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尿漏れ・便秘の対策に効果的? “骨盤底筋リハビリ”を医師・理学療法士が解説

 公開日:2023/06/03
尿漏れ・便秘の対策に効果的? “骨盤底筋リハビリ”を医師、理学療法士が解説

女性は妊娠や出産、年齢を重ねることによる「からだの変化」によって骨盤底筋群の機能が低下し、尿漏れや便秘などになってしまうことがあります。この記事では、女性のための骨盤底筋群へのリハビリについて紹介します。尿漏れ、便秘でお困りの方はぜひ一度読んでみてください。そこに内科専門医と理学療法士による、骨盤底筋群に特化した治療で症状の改善を目指すクリニックがあります。

桜庭 雛子さん

著者
桜庭 雛子(Jメディカルおゆみの リハビリテーション科副主任)

プロフィールをもっと見る
理学療法士。2014年 国際医療福祉大学 理学療法学科卒業、2014年おゆみの整形外科クリニック、2022年Jメディカルおゆみの、2023年Jメディカルおゆみのリハビリテーション科副主任に就任。
松本 紘平さん

共著者
松本 紘平(Jメディカルおゆみの 副院長)

プロフィールをもっと見る
2005年北里大学医学部 卒業、2020年順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器内科 准教授。2021年おゆみの中央病院、消化器内科部長、2022年Jメディカルおゆみの副院長に就任。医師、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会認定消化器病専門医。

骨盤底筋リハビリとは 尿漏れ、便秘に効くのは本当?

骨盤底筋リハビリとは 尿漏れ、便秘に効くのは本当?

編集部編集部

骨盤底筋にはどのような役割があるのでしょうか?

桜庭 雛子さん桜庭さん

骨盤底筋群は、骨盤の底にあるハンモック状の筋肉層のことで、尿道・膣・肛門などを取り囲み、膀胱・子宮・直腸などの骨盤内臓器を保持することや、尿や便の排泄をコントロールするという大切な役割があります。骨盤底筋群のリハビリを行うことで、尿漏れや便秘の症状に効果があるといわれています。

骨盤底筋

編集部編集部

骨盤底筋リハビリを受けられる方はどのような方が多いですか?

桜庭 雛子さん桜庭さん

当院では女性を対象にしており、9割近くは50代~80代の方で、特に70代~80代の方が多くリハビリを受けています。30~40代の方では、産後の尿漏れを訴える方もいらっしゃいます。

なぜ骨盤底筋リハビリが必要なのか?

なぜ骨盤底筋リハビリが必要なのか?

編集部編集部

骨盤底筋が弱くなってしまう原因はなんでしょうか?

松本 紘平先生松本先生

妊娠や出産は、骨盤底筋群へ負荷がかかり、機能低下の原因の1つになります。出産時に会陰を損傷すると、後に排尿や排便の状態に影響を及ぼすことがあります。高齢になるにつれて筋力低下が進むことも多く、骨盤底筋群も例外ではありません。また、猫背のような姿勢は骨盤底筋群の働きが悪くなることに繋がります。

編集部編集部

尿漏れや便秘は、骨盤底筋の筋力が低下することで起こるのですか?

松本 紘平先生松本先生

そうですね。尿漏れの原因として、骨盤底筋群の筋力低下や膀胱の収縮調節機能低下などが挙げられます。例えば、骨盤底筋群の働きが低下した状態で咳をしたり笑ったり重い荷物を持ったりすると、膀胱を含む腹部に圧がかかりますが、骨盤底筋群による支えが負けてしまうと尿が漏れてしまいます。このような失禁を「腹圧性尿失禁」といい、女性の尿漏れの中でも多く見受けられます。便秘の原因は食事や腸内環境の問題だけでなく、骨盤底筋の柔軟性が低下し、直腸を締め付けてしまうことが要因になる場合があります。骨盤底筋群以外にも腹筋の筋力が低下することで、便を押し出す力が足りずに便秘となってしまうこともあります。

編集部編集部

尿漏れ・便秘の原因が、骨盤底筋が弱くなったことによるものなのか、病的な原因によるものなのかはわかるのですか?

松本 紘平先生松本先生

医師が診察し、必要に応じて腹部のCTや内視鏡などの検査を行います。検査結果で病的な尿漏れや内臓の病変が疑われた場合、専門診療科への受診をご案内しています。一方で、病的な原因がなく骨盤底筋の機能低下による尿漏れや便秘が疑われた場合は、医師と連携し、薬の調整も組み合わせて多角的な治療を行います。

骨盤底筋のリハビリによる効果は?

骨盤底筋のリハビリによる効果は?

編集部編集部

具体的にはどのようなリハビリをされるのですか?

桜庭 雛子さん桜庭さん

骨盤は腕や足の筋肉と違って、動かし方のイメージが難しいうえに、デリケートな部位なので、イラストや模型を使って説明します。当院のリハビリは女性スタッフが会陰部(膣と肛門の間にある部分で骨盤底筋群が集まる場所)を触った状態で骨盤底筋群の動きを確認したり、腹部超音波による評価を行ったりしながら、骨盤底筋群の状態を確認します。骨盤底筋群が正しく動いているかを患者さん自身に触ってもらうこともあります。骨盤底筋群以外にも姿勢やほかの関節の動きも評価しながら、患者さん個人の状態に合わせたリハビリを行っていきます。練習内容や負荷量を調整して、最終的にはご自身で良い状態が管理できるように、自宅での運動も提案しています。

編集部編集部

骨盤底筋リハビリはどれくらいで効果が現れますか?

桜庭 雛子さん桜庭さん

約1ヶ月間、週に1回のリハビリを行うと、尿漏れや頻尿の方は夜トイレに行く回数が減った、咳やくしゃみをしても尿漏れしなくなったと感じる方が多いですね。便秘の方も5日間排便がない状態からリハビリをした結果、2日に1回は便が出るようになった、すっきり排便できたなど、症状の改善が認められています。

編集部編集部

尿失禁や便秘で悩む人へアドバイスをお願いします。

桜庭 雛子さん桜庭さん

多くの方が「年齢的に仕方がない」「他人には言えない」と諦めてしまっています。しかし、リハビリをすることで長年の悩みが解決され、外出や旅行に行きやすくなったとお話される方が多くいらっしゃいます。今回のテーマはデリケートな悩みであり、1人で改善することが難しい場合が多いのです。悩んでいる方は、まず専門家に相談してみましょう。1ヶ月でもリハビリを試してみてはいかがでしょうか。

編集部まとめ

今回の記事で、女性に多く見られる骨盤底筋群の機能低下による尿漏れや便秘は、リハビリを行うことで改善できることが分かりました。早期に効果を実感することができるのは驚くべきことです。この記事が骨盤底筋群の機能低下による諸症状で悩まれている方々の背中を押すきっかけになれば幸いです。

この記事の監修理学療法士