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【闘病】連日の頭痛が「高安動脈炎」だったとは… 「なぜ自分が難病に?」

 公開日:2023/12/27
【闘病】連日の頭痛が「高安動脈炎」だったとは… 「なぜ自分が難病に?」

闘病者の爲國さんは、28歳のときから毎日の頭痛に悩み、病院にかかるようになりました。さまざまな診察や検査を経て、高安動脈炎の確定診断を受けたといいます。確定診断に至るまでには、半年以上の期間がかかったそうです。そんな爲國さんにこれまでの経緯や病気の治療方法などについて話を聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年9月取材。

爲國綾さん

体験者プロフィール
爲國 綾(ためくにあや)

プロフィールをもっと見る

兵庫県在住、1990年生まれ。母と妹2人の4人暮らし。発症当時は28歳、診断時の職業は看護師だった。役職は無いものの新人指導や委員会活動を行なっていた。現在はパートで看護師の仕事を続けている。

副島 裕太郎

記事監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

確定診断まで半年以上かかった

確定診断まで半年以上かかった

編集部編集部

高安動脈炎とはどのような病気ですか?

爲國綾さん爲國さん

高安動脈炎は大動脈や大きな血管に炎症が生じる難病です。血管が狭くなったり、ふさがったりすることで、脳や心臓などの重要な臓器に障害が起こります。そのため、手足のしびれや倦怠感を感じることがあります。

編集部編集部

病気が判明したきっかけについて教えてください。

爲國綾さん爲國さん

2018年の年明け頃から、毎日頭痛が続いていました。痛み止めを飲みながら日常生活を送っていたのですが、やはり「これはおかしい」と思い近所の内科を受診することにしました。ですが、そのときの血液検査で異常は見られませんでした。

編集部編集部

では、その後どうなったのでしょうか?

爲國綾さん爲國さん

3月頃から、頭痛に加えて胸が苦しくなってきたので、再度内科を受診して心電図検査を受けました。しかし、そこでも異常は見当たらず、原因がわからないため、痛み止めで対応することになりました。5月に入った頃から筋肉痛のような痛みも胸と背中に出てきたので、再度内科に相談へ行きましたが、湿布薬と痛み止めで様子をみることになりました。

編集部編集部

またしばらく様子をみることになったのですね。

爲國綾さん爲國さん

はい。ところが、6月中旬にジムでトレーニングをしていると急に左腕の力が入らなくなりました。バーベルを持ち上げられないという状態だったので、整形外科を受診し、レントゲンを撮り、その日は後日にMRIを撮る予約をして帰りました。

編集部編集部

ほかには症状はありましたか?

爲國綾さん爲國さん

夜間になると暑く感じることが増えていましたが、あまり気にせず熱を測ることもしていませんでした。6月の終わりに咽頭痛と夜間になると38度近い発熱があり、耳鼻咽喉科を受診し、そこで咽頭の腫れを指摘され、採血では炎症反応が高く、次の日に大学病院の耳鼻咽喉科を受診するようにと紹介状を準備してもらいました。

編集部編集部

その結果はいかがでしたか?

爲國綾さん爲國さん

大学病院では「そこまで喉は腫れていない」と言われ、処方薬をもらって帰宅することになりました。

編集部編集部

なかなか確定診断が出なかったのですね。

爲國綾さん爲國さん

はい。症状の改善がみられなかったため、3日後にステロイドの点滴を受けることになりました。ステロイドは効果がありましたが、2~3日ですぐに咽頭痛と発熱が再発し、炎症反応も日々上昇していました。

編集部編集部

ほかの科には受診されなかったのでしょうか?

爲國綾さん爲國さん

7月中旬あたりから、胸と背中の痛みが増して、寝ていても夜中に目が覚めるようになりました。寝ていても座っていても辛い状態で、食事をするときも胸が痛くて、食事量も減っていきました。呼吸器内科を受診し、肺のレントゲンや肺活量などの検査をしたのですが、それでも特に異常は見つかりませんでした。

編集部編集部

入院にはならなかったのですか?

爲國綾さん爲國さん

はい。その後しばらくステロイドの点滴や痛み止めで様子をみていましたが、呼吸苦と上半身の激痛があり救急科を受診したところ、採血でCRP(炎症反応)が20を超えていたため、翌日総合内科で胃カメラと採血を実施。胃カメラは異常なしでしたが、採血ではCRPが26まで上がっていたため、精査目的で入院となりました。2018年7月26日のことでした。

編集部編集部

その結果、確定診断されたのでしょうか?

爲國綾さん爲國さん

いいえ。病棟で血圧測定を受けた際に左腕の血圧が測れず、脈が触れなかったため、至急造影CTを受けました。その結果、大動脈弓が肥厚しており、左鎖骨下動脈と椎骨動脈の狭窄がみつかり、高安動脈炎と診断を受けました。

入退院を繰り返す日々

入退院を繰り返す日々

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

爲國綾さん爲國さん

アレルギーリウマチ科では、「生物学的製剤や免疫抑制剤などを使用しながら炎症を抑え、必要な場合は狭窄部分の手術を行う」と説明がありました。

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

爲國綾さん爲國さん

「なぜ自分が難病に? 今までみたいに働けるのか? 生活は出来るのか?」といったことを考えました。病気を受け入れることができず、辛くなり泣きました。

編集部編集部

発症後、生活にはどのような変化がありましたか?

爲國綾さん爲國さん

仕事は発症前のようにはいかず、体調を見ながらの勤務となりました。勤務日数を減らし、時短や時差勤務となりました。また、疲れやすく激しい運動もできなくなりました。

編集部編集部

入院や治療の内容を教えてください。

爲國綾さん爲國さん

入院期間は、2018年7月26日から10月26日でした。ステロイドパルス療法でプレドニン65mg、アクテムラを開始しましたがCRPの上昇があり、2回目のステロイドパルス。その後、ステロイド55mgから再開しアクテムラとメトトレキサートを使用しました。

編集部編集部

退院後の生活は安定していましたか?

爲國綾さん爲國さん

いいえ、退院後の外来で間質性肺炎を疑う所見があったため、メトトレキサートからプログラフへ変更。また、症状が再燃して2018年11月12日〜12月30日に再入院することになりました。2回目の入院でもステロイドパルス療法を受けました。アクテムラの投与量を増やすため、自己注射から点滴へ変更となりました。

編集部編集部

入退院を繰り返されたのですね。

爲國綾さん爲國さん

はい。2回目の退院後は外来で2週間に1度、アクテムラの点滴をおこない、ステロイドを減薬していきました。また、2019年2月5日〜2月8日の3回目入院時は、復職目的でステロイドパルス療法を受けました。その後、2019年3月1日からステロイド減薬のためセルセプトが追加スタートしました。

編集部編集部

ほかの症状はなかったのでしょうか?

爲國綾さん爲國さん

仕事から帰宅した後、下血があり救急受診することがありました。期間は2019年6月13日〜6月22日で消化管出血が原因で腸管への出血があり、TAE(動脈塞栓術)施行。出血原因を探すため、大腸カメラ検査をおこないましたが大きな異常はなく、ステロイドや痛み止めの長期服用により血管が弱くなって出血したのではないかと診断されました。炎症性腸疾患も疑われ、定期受診することになりました。

編集部編集部

その後は入院せずに過ごせているのでしょうか?

爲國綾さん爲國さん

左腕の怠さと痺れ、左頸部や鎖骨の痛みと頭痛、時々起こる胸部不快などの検査のため、2022年5月10日〜5月28日の間、再び入院しました。血管に明らかな炎症はなく左鎖骨、椎骨動脈の狭窄は変わらずあったため、怠さや痛みが続いているということでした。トラムセットを追加しプレドニンを減薬しながら様子を観察するように言われています。胸部不快感や血流のこともあるので、循環器内科でもフォローを受けています。

編集部編集部

現在の投薬の種類について教えてください。

爲國綾さん爲國さん

現在は主にプレドニン、セルセプト、オルミエント、トラムセットなどを内服しながらコントロールしています。

異変を感じたときにはすぐに受診してほしい

異変を感じたときにはすぐに受診してほしい

編集部編集部

治療中の心の支えはなんでしたか?

爲國綾さん爲國さん

家族や友人、職場の人にはかなり助けられました。またインスタグラムで出会った同じ病気の方や膠原病の方の話を聞いたり、励ましの言葉をもらったりしたことが支えになりましたね。

編集部編集部

もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?

爲國綾さん爲國さん

自分のことを一番に考えて。頑張り過ぎず無理だけはしないで」と助言したいです。

編集部編集部

現在の体調や生活などの様子について教えてください。

爲國綾さん爲國さん

痛みや腕の怠さは続いていますが、再燃することなく内服治療と外来受診で生活できています。仕事はパートですが看護師として働けています。職場の理解もあり無理なく生活できているので周りで支えて下さっている方々には感謝しています。

編集部編集部

あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。

爲國綾さん爲國さん

見た目には障害がある訳ではないため、精神的な問題があるとか、怠けていると思われがちな病気です。疲れやすかったり、痛みがあったりするために休むこともあるのですが、怠けているわけではないです。また、この病気は全身の動脈に起こる病気のため、普段と違う痛みや脱力感があるときには自己判断で我慢せず、すぐに受診して相談してもらいたいです。

編集部編集部

医療従事者に望むことはありますか?

爲國綾さん爲國さん

病気になってもすぐには受け入れることができず、何気ない言葉で一喜一憂してしまう人もいるため、声かけには気をつけてもらいたいです。患者の背景にも目を向けてもらえたらと思います。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

爲國綾さん爲國さん

病気になり健康時のような生活はできなくなってしまいましたが、病気になったからこそわかることもありました。それでも、健康な身体であれば出来ていたかもと思うことも多々あります。病気はいつ現れるかわからないので自分を一番に考え、大切にしてもらいたいです。

編集部まとめ

早期に気づいても確定診断がでないことがあるため、異変を感じたらできる限り早めに診察や検査を受けることをおすすめします。爲國さんも「体調が悪いと思ったら我慢せず医療機関を受診してほしい。ストレスや疲れを溜めないで、無理をしないようにしてほしい」と注意喚起されていました。病気はいつなるのかわからないものなので、日頃から自分の体調の変化を気にして生活するようにしましょう。(※監修医註)本記事の治療内容については、本邦保険適応外のものも含まれています。

なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

この記事の監修医師