~実録・闘病体験記~ 更年期障害と思っていたら「まさか」の直腸がんだった
現在、日本では2人に1人が一生のうちにがんに罹患するといわれています。がんは決して他人事ではなく、誰もががんになる可能性があります。下痢、血便、全身の痛みから直腸がんが判明し、2回の手術と現在も抗がん剤治療を受けているChisaさん(仮称)に、闘病の様子を聞かせてもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。
体験者プロフィール:
Chisaさん(仮称)
兵庫県在住、1975年生まれ。家族構成は長女(大学生)、長男(小学生)の3人家族。診断時の職業は会社員。2019年8月大腸がん(ステージ3C)を発症し手術を2度受ける。2019年10月から抗がん剤による治療中。現在も治療を続けながら仕事をし、副作用で体調の悪い時もありながらも治療前と同じように家事や育児に奮闘し、毎日楽しく頑張っている。
記事監修医師:
村上 友太
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
疲労と体重減少、そして体中の痛み
編集部
最初に気づいた症状を教えてください。
Chisaさん
疲れやすくなったな、体重が減ったな、これが一番最初に気づいた異変でした。しかし日々の忙しさを言い訳にし、年齢のせいだろうと思い込んでいました。その後どんどん体重が減り、体中に痛みが出て……。それでも更年期かな、と思っていました。
編集部
しかし、症状が悪化したのですね。
Chisaさん
自分でも「これはやばい、これは更年期ではない」と思ったのは、便秘と下痢が続き血便まで出るようになってからです。そこで初めて病院へ行きました。
編集部
診断のためにどのような検査を受けましたか?
Chisaさん
最初は、ストレス性のものという診断だったのですが、絶対にそうではないという自信があり、先生に頼み込んでCT検査をしてもらったところ、「ちょっとダメなものが映っている」と言われました。すぐに内視鏡検査を受け「間違いなく、良くないものです」と説明されました。
編集部
病気が判明した時の心境を教えてください。
Chisaさん
「……だろうね」という感じでした(笑)。こんなにしんどいのですから、当たり前だと思いました。逆に病気だってハッキリ分かってスッキリしました。
手術、そして抗がん剤の治療へ
編集部
どのように治療を進めると説明されましたか?
Chisaさん
その後、すぐにがんセンターに紹介されて入院となり、手術説明を受けました。その時は直腸がんを切除し、ストーマ(人工肛門)になると言われました。
編集部
今までの間に、どのような薬を使いましたか?
Chisaさん
術後のPET-CTでリンパ節に転移があることが分かったのですが、手術では取りきれない場所にあるため、抗がん剤治療を開始することになりました。最初の抗がん剤はオキサリプラチン、ゼローダ、アバスチンでした。現在はイリノテカン、ティーエスワン、アバスチンです。
編集部
治療開始後、生活にどのような変化がありましたか?
Chisaさん
私の場合、病気よりもオストメイト(排泄のためのストーマ(人工肛門)を造設した人のこと)になった事が大きな変化でした。また、抗がん剤の副作用で、投与後数日は思うように動けない日もあります。趣味だったゴルフもマリンスポーツもできなくなりました。
編集部
発症後、仕事にどのような変化がありましたか?
Chisaさん
幸いにも会社の理解を得られて、病気になる前と同じ仕事を続けさせてもらっています。通院日のお休みも快くいただけるので、感謝しています。
2人の子どものためにも闘っています
編集部
治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?
Chisaさん
やはり2人の子どもたちの存在です。この子たちのためにはまだ死ねない、絶対に治さなければいけない、と思っています。
編集部
もし昔の自分に声をかけるとしたら、どんな助言をしますか?
Chisaさん
「もっと自分の体を大事にしてあげて」です。だいぶ無理をしてしまっていたと思いますので。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
Chisaさん
抗がん剤の投与後は吐き気や倦怠感があり、思うように動けないことがありますが、それでも比較的元気に生活できています。
編集部
今回の病気である直腸がんを知らない方へ、一言お願いします。
Chisaさん
抗がん剤治療は本当にしんどいです。生きるためとはいえ、心が折れてしまうこともあります。そして何よりも大切な人を悲しませるものです。早期に見つかればしんどい事も悲しいことも少なく済む。直腸がんとはそんな病気です。
編集部
医療関係者に望むこと、伝えたいことはありますか?
Chisaさん
私はとてもいい医師に出会えました。治療方針もですが、何よりも私の気持ちに寄り添って理解しようとしてくれます。看護師さんたちも同じで、体も心もケアしてもらっているので、感謝しかありません。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
Chisaさん
「自分は大丈夫」ということはありません。定期検診は必ず受けるべきだと思いますし、何より自分の体の悲鳴に気づいて対処して欲しいと思います。忙しい日々の生活の中でも、たった一つしかない自分の体を大切にして欲しい。自分のためにも、大切な人のためにも。
編集部まとめ
今回は直腸がんの闘病体験をお聞きしました。自分の体のSOSに敏感になること、また、それを気のせい、年齢のせいと思わず、体が発するSOSに気づいて対処することが重要だとわかりました。そして、病気を知ることで生活を守り、治療に専念できるようになるのだと思いました。