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産後のお腹がへこまない…なにか対策はありますか?

 更新日:2023/03/27

子宮やその周りの組織は、胎児の成長を受けて膨らんでいきます。その膨らみは、赤ちゃんがいなくなった後でも、しばらく続くようです。こうした、下腹のぽっこり対策について、「東京マザーズクリニック」の林先生を取材しました。また、子宮の収縮によって起こる「後陣痛(こうじんつう)」対策についても伺っています。

林先生

監修医師
林 聡(東京マザーズクリニック 院長)

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広島大学医学部卒業、広島大学大学院医系科学研究科修了。県立広島病院産婦人科副部長や国立成育医療研究センター胎児診療科医長を歴任、アメリカの大学病院への留学歴あり。2012年、東京都世田谷区に「東京マザーズクリニック」を開院。医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、日本超音波医学会超音波専門医、日本周産期・新生児医学会認定周産期(母体・胎児)専門医。日本胎児治療学会、日本母体胎児医学会、日本胎児心臓病学会、日本再生医療学会ほかの各会員。

産後のお腹がへこまない場合、方法は問わず「産後1カ月」がカギ

方法は問わず、産後の1カ月がカギ

編集部編集部

出産後なのに、お腹がぽっこり出続けていて気になります。

林先生林先生

下腹がぽっこり出る理由は大きく分けて2つあります。「腹直筋が引き延ばされて緩んだこと」と「子宮がいまだ十分に収縮していないこと」です。また、弱っていない背筋に引っ張られ、いわゆる「反り腰」の状態になっていることも原因として考えられます。

編集部編集部

いずれ、元に戻るのでしょうか?

林先生林先生

子宮の収縮は、通常なら4~6週間ほどで元の大きさへ戻っていきます。このとき、腟(ちつ)から出る分泌物が茶色から黄色に変わっていくので、ひとつの目安としてみてください。お腹のぽっこりにほかの要因が加わっていると、外見上の判断を難しくさせてしまいます。分泌物を確認するのがコツです。

編集部編集部

他方の腹直筋についてはどうでしょうか?

林先生林先生

普通に生活をしていれば、いずれ戻ります。とはいえ、見た目がどうしても気になるのであれば、適度な運動やトレーニングを取り入れてみてください。とくに“コレ”といった方法はなく、「お腹の筋肉」に負荷がかかっていれば鍛えられます。

編集部編集部

スポーツジムやフィットネスジムなどを活用した方がいいのでしょうか?

林先生林先生

費用の問題もありますし、人それぞれでいいと思います。自己管理が苦手な人なら、ジムなどを「運動のきっかけづくり」として活用してみてください。もちろん、自宅で「テレビを見ながら腹筋」でも構いません。あまり、神経質にならないようにしましょう。

ダイエットと勘違いすることの危険性

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編集部編集部

運動は苦手で、なるべく楽をしたいのが本音です。

林先生林先生

産後用の補整下着なども市販されていますので、価格と相談してみてください。長い目で見れば、腹筋の緩みは、いずれ元に戻ります。その間の外見を補う意味で、補整下着は有効でしょう。ただし、食べすぎて太ったお腹をへこませる趣旨ではありません。運動の苦手な人は、その点に注意してください。

編集部編集部

先ほど、姿勢の話が出ていましたね?

林先生林先生

壁に背中を合わせたとき、背中との隙間に手のひらが難なく入っていくようなら、「反り腰」といえます。腰に負担がかかる姿勢なので、いずれ、腰痛に至るかもしれません。悪習として身についてしまわないよう、「頭からひもでつるされているような」まっすぐの姿勢を心がけましょう。腰痛や周囲からの指摘が顕著なら、整体などを利用してもいいと思います。

編集部編集部

姿勢と関連して「骨盤」は、ぽっこりと関係ないのでしょうか?

林先生林先生

産後は骨盤が下に開いているので、お腹がぽっこりする原因になり得ます。自分で直すのは難しいため、やはり整体などに行く必要があるでしょう。ただし、人による個人差があるので、「必ず整体へ行ってください」というほどの話ではありません。

編集部編集部

食事量のコントロールは、引き続き必要ですよね?

林先生林先生

必要ですが、体重や体力の“管理”が目的であって、“ダイエット”ではありません。必要な栄養素はまんべんなく取っていただいて、そのうえで「体重が増えるようなら、自己管理していきましょう」ということです。過度な糖質制限などは、母乳の出や質と関係してきますし、赤ちゃんにとっても好ましくないことです。

後陣痛が出ているから安心とも言いきれない

後陣痛が出ているから安心とも言いきれない

編集部編集部

あと、お腹の奥が痛むという話をよく聞きます。

林先生林先生

調べてみないとわかりませんが、「後陣痛」かもしれません。誰にでも起こることで、子宮が収縮しようとしているサインです。生活に支障がなければ、そのまま様子見で構いません。耐えられないようなら、出産したクリニックへご相談ください。

編集部編集部

後陣痛が楽になる方法ってありますか?

林先生林先生

マッサージや楽になる姿勢など、いろいろと試してみてください。ただし、痛みの程度によっては、遠慮なく医師へご相談いただきたいですね。痛み止めのお薬などで、比較的簡単に折り合いが付けられます。

編集部編集部

後陣痛は、いつごろまで続くのでしょうか?

林先生林先生

1~2週間程度です。2週間が過ぎてもお腹の奥に痛みを感じる場合は、別の病気によるものかもしれません。同様に、2週間が過ぎても全く変化がない場合は、子宮の収縮以外の原因を探ってみるべきでしょう。前述した、腟からの分泌物の色などを参考にしてみてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

林先生林先生

産後のお腹のぽっこり対策には、自分でできることと整体などの専門家に頼るべきことがあります。どちらで進めるのか迷うようなことがあったら、間違って遠回りしないためにも、かかりつけの産婦人科へご相談ください。

編集部まとめ

下腹がぽっこりしてしまう原因は、主に「子宮の収縮が進んでいないこと」と「腹直筋が緩んでいること」の2点でした。加えて、「反り腰」、「骨盤の開き」、「食事量」などが関係してきます。明らかな心当たりがあれば別ですが、安易な決め打ちは控え、個人ごとの原因を調べてもらいましょう。とくに、産後2週間がたった後の「痛み」には要注意です。

妊娠についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

医院情報

東京マザーズクリニック

東京マザーズクリニック
所在地 〒158-0098 東京都世田谷区上用賀4-5-1
アクセス 東急田園都市線「用賀駅」 徒歩13分
診療科目 産婦人科

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