【動画付き】無痛分娩と和痛分娩ってどう違うの?
出産について調べてみると、痛みがない「無痛分娩」や、痛みを和らげる「和痛分娩」などといった言葉を見かけます。いざ出産する際に、痛さに対しての恐怖心が強いと、こうした分娩方法について検討する人もいるのではないでしょうか。今回は「央優会レディースクリニック」の種元先生に、分娩方法の選び方や違いについて聞いてきました。
監修医師:
種元 智洋(央優会レディースクリニック 院長)
東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学産婦人科学講座入局後、町田市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター、東千葉メディカルセンター産婦人科で経験を積む。2020年、「央優会レディースクリニック」院長に就任。相模原市で地域に密着した医療を50年にわたり提供している。医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本周産期・新生児医学会母体・胎児専門医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、日本超音波医学会超音波専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医、母体保護法指定医。
無痛分娩は痛みを大きく軽減
編集部
まず、無痛分娩とはどのような方法ですか?
種元先生
無痛分娩は、出産前に硬膜外麻酔をおこない、痛みを取って出産を目指す方法です。麻酔をすることにより、痛みはかなり軽減されます。なお、局所麻酔のため意識がなくなるわけではありません。そのため、生まれたばかりの赤ちゃんにもすぐに会うことができます。また、麻酔が赤ちゃんに影響することもありません。
編集部
無痛分娩をおこなう一番のメリットは、やはり痛みの軽減ですか?
種元先生
そうですね。出産の痛みを軽減できるのは大きなメリットだと思います。母体の心臓や循環器に及ぼす影響が少ないのも利点です。また、自然分娩よりも体力を温存できるため、出産後が楽という人も多いようです。さらに、退院するまでに体力が回復しやすいようですね。
編集部
無痛分娩にデメリットはありますか?
種元先生
麻酔を打つため、リスクがゼロではないという点です。もしもの場合は迅速に対処をしていますが、麻酔の副作用として血圧が低下することもあります。また、病院の中には24時間対応ではないところもあり、夜中に破水した場合、運ばれた病院で無痛分娩をおこなってないことも考えられます。そうならないために無痛分娩を希望される人は、基本的に計画出産をするのですが、万が一の場合に希望の分娩方法が叶わないこともあります。
和痛分娩に定義はない
編集部
他方、和痛分娩とはどのようなものですか?
種元先生
ネットなどでたまに和痛分娩という言葉を見かけますが、実のところ和痛分娩に明確な定義はないのです。また、病院によっても和痛分娩の定義は異なり、そもそもそのような呼び名の分娩をしていないところもあります。あまり和痛分娩という言葉自体、浸透していないかもしれません。
編集部
“痛みを和らげる”と書くので、無痛分娩も含まれるということでしょうか?
種元先生
そういうことになりますね。無痛と完全に異なるわけではないですが、「無痛分娩=和痛分娩」というわけでもないです。本当に字の通り、“痛みを和らげて分娩する”ことだと思います。そういう意味では「ソフロロジー式分娩」も、和痛分娩のひとつですね。
編集部
ソフロロジー式分娩とは、どのようなものでしょうか?
種元先生
出産の瞬間や産後のことをイメージしたり、呼吸法を身につけるといった事前準備をしたりして、リラックスした気持ちで出産に臨む方法です。気持ちを穏やかにコントロールすることで、痛みを前向きに捉え、出産時の痛みを和らげていきます。麻酔などを使うわけではないので、実際に効果があるかは人それぞれですが、痛みを和らげるという面では、和痛分娩のひとつと言えるでしょう。
自分に合った分娩方法を見つける
編集部
無痛分娩や和痛分娩は、どういう人におすすめですか?
種元先生
出産の痛みに対して恐怖心がある人や、出産に対して少しネガティブなイメージが浮かんできてしまう人などにおすすめしています。とくに、出産経験のない人は、どれくらい痛みがあるのか想像しにくいかと思います。もしそういった不安がある人は、ぜひ医師に相談してみてください。
編集部
どの病院でも受けられるものですか?
種元先生
クリニックによって異なると思います。最近はインターネットや口コミなどで調べてから来院する妊婦さんも増えています。無痛分娩や和痛分娩を希望される人は、対応しているクリニックに行ってみましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
種元先生
無痛分娩によって痛みが軽減される点は、確かに大きなメリットだと思います。しかし、先ほど述べたようなリスクがあるのも事実です。それを踏まえて、一度じっくり検討してみてください。無痛分娩をおこなっているクリニックで、専門医に一度相談してみるのがより確実でしょう。
編集部まとめ
和痛分娩に特に定義はなく、痛みを和らげるという意味では、無痛分娩やソフロロジー式分娩などが含まれているようです。無痛分娩は痛みをかなり軽減できる反面、多少のリスクがあるのは事実です。どの方法が自分とって最適解なのかを知るためにも、まずは医師に相談するところからはじめてみてはいかがでしょうか。
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