【体験談】足のムズムズや身体の痒みが「難病」の始まりだった《自己免疫性肝炎》(2/2ページ)

多くの副作用に悩まされる日々

編集部
入院中はどのようなお気持ちでしたか?
MAOさん
まず心配だったのは、家族、特に小学生の子どもたちの生活でした。まだ1年生と3年生で、生まれてからずっと川の字になって寝ていた母子が突然離れてしまうことで、悲しい想いをさせてしまうと思うと辛かったです。学校へ行く前と寝る前の時間に、電話することが毎日の楽しみでした。
編集部
入院は仕事に影響しませんでしたか?
MAOさん
職場は「帰ってくるのを待とう」と、多くの方が協力してくださったと聞き、とても申し訳ない気持ちと、励まされる気持ちとでいっぱいでした。病気が再燃したことで、これ以上ご迷惑をかけられないと、残念ながら退職することにしましたが、定期的に見舞いのお電話をくださった上司をはじめ、取引先の皆さんにもよくお見舞いに来ていただき、大変励まされました。
編集部
SNSでの交流なども盛んにしているそうですね。
MAOさん
SNSのいわゆる「ママアカウント」の皆さんにも、たくさん励まされました。病気や家族、入院生活での不安を吐露するようなマイナスな投稿にも、明るく返信していただいたり、匿名でお見舞いの品を送っていただいたりもして、前向きな気持ちになるよう支えてくださいました。窓から景色が見えない病室にいたため、どうしても閉塞感に苛まれることもあったのですが、SNSがまるで社会とつながる窓となっているような感覚で、寂しい気持ちをかなり軽くしていただいたことには、衝撃にも近い感激と、大きな感謝を感じました。
編集部
医師や看護師など、医療関係者からの説明は十分でしたか?
MAOさん
これまでに4つの病院を受診しましたが、現在の主治医の先生は、私の治療に対する不安を払拭してくれました。看護師さんについては、どの方も適宜先生と連絡を取って心身ともにサポートしてくださり、大変ありがたかったです。コミュニケーション力のすばらしさに感動しましたし、勉強させていただきました。なかでも、お子さんをお持ちの看護師さん方には、子育ての話で盛り上がったり、時には涙ながらに話を聞いていただいたりと、本当にありがたかったです。
編集部
病気になって家庭生活に変化がありましたか?
MAOさん
ある意味では生活面での本当の闘いは、退院後でした。肝臓についてはイムランにより安定していますが、プレドニンにより発病した双極性障害に苦しんでいます。調子がいい時は周りがびっくりするほど快活なのですが、調子が悪い時には入浴やトイレにも起き上がれず、希死観念に苦しみます。自分で自分が全然コントロールできません。夫婦喧嘩も多くなり、子どもたちに影響するようになったため、現在は自宅を離れ、母子で実家の世話になっています。
編集部
治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?
MAOさん
やはり、小学生の子どもたちの存在はとても大きかったです。早く一緒に笑う日々を取り戻したい、母として料理をふるまい、一緒に悩み、毎日温かな手を握りたい、その一心だったように思います。忙しい時間をぬってお見舞いに駆けつけた友達にも感謝しています。長年年賀状だけのやりとりだった学生時代の友達と15年ぶりに再会したり、4時間以上運転して駆けつけてくれたりしたこともありました。そういう温かい交流が生きる力になりました。
編集部
もし昔の自分に声をかけるとしたら、どんな助言をしますか?
MAOさん
「今やりたいことをやっておけ」「能力とお金を大事にしろ」です。病気になって収入が減り、「家族で国内外への旅行をたくさんする」という夢がかなわなくなってしまいました。また、子どもが大きくなったらどんどん働いて稼ごうという計画もとん挫してしまい、思うように貯蓄が進まなくなってしまいました。
編集部
あなたの病気を知らない方へ、一言お願いします。
MAOさん
自己免疫性肝炎は、本来なら投薬で寛解状態がのぞめるもので、薬と上手に付き合いながら普通の生活を送れるそうです。医師からも「難病とはいえ、働くことも子育てすることもしっかりできるようになります」と説明を受けています。今後、同じ病気になってしまう方がいるとしても、前向きに頑張ってください。
編集部まとめ
自己免疫性肝炎を発症し、その副作用に現在も悩むMAOさんにお話をお聞きしました。肝炎は落ち着くも、多くの副作用に現在も闘っている状況をお聞きし、わからないことだらけの不安、そして家族や周囲の支えの重要性を実感しました。