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【医師解説】赤ら顔「毛細血管拡張症」の治療は何回通院が必要? 治療開始から完了までの流れは?

 更新日:2023/11/02
赤ら顔「毛細血管拡張症」の治療は何回通院が必要? 治療開始から完了までの流れを解説

毛細血管拡張症」とは、血管が透けて見え、肌に赤みが出ている状態のこと。自然に治癒することはありませんが、治療で症状を改善することは可能です。では、毛細血管拡張症の治療にはどれくらいの期間が必要なのでしょうか。治療開始から、症状が改善するまでの流れについて、新橋汐留 小林クリニックの小林先生にうかがいました。

小林 正弘

監修医師
小林 正弘(新橋汐留 小林クリニック)

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慶應義塾大学医学部卒業。その後、慶應義塾大学病院形成外科レーザー外来責任者、慶應義塾大学教授などを務める。2022年、東京都港区に「新橋汐留 小林クリニック」を開院。医学博士。日本形成外科学会 形成外科専門医。

毛細血管拡張症とは?

毛細血管拡張症とは?

編集部編集部

毛細血管拡張症とはなんですか?

小林 正弘先生小林先生

毛細血管とは皮膚に存在する血管で、通常は周囲の環境に応じて拡張・収縮しています。たとえば、寒いときには収縮して末端に血液が流れないようにして、体温を維持する役目を担います。この毛細血管の機能が何らかの理由で障害され、血管が過度に拡張したままになってしまうことを、毛細血管拡張症といいます。

編集部編集部

毛細血管拡張症とは、病気を表す病名ですか。

小林 正弘先生小林先生

いいえ。病名ではなく、起こっている症状を表す名称です。

編集部編集部

毛細血管拡張症になると、どうなるのですか?

小林 正弘先生小林先生

血管が拡張し、血流が増えることによって血管が皮膚の表面から透けて見えたり、皮膚に赤みを伴うようになったりします。

編集部編集部

毛細血管拡張症は、どの部分に起きるのですか?

小林 正弘先生小林先生

鼻、頬、眉間などを中心に、顔に現れます。また、顔だけでなく下肢(足)などに出ることもあります。

編集部編集部

どのように下肢に症状が出るのですか?

小林 正弘先生小林先生

足の静脈がふくれ、こぶ状に浮き出て見えるようになった状態を「下肢静脈瘤」といいます。この下肢静脈瘤に伴って、毛細血管拡張症が出ることがあるのです。症状の現れ方によって、「網目状静脈瘤」や「クモの巣状静脈瘤」と呼ばれます。下肢静脈瘤に伴わず、単独で生じる場合もあります。

編集部編集部

毛細血管拡張症の原因はなんですか?

小林 正弘先生小林先生

さまざまな原因があり、例えば肝疾患などの「病気」に伴って生じることもありますが、多くは「病気」と無関係です。主に女性ホルモンが関係しているのではないかと考えられています。そのため、毛細血管拡張症を発症するのは女性が多く、特に、妊娠している女性に多く見られます。

毛細血管拡張症の治療法

毛細血管拡張症の治療法

編集部編集部

毛細血管拡張症は自然治癒するのですか?

小林 正弘先生小林先生

毛細血管拡張症は炎症を伴いません。なので、炎症とは異なって放置していても自然に治癒することはありません。もし「一時的に赤みが出たけれど、自然に赤みが消えた」という場合には、毛細血管拡張症ではなく、皮膚に炎症を生じさせるほかの疾患によるものと考えられます。

編集部編集部

炎症が起きて、顔が赤く見える場合もあるのですね。

小林 正弘先生小林先生

はい、皮膚に炎症が起きることで、一時的に顔が赤くなることがありますが、このような場合、通常は毛細血管拡張症には該当しません。

編集部編集部

毛細血管拡張症はどのようにして治療するのですか?

小林 正弘先生小林先生

放置しても改善しないので、レーザーによって治療します。

編集部編集部

どのようなレーザーを使うのですか?

小林 正弘先生小林先生

主に用いられるのは、Vビームレーザーです。Vビームレーザーとは、血液中のヘモグロビンに反応するレーザーで、ヘモグロビンにレーザーのエネルギーが吸収され、熱を発生することでその周囲の毛細血管を破壊して毛細血管拡張症を改善します。ほかにも毛細血管奇形(単純性血管腫)、にきび跡の赤み、血管腫(老人性血管腫)、ケロイドの赤みなどにも用いられます。

編集部編集部

どのようにしてレーザーを照射するのですか?

小林 正弘先生小林先生

Vビームレーザーは、レーザーを照射する直前に冷却ガスが一定量出て、照射部位を冷やしたあとにレーザーが照射されます。レーザー照射部位には、熱が発生します。以前は、この熱によりやけどになってしまうことがありましたが、Vビームレーザーでは冷却ガスの効果によりやけどにならない温度までしか上がらなくなり、安全に治療することができます。冷却ジェル等を使用する必要もありません。

編集部編集部

痛みはないのですか?

小林 正弘先生小林先生

痛みはわずかで、輪ゴムではじかれるような感じです。麻酔無しでの施術も可能ですが、テープ麻酔や塗り麻酔を使用した方が痛みは少なくなります。痛みに弱い人は、麻酔をした方が良いと思います。

Vビームレーザーの治療は何回必要?

Vビームレーザーの治療は何回必要?

編集部編集部

Vビームレーザーの治療は、何回必要ですか?

小林 正弘先生小林先生

症状にもよりますが、たとえば治療回数の目安は3〜5回程度です。3~5回程度の治療で、改善が期待できます。残存する場合もありますので、さらに効果を高めたい場合には治療回数を重ねることもあります。

編集部編集部

どれくらいの間隔で治療が必要なのですか?

小林 正弘先生小林先生

毛細血管拡張症に対するVビームレーザーの治療は、保険が適用となる場合があります。保険を適用する場合には、保険請求の間隔が3ヵ月であることより、3か月に一度、治療することが多いです。

編集部編集部

副作用やダウンタイムはありませんか?

小林 正弘先生小林先生

傷跡が残ることは通常ありませんが、稀に色素沈着が起きることがあります。また、治療後には赤み、腫れを認めます。痛み、皮下出血斑(内出血)などが現れる可能性もあります。なお、内出血は1〜2週間、赤みや腫れは長くても1週間程度でおさまります。

編集部編集部

治療の注意点はありますか?

小林 正弘先生小林先生

施術後は紫外線対策を十分に行いましょう。また、洗顔、メイク、入浴は施術当日から可能ですが、熱いお湯に入ったり、強くこすったりしないでください。また、妊娠中の方は治療を受けることができません。

編集部編集部

紫外線対策が重要なのですね。

小林 正弘先生小林先生

日焼けについていえば、施術後だけでなく施術前にも日焼けをしないことが重要です。施術前に日焼けをすると、日焼けの色にレーザーが反応してしまい、かさぶたができることがあります。そのため、施術前からしっかり紫外線対策を行いましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小林 正弘先生小林先生

毛細血管拡張症に対するVビームレーザーの治療は、保険の適応があります。ただし、保険適応の原則として、整容・美容目的のみの施術だと判断される場合には保険適用とならず、自由診療で行わなければなりません。しかし実際には、保険適用か、自由診療かの境界線は明確に示されておらず、医療機関の判断に委ねられる部分も多くあります。そのため「ある医療機関では、保険診療は難しい」と言われても、「別の医療機関に相談したら、保険が適用になる」という可能性もあります。もし、赤ら顔や毛細血管拡張症で悩んでいる人がいたらあきらめず、Vビームレーザーの取扱いのあるクリニックで相談していただきたいと思います。

編集部まとめ

赤ら顔がコンプレックスという女性も多いと思います。しかし、毛細血管拡張症と診断されれば保険診療で治療することが可能な場合もあります。まずはVビームレーザー治療を行うクリニックを受診し、「治療可能か」「保険が適用になるか」などを相談してみてはいかがでしょうか?

医院情報

新橋汐留 小林クリニック

新橋汐留 小林クリニック
所在地 〒105-0021 東京都港区東新橋2-5-6 ACN汐留ビルディング2F
アクセス 都営大江戸線「汐留駅」 徒歩4分
JR「新橋駅」 徒歩5分
診療科目 形成外科(あざ・シミのレーザー治療専門)

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