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【医師監修】肌の赤み「毛細血管拡張症」の治療は保険適用? 費用目安を教えて

 更新日:2023/11/08
肌の赤み「毛細血管拡張症」の治療は保険適用? 費用目安を教えて

何もしていないのに、顔が赤く見えるという「毛細血管拡張症」に悩んでいる女性も多いと思います。現在、飲み薬による治療法はなく、Vビームというレーザー治療を行うのが一般的ですが、はたして保険は適用になるのでしょうか。また、治療費用の目安はどのくらいなのでしょうか? 新橋汐留 小林クリニックの小林先生にうかがいました。

小林 正弘

監修医師
小林 正弘(新橋汐留 小林クリニック)

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慶應義塾大学医学部卒業。その後、慶應義塾大学病院形成外科レーザー外来責任者、慶應義塾大学教授などを務める。2022年、東京都港区に「新橋汐留 小林クリニック」を開院。医学博士。日本形成外科学会 形成外科専門医。

毛細血管拡張症の症状と原因

毛細血管拡張症の症状と原因

編集部編集部

毛細血管拡張症になると、どのような症状が見られるのですか?

小林 正弘先生小林先生

毛細血管が拡張することで血流が増え、皮膚の表面から血管が透けてみえるようになったり、全体が赤く見えたりします。一般に「赤ら顔」と言われるものも、毛細血管拡張症のひとつです。

編集部編集部

どのように赤く見えるのですか?

小林 正弘先生小林先生

毛細血管拡張症は症状の違いにより、一般的に以下のタイプに分類されます。
・単純(線状)型…通常盛り上がりはなく、赤色や青紫色を示す枝分かれがない状態
・樹枝状型…単純型と同様、盛り上がりはないが、赤色や青紫色を示す血管の枝分かれがある状態
・クモ状型…中心の血管から360度に、クモが足を広げたように血管が拡張している状態
・丘疹型…皮膚の表面から少し盛り上がり、丘疹を囲むように血管が拡張している状態
・紅斑…淡い発赤がみられる、鼻全体や頬に赤みが広がっているなど、各タイプが混在しているなどの状態

編集部編集部

原因はなんですか?

小林 正弘先生小林先生

原因はさまざまですが、女性ホルモンの影響も関与していると考えられています。そのほか、もともとの皮膚が薄い、加齢によって皮膚の脂肪量が減少する、なども原因として考えられます。

毛細血管拡張症の治療について

毛細血管拡張症の治療について

編集部編集部

どのようにして治療するのですか?

小林 正弘先生小林先生

一般的に用いられているのはVビームレーザーです。これは、血管病変、赤あざを治療するダイ(色素)レーザーという種類のレーザーで、毛細血管拡張症にも高い効果を発揮します。

編集部編集部

レーザーを当てることによってどのような効果があるのですか?

小林 正弘先生小林先生

拡張したままになっている血管を焼灼(レーザーで焼く)することにより、症状の改善を促します。

編集部編集部

治療は1回で効果が得られるのですか?

小林 正弘先生小林先生

個人差はありますが、早い人であれば1回で治療効果を感じられる場合があります。しかしVビームレーザーは色に反応するため、濃くはっきりと血管が見えている方が顕著な効果を期待できます。反対に、血管が薄くぼんやり浮き上がっているようなタイプは複数回の治療を必要とする場合があります。

編集部編集部

一度で治らない場合には複数回照射するのですか?

小林 正弘先生小林先生

はい、通常は3ヶ月間隔で治療を繰り返します。目安として、3~5回程度の治療を行います。

編集部編集部

Vビームレーザーを当てることで赤ら顔を完治することができるのですか?

小林 正弘先生小林先生

「完治」という意味をどう捉えるかにもよりますが、そもそも頬は誰でも多少なりとも赤いのが一般的です。そのためVビームレーザーを照射することで、過度の赤みを正常に戻すことを完治と捉えれば、完治させることは可能です。完治できず、残存する場合もあります。

編集部編集部

再発することもあるのですか?

小林 正弘先生小林先生

はい、Vビームレーザーによる治療は毛細血管拡張症の根本的な原因に対する治療ではなく、症状を改善する治療です。一度改善しても、のちに再発する場合があります。そのため一旦症状が落ち着いたあとも、再発予防のために間隔を開けて照射を継続している患者さんもいます。

治療は保険適用? 治療費の目安は?

治療は保険適用? 治療費の目安は?

編集部編集部

Vビームレーザーの治療は保険が適用になるのですか?

小林 正弘先生小林先生

はい、毛細血管拡張症に対するVビームレーザーによる治療には保険の適応があります。しかし、Vビームレーザーは他の効果もあり、ニキビ跡の改善や肌にハリを出したり、シワやたるみを改善したりアンチエイジングの効果もあります。そのような目的で治療する場合には、自由診療となります。

編集部編集部

毛細血管拡張症の治療でVビームレーザーを使う場合の治療費は?

小林 正弘先生小林先生

照射する部位が10c㎡までの場合は21700円、3割負担の場合には6510円になります。以降、10 c㎡増えるごとに5000円(3割負担の場合1500円)が加算されます。また、別途、健康保険の基準による初診料、再診料、投薬料、麻酔料等が必要です。

編集部編集部

クリニックを選ぶ際の注意点はありますか?

小林 正弘先生小林先生

毛細血管拡張症は、肌に現れている症状を考慮して保険診療か自由診療か決定します。そのため、治療を受ける際には、自分は保険適用の範囲内か、あるいは自由診療になるのかをしっかり確認しましょう。また、予想される治療回数の目安も確認しておくと良いでしょう。

編集部編集部

Vビームレーザーによる治療が保険適用か、自由診療かは、医療機関によって異なるのですか?

小林 正弘先生小林先生

本来は異なってはいけないものと思いますが、実際には異なってしまっていると思います。毛細血管拡張症のVビームレーザーによる治療には保険適用となります。ただし、健康保険適応の原則として、整容・美容目的のみの施術だと判断される場合には保険適用とならず、自由診療で行わなければなりません。しかし、それを判断する基準が明確に示されておらず、医療機関の判断に委ねられる部分も多くあります。そのため、医師による判断に違いが生じる場合もあります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小林 正弘先生小林先生

毛細血管拡張症の治療には、Vビームレーザー以外の治療法もあります。例えば、フォトフェイシャルと呼ばれる治療法もそのひとつです。フォトフェイシャルは、美肌効果も期待でき、血管のみならず、シミなど顔全体のさまざまなトラブルを同時に改善できる治療法です。しかし、毛細血管拡張症に対してはVビームレーザーの方が治療効果は高く、また、一定の条件下では保険が適用になります。そのため、毛細血管拡張症を治したい場合には取扱いのあるクリニックでVビームレーザーの治療を受けるのが最善と考えられます。ただし、Vビームレーザーの取扱いのできるクリニックは限られます。もし治療を受けたい場合にはあらかじめ確認してから受診しましょう。

編集部まとめ

「顔が赤い」という悩みを抱えている女性は多いと思います。メイクで隠したり、基礎化粧品をいろいろ試したりして、努力している女性も少なくないでしょう。しかし、毛細血管拡張症はVビームレーザーで治療できます。保険も適用になるとのことですので、もし「顔が赤い」という悩みを持っている場合には一度、取扱いのあるクリニックで相談することをおすすめします。

医院情報

新橋汐留 小林クリニック

新橋汐留 小林クリニック
所在地 〒105-0021 東京都港区東新橋2-5-6 ACN汐留ビルディング2F
アクセス 都営大江戸線「汐留駅」 徒歩4分
JR「新橋駅」 徒歩5分
診療科目 形成外科(あざ・シミのレーザー治療専門)

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