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「酒を飲む量できる限り減らしてほしい」飲酒ガイドライン作成 厚生労働省

 公開日:2023/12/04
厚生労働省 飲酒の影響やリスクに関する初のガイドラインを作成

2023年11月22日、厚生労働省は「飲酒が少量であっても高血圧などのリスクを高める恐れがある」として、「飲酒量をできる限り少なくすることが重要」とするガイドライン案を有識者検討会に示しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

厚生労働省が作成したガイドラインの内容とは?

厚生労働省が作成した飲酒に関するガイドラインについて教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

厚生労働省は、健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(案)を作成しました。基礎疾患がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体などへの影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどを分かりやすく伝え、その上で考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や飲酒の際に留意してほしい事項(避けるべき飲酒や配慮のある飲酒の仕方など)を示すことにより、飲酒や飲酒後の行動の判断などに役立てることを目指したものです。

ガイドラインの作成は、2021~2025年度を対象期間とする国の「アルコール健康障害対策推進基本計画 (第2期)」に盛り込まれ、厚生労働省の検討会で議論されてきました。ガイドラインではWHOが発表している研究結果などを踏まえて、できる限りの飲酒抑制を促しています。具体的なリスクの説明として「高血圧に加え、男性の食道がんや女性の出血性脳卒中は、少量の飲酒でも発症リスクが上がる可能性」も指摘しています。

健康増進に向けて国が定めた基本方針では、生活習慣病のリスクを高める純アルコール量について、1日あたり男性40g以上、女性20g以上が目安と示しています。純アルコール量20gは、ビール中瓶1本、日本酒1合に相当します。これらの数値を参考に適切な飲酒習慣を見直してみましょう。

飲酒が身体に与える影響とは?

飲酒が身体にどのように摂取され、影響を及ぼすのかについて教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

飲酒した際、アルコールの大半は小腸から吸収され、血液を通じて全身を巡り、肝臓で分解されます。アルコールは血液を通して全身を巡り、全身の臓器に影響を与えるため、飲み過ぎは様々な臓器に悪影響を及ぼします。

長期にわたって多量の飲酒を続けるほど、生活習慣病、肝疾患、がんなどの疾患になりやすくなります。例えば、「1日あたり約20g以上の飲酒を続けると、大腸がん発症のリスクが高まる」という結果を示した研究もあります。

飲酒による影響は個人差があり、年齢、性別、体質などの違いによってそれぞれ受ける影響が異なります。年齢でみると、高齢者は若い頃と比べて、体内の水分量の減少などの影響で同じ量のアルコールでも酔いやすくなり、飲酒量が一定量を超えると認知症を発症する可能性が高まると言われています。また、飲酒による転倒や骨折、筋肉の減少などの危険性も高まります。ご自身に合った飲酒を心がけ、飲酒が要因の病気にならぬよう気をつけましょう。

今回の発表内容への受け止めは?

厚生労働省が作成したガイドラインの内容についての受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

お酒は飲まないに越したことはありませんが、お酒は我々の生活と密接に関わっており、様々な会合や人生の節目の行事などでは避けられないものです。そのため、今回のようなガイドラインに従い、安全にお酒と付き合っていく姿勢が重要です。加えて、禁煙と適度な運動習慣も健康寿命を延ばす方法なので、ぜひ実践してみてください。

まとめ

厚生労働省は「飲酒量をできる限り少なくすることが重要である」と、改めて今回のガイドラインで啓発をしています。お酒は嗜好品として国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒は健康障害につながるリスクがあるということも改めて留意しなくてはいけません。

この記事の監修医師