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【体験談】喉の違和感がことの始まり。胃全摘となった食道胃接合部がん(1/2ページ)

 更新日:2025/02/03
【体験談】喉の違和感と食べづらさがはじまり。胃全摘となった食道胃接合部がん

気になる症状があっても、すぐには受診せず、しばらく様子を見るという人も多いと思います。今回話を聞いたCaonnyさん(仮称)もそうでした。その後明らかな異常を感じて受診した際に、医師から「たいていの場合は良性ですが、念のためみてみましょう」と、軽く言われて検査をしたところ、結果は「食道胃接合部がん」でした。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年12月取材。

Caonnyさん

体験者プロフィール
Caonny(仮称)

プロフィールをもっと見る

1985年生まれ。神奈川県在住。2019年に食道胃接合部がんと診断される。仕事盛りの30代、プライベートでは育児に奮闘している最中での発症。自分自身のがんの経験を通して、若い世代のがん罹患者の苦労を軽減できるような、情報発信などを行っている。

梅村 将成

記事監修医師
梅村 将成
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

「Caonnyさんはご家族いるの?」

「Caonnyさんはご家族いるの?」

編集部編集部

最初に不調や違和感を感じたのはいつですか?

CaonnyさんCaonnyさん

2019年4月、34歳の時です。喉に違和感がありました。何かできていて、食べ物などが通りにくい感覚。その後も飲食時に、たまに引っかかるような状況が続いていたのですが、いずれ耳鼻咽喉科で診てもらおうと思いながら、そのまま過ごしていました。ある時、おにぎりを食べようとしたら、おにぎりを喉に詰まらせて窒息しそうな状況になって嘔吐することがありました。

編集部編集部

病院にいくのを心のどこかでためらっていたのですね。

CaonnyさんCaonnyさん

忙しい日々に追われ、夏になり、体重減少もありましたが「きっと疲れているんだろう」と思っていました。でも、そのときに明らかな異常を感じ、週末に近所の胃腸科を受診しました。

編集部編集部

受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。

CaonnyさんCaonnyさん

2019年8月、朝一番で胃腸科のクリニックに行きました。症状について伝えると、「たいていの場合は良性ですが、念のためみてみましょう」と言われながらも、人生初の胃カメラで検査をしてもらったのです。鎮静剤から覚めて、診察室に呼ばれるや否や、「Caonnyさんはご家族いるの?」と聞かれました。そしてがんの可能性を知らされるとともに、大急ぎで大きな病院に行ったほうが良いと、別の病院を紹介されました。とにかく一刻も早く受診することをすすめられ、翌日は日曜日だったので翌々日に受診予約することになりました。

編集部編集部

紹介された病院で診断がついたのですか?

CaonnyさんCaonnyさん

必要とされる検査のうち、そこの病院でできる検査をすべて行っていただき、PET検査はほかの病院での検査となり、2週間ほどで、がんと確定診断がおりました。「食道胃接合部がん」でした。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

CaonnyさんCaonnyさん

胃を全部摘出する」とのことでした。さらに、検査を進めるうちに、胃の周囲にあるリンパ節7~8箇所に転移があることもわかったので、術前に化学療法を行い、その後に胃を全摘することになりました。最初はもちろん信じられず、他院でセカンドオピニオンを受けて、なんとか胃全摘以外の方法がないか相談しましたが、結果は変わりませんでした。

編集部編集部

そのときの心境について教えてください。

CaonnyさんCaonnyさん

まさかこの年齢でがんになるなんて想像もしていなかったですし、最初にがんだと言われた時には「がん=死」しか頭に思い浮かびませんでした。ショックと絶望で、心を許せる家族や友人には思いっきり死にたくない気持ちと、不安な気持ちはぶつけました。しかし、子どももまだ2歳でしたので、こんな幼くして母親がいなくなるかもしれないという不安が強く、長く生きる方法を探すことに必死になりました。自分自身、医療機関に勤めていたこともあり、冷静に客観的に捉えるような努力をしました。

編集部編集部

お子さまがいらしたのですね。

CaonnyさんCaonnyさん

はい。なので、今後の妊娠の可能性についても不安を抱きました。実は私、2018年に安定期後に第2子を死産しています。それから一年を過ぎて、また子どもを授かれればと夫婦で考えていた矢先に、自分のがんが発覚しました。本当は、卵子の凍結保存をしたかったのですが、排卵は月に一度です。私の場合、治療を急ぐ必要があったので、その選択はかないませんでした。私にとってがん治療が始まることで、妊娠できなくなるかもしれないという状況にもひどく落ち込みました。

将来の子どもに手紙を書き残す

将来の子どもに手紙を書き残す

編集部編集部

治療や闘病生活の中で、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。

CaonnyさんCaonnyさん

進行したがんだと言われていたので、「死」がとても近いものに感じていました。ですから、たくさんの手紙を書き残そうとしました。誕生日、成人式、進学、困難に陥った時などに読んでもらいたいと、いくつもの手紙を書きました。闘病の記録もつけ始めました。とにかく、私は自分の生きていた証をできるだけ残したいと行動していたのだと思います。今もその手紙はとってあります。記録の方は、3年近く経過した今も再発することなく過ごせていますので、続きの闘病記録が書き足されることはなく、封印していますね。

編集部編集部

治療後について、もう少し詳しく聞かせください。

CaonnyさんCaonnyさん

胃をすべて切除したので、術後食べられない期間も長く、体重は18kg程減少しました。体ももちろんキツいですが、やはり栄養が十分とれていないと脳も働かず、まともな判断が保てていませんでした。加えて、自分のことで精一杯で、当時3歳の子どもときちんと関われない自分を責めました。思考もまとまらず、うつになり向精神薬を服用していた時期もあります。

編集部編集部

その状況はどのように改善されたのですか?

CaonnyさんCaonnyさん

自分の誕生日を境に「このままではいけない」と、自分から変わらなくちゃと思い、少しずつ食べ始めました。胃がないことで、すっかり消化機能は変わり、ほんの一口食べただけで戻してしまったり、飲食直後から気持ち悪さが込み上げたり、お腹が痛くなって苦しくなったり悶絶する日々でした。それを繰り返しながら、少しずつ食べられるようになり、栄養がとれるとまともな思考に戻ってきました。体重も、元通りとは行きませんが8kgほど戻っています。

同じ大変な想いをしている人のため、自分の経験を発信していきたい

この記事の監修医師

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