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補聴器を使い始めるべきタイミング・購入方法・費用を解説

 更新日:2023/03/27

加齢などに伴って、少しずつ耳の聞こえが悪くなっていくことは珍しいことではありません。そんなとき、お世話になるのが「補聴器」です。一体、補聴器はどのタイミングで使い始めるのがいいのでしょうか。また、補聴器の選び方も気になります。今回は「水島耳鼻咽喉科」の水島先生に、聴覚が衰えるメカニズムや補聴器を使うタイミングについて教えていただきました。

水島 豪太医師

監修医師
水島 豪太(水島耳鼻咽喉科 副院長)

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日本大学医学部卒業、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科入局。同大学付属病院や一般医院勤務後、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。2016年、AGAヘアクリニック開院とともに、「水島耳鼻咽喉科」の副院長に就任。最新の知見・技術と地域特性を組み合わせた医療に努めている。耳鼻咽喉科専門医。日本耳鼻咽喉科学会、日本めまい平衡医学会、日本遠隔医療学会、日本再生医療学会、国際毛髪抗加齢医学学会などの各会員。

耳の聞こえが悪くなるのは老化の1つ

耳の聞こえが悪くなるのは老化の1つ

編集部編集部

年齢が上がるにつれて、だんだん耳の聞こえが悪くなってきたような感じがします。

水島 豪太医師水島先生

耳の聞こえが悪くなるのは、老化現象の一種です。ただし、実際には30代から聴覚の老化が始まると言われています。歳をとるにつれて、耳の機能が衰えて難聴が起こってきます。

編集部編集部

もう少し詳しく教えてください。

水島 豪太医師水島先生

耳は一番外側から外耳、中耳、内耳という3つの部位で構成されています。そして、内耳にはリンパ液で満たされた蝸牛(かぎゅう)という器官があり、そこには有毛細胞がたくさん生えています。この有毛細胞は音の振動を電気信号に変えて、脳に伝える役割をしており、1本1本異なる音をキャッチする仕組みになっています。そのため、人間はあらゆる音を聞き取ることができるのです。

編集部編集部

耳から脳へ信号が伝わることによって、音が認識されるということですね。

水島 豪太医師水島先生

そうです。この有毛細胞は、存在する場所によってキャッチする音域が異なります。低い音域は蝸牛の奥にある有毛細胞へ届きますし、高い音域のものは蝸牛の手前に生えている有毛細胞にキャッチされます。

編集部編集部

年齢を重ねると、その有毛細胞の働きが衰えるということですか?

水島 豪太医師水島先生

そのとおりです。有毛細胞は老化によるダメージを受け、だんだんと音の聞こえが悪くなります。とくに加齢による難聴では、高音域から次第に聞こえにくくなるという特徴があります。

耳の聞こえが悪くなったら補聴器を

耳の聞こえが悪くなったら補聴器を

編集部編集部

耳の聞こえが悪くなったら、どう治療すればいいのでしょうか?

水島 豪太医師水島先生

耳が聞こえにくくなったら、まずは耳鼻科を受診してください。発症の経過により、対処法が異なります。例えば、ある日突然、耳が聞こえにくくなったなどの急性の難聴にはステロイド剤などを使用することがあります。一方、徐々に進行する加齢性難聴の場合には、補聴器を使うのが一般的です。

編集部編集部

補聴器について詳しく知りたいです。

水島 豪太医師水島先生

補聴器は、音を聞き取る力を補う医療機器です。マイクを通して入ってきた音を調整し、聞きやすい音にしてイヤフォンから出力する仕組みになっています。

編集部編集部

集音器や聞き取りを補助するワイヤレスイヤフォンもありますが、それらとはどう違うのですか?

水島 豪太医師水島先生

集音器やワイヤレスイヤフォンには、音を大きくする機能をもっています。そのため、「高音は聞こえにくいけれど、低音はきちんと聞こえる」という人に対して、高音だけでなく低音も大きくしてしまうのです。集音器はあくまでも音を大きくするだけなので、かえって耳にダメージを与えてしまうこともあります。

編集部編集部

その一方で、補聴器は音を調整してくれるのですか?

水島 豪太医師水島先生

そうです。補聴器は、聞き取りにくい音域だけを大きくして、普通に聞こえる音はそのままです。その人に合わせて音の出力を調整するのが補聴器の特徴です。また、補聴器は厚生労働省に認定された医療機器ですが、集音器やワイヤレスイヤフォンは違います。補聴器は、法律によって定められている厳しい基準を満たしたものだけが名乗ることができます。

補聴器は耳鼻科で購入するのがおすすめ

補聴器は耳鼻科で購入するのがおすすめ

編集部編集部

補聴器はどこで購入すればいいのでしょうか?

水島 豪太医師水島先生

耳鼻科で医師と相談しながら購入することを推奨しています。市販品もありますが、補聴器は購入してすぐに使えるというものではありません。患者さんは耳が聞こえない状態に慣れてしまっているので、いきなり100%の状態で音が聞こえるようにしようとすると、脳が驚いてしまいます。そのため、まずは70%くらい聞き取れるレベルからスタートします。その後、聞こえの状態を見ながら少しずつ100%まで上げていくのです。こうした調整をおこなうために、耳鼻科で購入することをおすすめしています。

編集部編集部

耳鼻科で補聴器を購入したら、しばらく通院する必要があるのですか?

水島 豪太医師水島先生

そうですね。補聴器を使い始めて3~6カ月かけて、音の聞こえを100%の状態に上げていきます。そのため、週1回~月1回程度、様子を見ながら通院していただく必要があります。

編集部編集部

聞こえが回復したら、通院する必要はないのですか?

水島 豪太医師水島先生

いいえ。月日とともに難聴は進んでいきますから、半年~1年に1回程度は通院していただきます。そして、聴力検査をおこない、聞こえが悪くなっている場合は補聴器の出力を再調整します。

編集部編集部

補聴器はいつ頃から使い始めればいいのでしょうか?

水島 豪太医師水島先生

聞こえに異常を感じたら、できるだけ早く耳鼻科を受診しましょう。原因によっては補聴器を使わなくても、治療できる場合もあります。もし補聴器が必要と診断された場合、難聴の度合いが軽いうちから補聴器を使用することをおすすめします。なぜかというと、難聴は他者とのコミュニケーションロスにつながり、社会から孤立してしまうリスクがあるからです。実際、難聴が進むと認知症になりやすいということも様々な研究によって明らかになっています。難聴が軽症でも、自覚があるなら早めに受診していただきたいですね。

編集部編集部

補聴器の費用についても教えてください。

水島 豪太医師水島先生

種類によって金額にバラつきがあります。補聴器は耳にかけるタイプの「耳かけ型」、耳の穴に差し込むタイプの「耳穴型」、本体とイヤフォンがケーブルで繋がれている「箱型」の3つにわけられます。それぞれによって価格が異なりますが、安価なものなら10万円未満、高額なものだと100万円以上と製品によって差があります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

水島 豪太医師水島先生

難聴は誰にでも起こり得ることは知っておいてほしいです。しかし、それが決して当たり前のことだとは思わないでください。補聴器を使うことで、適切に聴力を回復させることができますし、生活において豊かなコミュニケーションを実現するために、補聴器はとても重要な役割を果たします。放置すると認知症のリスクが高まるといった重要な問題になりかねないので、「耳の聞こえが悪くなったな」と思ったら、ためらわずに耳鼻科を受診していただきたいと思います。

編集部まとめ

耳の聞こえが悪いとQOLが下がるだけでなく、身の危険にもつながります。「ちょっと、聞こえが悪くなってきたな」と思ったら、できるだけ早めに耳鼻科を受診して、補聴器の使用についてアドバイスを受けるようにしましょう。

医院情報

水島耳鼻咽喉科

水島耳鼻咽喉科
所在地 〒272-0805 千葉県市川市大野町3丁目185
アクセス JR武蔵野線「市川大野駅」 徒歩2分
診療科目 耳鼻咽喉科、アレルギー科、小児科

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