともに性ホルモンの働きが低下してくるため、ワキガの悩みも軽減されていきます。ただし、加齢とともに代謝が低下したり、ホルモンバランスが乱れたり、アポクリン腺の働きが活発になることでワキガが強くなることもあるので、一概には言えません。
編集部
ワキガのにおいを減らすために、どんなことに気をつけるべきでしょうか?
鴫原先生
例えば「脇の下を清潔に保つ」「風通しの良い衣服を着る」「肉や油っぽい食べ物を控える」といった心がけで、ワキガを軽減することは可能かもしれません。また、「規則正しい生活を送る」「飲酒や喫煙を控える」なども、ワキガのにおいを減らすのに役立ちます。
編集部
ワキガを自分で完全に治すことはできるのですか?
鴫原先生
いいえ。残念ながらワキガは遺伝的な体質が絡んで発症しているため、ワキガを悪化させないようにすることはできるかもしれませんが、自力で完全に治すのは困難です。もしワキガを治したいなら、医療機関で治療を受けることをおすすめします。
医療機関でのワキガ治療
編集部
医療機関では、どのような治療がおこなわれるのですか?
鴫原先生
まず、「ボトックス治療」が方法として挙げられます。神経の働きを阻害する薬剤を注射することで、汗腺の働きを一定期間、抑制します。ただし、ワキガの原因となるアポクリン腺ではなく、もう1つの汗腺であるエクリン腺に対して働きかけるため、においの減少効果はそれほど多くありません。
編集部
そのほかには、どのような治療法がありますか?
鴫原先生
医療用の制汗剤を使ったり、手術によってアポクリン腺を除去したりする治療もあります。現在、特に注目を集めているのが、マイクロ波を使ってアポクリン腺を破壊する「ミラドライ」という自費診療の治療法です。
編集部
それはどのような治療ですか?
鴫原先生
外部からマイクロ波を照射することで、皮膚を切ることなくワキガ・多汗症を治す治療法です。マイクロ(電磁)波エネルギーが、汗腺に含まれる水分子に強力に作用し、ワキガの発生原因となるアポクリン腺の機能を破壊していきます。それにより、手術と同じように長期の持続効果が期待できます。そのほかにも、医療機関によって様々な治療法を用意しているので、比較しながら検討してみることをおすすめします。ただし、医療機関によって治療レベルが異なるので、ミラドライを受けるときには事前に確認することをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
鴫原先生
ワキガの原因は遺伝です。たしかに食べものに気をつけたり、飲酒や喫煙を制限したりすることで、ある程度、においを軽減することはできますが、残念ながら劇的に改善が期待できるわけではありません。もし、根本的に治したいなら医療機関での治療がおすすめです。現在ではワキガに対する研究も進み、画期的な治療法も開発されているので、悩んでいる場合はぜひ専門の医療機関へご相談ください。
編集部まとめ
ワキガの悩みが強くなることで、人とのコミュニケーションに障害が生じる場合もあります。そんなときは1人で悩まず、医療機関へ相談を。現在では様々な選択肢があるので、まずはカウンセリングを受け、自分にぴったりな治療法を探してみましょう。
医院情報
所在地 | 〒101-0021 東京都千代田区外神田2-3-7 アーバンファーストビル2F |
アクセス | JR・地下鉄日比谷線「秋葉原駅」 徒歩5分 JR・地下鉄丸ノ内線「御茶ノ水駅」 徒歩6分 |
診療科目 | 形成外科(わきが・多汗症) |