ニキビ跡や毛穴汚れに使う「ダーマペン」、効果や治療期間・回数などの気になる点を皮膚科医が解説

秋山先生

ダーマペンには一定の効果があり、人気を呼んでいます。ダーマペンは、肌に細かい針を刺していく医療機器です。刺すといっても、ダーマペンを肌の表面に滑らせながら動かしつつ、たくさんの小さな穴を肌に開けていくイメージですね。滑らせる速度や針の深さは医師が見極め、機器を調節することによって施術していきます。

秋山先生

そうなのですが、ダーマペンはヒトのもつ創傷治癒効果を利用しています。その結果として、肌のコラーゲンやエラスチンの生成を促すので、浅いしわやニキビ跡、毛穴の改善などが期待できます。美肌再生治療とも言えるでしょう。施術中に有効成分が多数含まれた成長因子入りの製剤を、同時に肌に浸透させることもできます。

秋山先生

広範囲に使うことができます。ただし、どの箇所でも同一の調節で施術するわけではなく、微調整が必要です。例えば、「ニキビ跡が深いところは深度を深く」、「目周りや小じわが気になる部位には深度を浅く」といったように、一人ひとりの肌状態やお悩みに合わせてきめ細かく治療をおこなっています。こうした針の深度調整は、レーザー治療にはない、手作業によるダーマペンならではの特徴と言えるでしょう。ただし、きめ細かな調整をどこまで徹底しているかは、クリニックによって異なると思います。

秋山先生

ニキビ跡のひどい凹凸であれば、5回以上の施術をおすすめすることもあります。また、毛穴の開きが気になっていてツルっとした素肌にしたいのであれば、3回でも効果を実感していただけるでしょう。大きなクレーター状のものほど、肌を複数回再生させて新しい皮膚に入れ替えていく必要があるため、施術回数は多くなります。1回の治療でも1回分の治療効果は出せますが、複数回おこなうことをおすすめしています。

秋山先生

変わってきますので、トータルの治療期間については、なんとも言えません。例えば、小じわに対して深いところまで治療する必要はないでしょう。かえってダウンタイムが延び、色素沈着のリスクも増えます。他方で、ニキビ跡の深いクレーターなどは深く治療する必要があります。深いところの治療をしても、多くの人のダウンタイムは5～7日間です。そのときの治療間隔は3～4週ごとを推奨しています。いずれにしても、きめ細かく、肌状態に合わせて治療することが必要です。

秋山先生

はい。レーザー治療なのか、投薬治療なのか、ダーマペンなのか、あるいは、これらの組み合わせが好ましいのか。スタートは、こうした治療計画の立案からです。そのうえで、肌状態も診ますし、ダウンタイムが取れるか、予算はどのくらいかなどによっても変わってきます。

秋山先生

そうです。何をもって「理想的な効果」とするのかも、人によって違う印象です。黒ずみの除去なのか、お顔のデコボコを治したいのか、あるいはニキビそのものを退治したいのかなどです。これらを聞いたうえで、施術方法を決定していきます。

秋山先生

特段のセルフケアは求めませんが、かゆくて引っ掻いていると回復が遠のいてしまいます。とくに、かさぶたを引っ掻くクセのある人は要注意ですね。そういった場合は、就寝時などにパッチ類を活用して対策しましょう。なお当院では、ダーマペン後に使う軟膏を無償でお渡ししています。セルフケアは塗るだけです。より効果を求める人にはサプリメントもご紹介しています。

秋山先生

ダーマペンは医療機器なので、一般に手に入るものは類似品や模倣品です。また、ダーマペンによる施術は医療行為なので、安易に手を出すと感染症を引き起こしたり、傷跡や色素沈着を起こしたりする危険があります。したがって、ご自身での購入・使用はおすすめできません。

秋山先生

はい。医療用ダーマペンの想定している微細な傷“以上”の損傷が市販品の使用によって起きていたら、全く別の治療が必要になってしまいます。ダーマペンは、創傷治癒効果に期待してあえて「受傷させている」ということに注意してください。くれぐれも、塗り薬やサプリメント感覚でセルフケアしないようにしましょう。

秋山先生

ダーマペンの治療効果は、施術者の見極める力や腕によるところも大きいのではないでしょうか。ですから、施術に入る前の段階で、症例写真を見せてもらうことをおすすめします。また、「5回で効果が出る」は、あくまで平均値であり、その患者さんにとっての最適解を一緒に探すことからはじめるべきだと考えます。あとは、治療選択肢の比較軸に乗ってくるのはレーザーか光治療なので、その説明も併せて受けるようにしてください。