生理が月に2回も来るのはどうして? 何かの病気?
監修医師:
池田 貴子(浜松町大門レディースクリニック)
放置していると、妊娠できなくなる恐れも
編集部
生理の回数が多い人は「病気」なのでしょうか?
池田先生
不妊症につながる可能性があります。頻繁に起こるようであれば、婦人科を受診してください。ただし、初経から間もない若い方や閉経間近の方の場合は、一概に病気ともいえません。診断の結果、一時的な月経の乱れと判明することもあります。
編集部
不妊症が関係してくるのですか?
池田先生
はい。まず疑うべきは、卵巣で卵子が作られないことによる「無排性月経」でしょう。卵巣の機能が不全であったり、内膜症によって卵巣が十分に生育していなかったりすると、不正出血を起こします。
編集部
卵巣の機能不全以外で考えられることは?
池田先生
甲状腺異常などで、ホルモンバランスが崩れていることです。卵巣機能不全や甲状腺異常は血液検査で、それぞれ判明します。また、双方を併発している方もいらっしゃいます。
編集部
改めて、月経の仕組みやサイクルについて教えてください
池田先生
月経は28日から35日前後の周期で繰り返し生じ、以下のような「4つの期」で構成されています。
月経期~1週目の低温期で、月経を伴います
卵胞期~2週目の低温期で、月経直後から排卵までを指します
排卵期~3週目の高温期で、排卵後の調整期です
黄体期~4週目の高温期で、月経前の不調を感じます
何度も続いていたら、受診が必要
編集部
受診の目安は、「頻発月経」が“繰り返し”起きていることでしょうか?
池田先生
「頻発月経」に限らず、いつもと異なる月経・出血が続いていたら、婦人科の受診をお勧めします。とくに妊娠を考えている方には、強くお願いしたいですね。
編集部
治療の内容について教えてください
池田先生
ホルモン剤の投与が効果的です。内膜症による卵巣機能不全に有効とされています。卵巣のう腫のようなその他の要因でも、その症状によっては、ホルモン剤を第一選択肢にしています。
編集部
受診先は、もちろん婦人科ですよね?
池田先生
婦人科をお勧めします。過去の例外としては、「痔」を発症していた方のケースでしょうか。月経と勘違いされていたようです。当院で診断のうえ、他院をご紹介しました。
その他の月経不順について
編集部
頻発月経のほか、月経の乱れにはどのようなものがありますか?
池田先生
3カ月以上月経の来ない「無月経」、月経の量が多い「過多月経」、逆に少ない「過小月経」などです。
編集部
複数の月経不順が併発することは?
池田先生
やはり、回数と量には関連性がありますよね。「たまにしか来ないけど量が多い」、あるいは、「頻繁に来るけど量が少ない」といった具合です。どちらか一方よりも、むしろ併発していることのほうが多いでしょう。
編集部
月経不順を放置しているとどうなるのでしょう?
池田先生
やはり、冒頭にもお話しした「不妊の恐れ」が問題ですね。可能性としては子宮頸がんも考えられますが、多くの場合、その前兆である「異形成」が現れます。これは、簡単に言うと「異常な細胞の塊」です。
編集部
「異形成」は、月経不順の人にだけ現れるのでしょうか?
池田先生
いえいえ、そうとは限りません。性交渉の多い方や50歳以上の方は、1年に1回の婦人科による定期健診をお勧めします。子宮の検査は特定健診などでおこなっていますが、超音波検査を実施していない場合もあるのです。検査項目に見当たらないようなら、婦人科で超音波検査をしてみましょう。もちろん保険の適用が可能です。
編集部まとめ
頻発月経が起きていたら、まず、卵巣の機能不全を疑うこと。そして、婦人科で適切な診断をしてもらうこと。池田先生は、定期健診を、「気付きの場として活用してほしい」と言います。日ごろ抱えていた不安や悩みが解消されたり、間違った認識が是正されたりすることもあるそうなので、積極的に受診してみましょう。
医院情報
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診療科目 | 婦人科、産科 |