「見守りサービス」について介護福祉士が解説 どんな種類・選び方がある?
高齢の親と別々で暮らしていると、急に倒れてしまったり何か異変を感じたりしたときにすぐ駆けつけられず、不安ですよね。ご家族の中には、見守りサービスを検討されている方も多いのではないでしょうか。しかし、見守りサービスはどのような種類があるのか、どのように選べばいいかわからないことがあると思います。そこで今回は、介護福祉士の山田さんに見守りサービスについて気になる点を聞いてみました。
監修介護福祉士:
山田 亮太(介護福祉士)
見守りサービスの種類と選び方
編集部
高齢者向けの見守りサービスにはどんな種類があるのですか?
山田さん
高齢者の見守りサービスは大きく分けて5つあります。1つ目は“訪問型”の見守りサービスです。スタッフが高齢者の自宅に訪れて安否確認します。2つ目は“センサー型”の見守りサービスです。高齢者の自宅に設置したセンサーが感知することで安否確認ができます。3つ目は“オート電話・メール”見守りサービスです。自動配信される電話やメールを高齢者がご家族と受信・返信することで安否確認ができます。4つ目は“カメラ型”見守りサービスです。高齢者の自宅にカメラを設置し、離れた場所からでも安否確認ができるようになります。5つ目は“宅配型”見守りサービスです。宅配物を届ける際に、スタッフが安否確認をします。
編集部
それぞれのサービスの特徴はありますか?
山田さん
訪問型は実際にコミュニケーションが取れるので、高齢者のリアルな状態をご家族に伝えられます。センサー型は部屋に置いておくことで見守りができるため、高齢者の生活を妨げずに支援できます。オート電話・メールは、電話やメールの自動配信のみなので、お手軽に見守りサービスの利用をしたい方にはおすすめです。カメラ型は設置が簡単で、離れている場所からでもリアルタイムで高齢者を確認できます。宅配型は、安否確認以外の面でも高齢者をサポートできます。たとえば、食事の宅配サービスを兼ねている見守りサービスは、高齢者の栄養管理もできるので、食事面が不安なご家族にはよいでしょう。
編集部
どんな基準で選んだらいいでしょうか?
山田さん
最も大切にしなくてはいけないのは、ご本人の意思です。見守りサービスを導入したいのか、それともほかの支援を求めているのかをまずは検討する必要があります。次に大切なのは、ご本人の目的や状態です。コミュニケーションを取りたいと考えている方は、コミュニケーション型や宅配型の見守りサービスを好むはずです。ご自身のペースで生活をしたい方には、センサー型やオート型のような人が介入しない見守りサービスがよいのではないでしょうか。また、自立しているのか、介護度が高いかによって選ぶ見守りサービスは変わってきます。費用や予算も検討する必要があるでしょう。専任のスタッフが介入するサービスは、費用が高めです。一方、人の介入が少ない見守りサービスであれば費用は抑えられます。
見守りサービスの導入事例
編集部
緊急事態が発生した場合はどのように対応してくれるのでしょうか?
山田さん
セキュリティ会社が提供している見守りサービスは24時間対応しています。自宅に設置しているセンサーが一定時間反応しないと、すぐに駆けつけてくれる仕組みになっています。高齢者が体調に異変を感じたときに、緊急ボタンを押すとパトロール員がすぐに駆けつけてくれるサービスもあります。
編集部
見守りサービスは高齢の親でも簡単に操作できますか?
山田さん
はい、ボタン一つで呼べるサービスもあるので操作方法は簡単です。最近では、アプリを利用した見守りサービスもあります。スマートフォンの操作に抵抗がない方にはおすすめです。
編集部
アプリが苦手な方に向いているサービスはありますか?
山田さん
家族がスマートリモコンを使用して、実家を「見える化」するのがよいでしょう。スマートリモコンとは、スマートフォンで複数の家電商品や照明器具と連携させられるリモコンのことです。インターネット経由でさまざまな家電を遠隔操作・音声操作できるため、エアコンのつけ忘れや照明のつけ忘れを防げます。専用機器を取り付けるだけなので、今ある家電を買い替える必要もありません。カメラやセンサーもあるので、用途に合わせて使用できます。
地域や介護職との連携
編集部
見守りサービス以外の身近で支援してもらえるサービスはありますか?
山田さん
介護サービスも見守りのひとつです。デイサービスや訪問介護は定期的に家に訪れてくれるため、安否確認ができます。デイサービスであれば安否確認だけでなく、高齢者同士の交流も提供しています。
編集部
介護サービス以外の見守りはありますか?
山田さん
民生委員や見守りボランティアなどが挙げられます。民生委員は地域の相談役です。定期的な見守りや声がけも活動のひとつなので、高齢の親がいるご家族は地域の民生委員に相談してみるのもよいでしょう。見守りボランティアは、定期的な高齢者の安否確認をし、日常生活の中で高齢者の異変に気づいた場合、地域包括支援センターへ連絡する役割があります。交流会の開催や健康に関する研修も行っているので、ご家族の介護について悩んでいる方はぜひ一度参加してみてください。また最近では、民間の会社がまちづくりや地域コミュニティを活性化させようという動きも活発化しています。あるサービス付き高齢者住宅では、施設内にカフェや駄菓子屋を設置し、地域住民が自由に出入りできる空間を作っています。そこで地元の高齢者は、入居者や近所の子どもたちと触れ合うことができます。地域の目というのも立派な見守りです。
編集部まとめ
日本では急速な高齢化社会が進んでいることもあり、たくさんの見守りサービスがあります。民間だけでなく、行政にも多くの支援がありますので、高齢の親の見守りを検討されているご家族は、ぜひ一度地域包括支援センターなどで相談してみてください。スマートリモコンのようなITを導入するのもよいでしょう。民間や行政・ITなどの見守りサービスに頼ることで、家族も心に余裕を持って介護と向き合えるのではないでしょうか。