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「高齢者の転倒を防ぐため」に家族でできることは? 場所・生活環境から注意点を看護師が解説

 更新日:2023/03/02
高齢者の転倒を防ぐために家族でできることは? 場所・生活環境から注意点を看護師が解説

高齢者の転倒を予防するために、家族ができることはどんなことなのでしょうか。転倒してしまうと怪我はもちろん、生死に関わってしまうこともあります。高齢者は、転倒してしまう理由が多岐にわたるため、事前に予防をすることが必要になります。そこで、高齢者が転倒しやすい理由から転倒しやすい場所、転倒を予防するために家族ができることについて、看護師の岡野さんに解説していただきました。

岡野 恭子

監修看護師
岡野 恭子(看護師)

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国立霞ヶ浦病院附属看護専門学校を卒業し、看護師免許を取得。総合病院で13年、介護老人保健施設で2年勤務。内科や皮膚科、婦人科、外来診療棟、化学治療室に携わり、がん看護や老年看護を経験。現在は、デイサービスに勤務しながらWebライターとしても活動中。

高齢者が転倒しやすい理由

高齢者が転倒しやすい理由

編集部編集部

高齢者は生活環境の中で、どんなことが転倒につながりやすいのでしょうか?

岡野 恭子さん岡野さん

高齢者が転倒につながりやすい生活環境は、ほんのわずかな段差や履物の影響、足元の明暗、床に置かれた障害物などが挙げられます。高齢者は、1cm程度の段差や床に置かれた新聞をよけようとしたことなどをきっかけに転倒してしまいます。成人では転倒しにくいことでも、高齢者には転倒のリスクにつながることがあります。高齢者の転倒のきっかけになることを、日頃から注意をする必要があります。

編集部編集部

高齢者の筋力低下は、転倒しやすくなりますか?

岡野 恭子さん岡野さん

はい。筋力の低下により転倒リスクは高くなります。高齢者は筋力の低下だけでなく、筋力のバランスも低下するため、体幹のバランスが崩れ、転倒のリスクも高くなります。高齢者は日常生活の中で、筋力やバランスの維持をするための運動を取り入れることが必要です。

編集部編集部

その他、高齢者が転倒しやすい理由はありますか?

岡野 恭子さん岡野さん

高齢者が転倒しやすい理由は、認知障害による注意力不足や緊張・興奮・焦り・不安などによる判断力の低下、視野・視力の低下、薬剤の副作用などが挙げられます。これらのことから、高齢者が転倒しやすい状況を家族が把握し、対策を考える必要があります。

高齢者が転倒しやすい場所

高齢者が転倒しやすい場所

編集部編集部

自宅内で高齢者が転倒しやすい場所は、どこでしょうか?

岡野 恭子さん岡野さん

自宅内で高齢者が転倒しやすい場所は、居室や階段、台所、玄関、洗面所、風呂場、廊下、トイレなどで、水回りや段差があるところが挙げられます。最も転倒しやすい場所は居室で、自宅での転倒した場所の45%を占めています。しかし、自宅の中ではどの場所も高齢者の転倒のリスクがあることは、念頭に置いておきましょう。

編集部編集部

外出時で転倒に注意するべき場所はありますか?

岡野 恭子さん岡野さん

外出時に高齢者が転倒しやすい場所は、店舗内や店舗入口、道路、駐車場などが挙げられます。店舗内では床が濡れていたり、店舗入口では段差などがあったりして転倒しやすくなっています。道路や駐車場は、水溜まりや段差などの影響で転倒しやすくなります。

編集部編集部

その他、高齢者の転倒に気を付けるところはありますか?

岡野 恭子さん岡野さん

自宅の庭は、家族の目が離れやすいので、転倒のリスクが高まります。高齢者が自宅の庭を散歩中に石に躓くこと駐車場の車止めの段差などの影響で転倒することもあります。高齢者が1人で庭に行かないよう、注意しましょう。

高齢者の転倒を予防するために家族ができること

高齢者の転倒を予防するために家族ができること

編集部編集部

転倒を予防するためには、どのようにすればいいのですか?

岡野 恭子さん岡野さん

高齢者が転倒を予防するためには、生活環境を整えましょう。玄関や浴室、階段などの段差があるところや立ち上がり時に必要なトイレなどには、手すりの設置を推奨します。また、高齢者の足のサイズに合わないものや滑りやすい靴は転倒につながります。躓きにくくて履きやすい履物を選びましょう。室内の床には障害物は置かず、歩行しやすい環境にします。暗い環境は、見えづらいため転倒につながるので、夜間は適切な照明を使用します。

編集部編集部

筋力低下を予防するための運動についても教えてください。

岡野 恭子さん岡野さん

筋力やバランスを維持するためには、全身を動かす運動がいいですね。例を挙げると、ラジオ体操のような運動は全身の筋力運動によく、お勧めできます。全身運動だけでなく、運動することが筋力低下を予防できるので、散歩や自転車、水泳、ゲートボールなど、自分が好きな運動を取り入れてみましょう。

編集部編集部

高齢者の転倒予防には食事も大事と聞きました。なぜでしょうか?

岡野 恭子さん岡野さん

食事量の低下は、めまいや倦怠感などの症状が出現し、転倒しやすくなります。食事はできるだけ3食欠かさず摂取し、健康の維持から転倒を予防しましょう。転倒予防にお勧めの栄養は、タンパク質(肉・魚・大豆製品など)とカルシウム(牛乳・ヨーグルト・小魚)の摂取です。タンパク質は筋肉をつくり、カルシウムは骨を丈夫にするので、転倒しにくい身体づくりを意識した食事にしましょう。

編集部まとめ

高齢者の転倒を防ぐために、高齢者が転倒しやすい理由や転倒しやすい場所、予防できるために家族ができることについて、伺いました。高齢者が転倒しやすい理由を明確化すること、注意する点が分かり、転倒を予防する対策にもつながります。まずは、家族の転倒しやすい理由から、自宅の中で転倒しやすい場所を挙げてみましょう。そこから、転倒予防の対策をすることが、家族ができることではないでしょうか?

この記事の監修看護師