【闘病】「便意はあるのに出ない」 正体はステージ4の直腸がんだった(2/2ページ)
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経過観察継続中も、仕事には復帰
編集部
手術は何回受けられましたか?
沼田さん
手術は、6回受けていますが8箇所に処置をしています。ステント留置の内視鏡手術やポートの留置術を単独で受けたこともありましたし、主要切除と一緒にストーマ造設/閉鎖術を受けたこともありました。。抗がん剤が効き、がんが4分の1まで縮小したため、直腸と周囲のリンパ節切除をおこない、一時的にストーマを開設しました。その後、肝臓を一部切除してストーマを閉鎖しました。最大のリスクであった腹膜播種はありませんでした。ほかに右肺に3か所再発し、下葉全部と中葉一部を切除、その後、左肺に1か所再発して切除しました。一番嫌だったのは、鼻から入れる胃管でした。「麻酔してくれ~」と願うほど喉あたりの違和感や痛みが苦痛でした。
編集部
治療による副作用はありましたか?
沼田さん
脱毛、皮膚の乾燥、色素沈着、下痢、手足のしびれがありました。手足のしびれは最初、ボタンが掛けられない、字がうまく書けない、物を持つと落としそうになるほどでした。次第に手は良くなり、今ではほぼ問題なく生活できていますが、依然として指先にはしびれは残っています。足の方はさらにひどく、感覚がにぶいので靴が脱げてもわからず、サンダルやスリッパはすぐ脱げてしまいます。常にしびれと拘束感があり、足は一向に良くなりません。2021年からは脱毛(ウイッグを使用)、口内炎、便秘があります。
編集部
医師や看護師など、医療関係者からの説明は十分でしたか?
沼田さん
医師や看護師からはちゃんと説明してもらったと思います。疑問や不安な点については質問もして、しっかりと答えてもらいました。医師にも個性がありそれぞれですが、今の主治医(外科)とは相性がよく信頼していて、いい関係です。看護師さん達も優しくていい人ばかりでした。医師はいつでもリスクを伝えなければならないのは分かりますが、可能性や希望があるなら、それもちゃんと伝えてほしいと思います。
編集部
治療開始後、生活・仕事それぞれにどのような変化がありましたか?
沼田さん
仕事は残業を控えるようになりましたが、フルタイムで続けています。周りがとても気遣ってくれるのが申し訳ないですが、良い体調を維持できています。やはり、ステージ4の印象が強く、ぐったり寝込んでいるイメージなのかと思います。
編集部
治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?
沼田さん
仕事や公務などやるべきことがまだいっぱいある、という思い、そして子ども達のためにいつでも「おかえり」と言ってあげられるよう、今はまだ死ねない、という思いですね。やはり何よりも子どもが一番大事であると改めて感じました。
編集部
もし昔の自分に声をかけるとしたら、どんな助言をしますか?
沼田さん
ちゃんと定期的に健康診断に行きなさい。業務の多忙を理由に5年ほど健康診断をさぼりました。その結果、ステージ4にまでこじらせてしまったので、早期発見できていれば、大腸がんの生存率はより高いのに、と悔やまれます。
編集部
現在のがんの状況はいかがでしょうか?
沼田さん
まだ肺に3つ病変があります。2週間おきの抗がん剤の点滴を受けており、そのおかげでほとんど見えないほど小さくなっていますが、消えてはいません。3カ月おきのCTで経過観察しています。主に薬の副作用による口内炎が一番つらいですが、見た目は普通の人より元気で、仕事は休まず出ています。
編集部
今後について、医師からどのような説明がありましたか?
沼田さん
一度ステージ4になると、寛解まではずっと4で、下がることはないそうです。最初に肺転移した際は8mm程度の大きさと言われましたが、既に細胞レベルで全身に散らばっている可能性も高いからでしょうね。最初の告知から4年が過ぎましたが、三度目の再発からまだ1年ちょっとですので、まだ頑張ろうと思います。
編集部
大腸がんの実態を知らない方へ、一言お願いします。
沼田さん
がんは早期発見・早期治療が重要です。必要以上に怖れたり、誤解したりしている人も多いので、がんファイターの発信を参考にしてほしいと思います。ステージ4でもこんなに元気であれこれしている人もいることを知ってください。
編集部
上記のほかに伝えたいことなどがありましたらお願いします。
沼田さん
がんになったことを悲観してしまうのは当然だとは思いますが、必要以上に怖がったり、悲しんだりしなくてもいいのではないかと思います。生き続けられることを保証されている人は誰もいない訳ですから、がん患者だけが不幸ではないし、人生の崖っぷちということでもありません。ですから周囲の方にも「がんになってかわいそう」や、もしこの先死んでしまったとしても「がんに負けて亡くなった」とは思って欲しくないですね。我々がんファイターは、がんに負けて死ぬのではなく、がんと最後まで力の限り闘い抜いた勝者だと思っています。こんな辛い闘いをやり抜いた人達が、敗者であるわけがないですから。
編集部まとめ
病は気からと言いますが、「がんとの戦いは負けでもかわいそうでもない、みな勝者である」という前向きな考えが治療にも良い効果をもたらしているのではないかと思いました。