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【漫画付き】夏じゃなくても熱中症になるってホント?

 更新日:2023/03/27
【漫画付き】夏じゃなくても熱中症になるってホント?
年々、ひどくなる酷暑。30度を超える日も増えて、熱中症対策が話題となることも増えてきました。ただ、夏じゃなくても熱中症になるというとイメージがわかない人も多いのでは? どんな時に熱中症になるのか、気を付けるべき人、その対策を知りましょう。また、いざという場合の症状緩和策まで、内科医・小林奈々先生にご指導いただきました。



一年中、熱中症のリスクがゼロになることはない

小林奈々先生

編集部夏じゃなくても熱中症になることがあるって本当ですか?
小林奈々先生小林先生はい、本当です。一年を通じて、熱中症のリスクがゼロになることはありません。近年は、秋でも暑い日が多くなったため、秋の運動会は注意が必要です。夏ではないからと油断しがちですが、まだまだ気温も高く、日差しも強いことが多いです。最近は、5月くらいから暑い日が多いですが、まだ身体が暑さになれていないため、注意が必要です。とくに急に熱くなった日は気を付けましょう。
編集部GWの頃から熱中症のリスクは高まっていくんですね。では、冬でも熱中症になることはありますか?
小林奈々先生小林先生暖房がきいている場所にも関わらず、冬だからといって厚着をしているケースです。
夏場ほど喉が渇かないこともあり、気づくと熱中症ということがあります。
それ以外にも、下痢やインフルエンザなどで、もともと身体が脱水症状ぎみのときは、熱中症になることもあり得ますので注意が必要です。
編集部こたつで熱中症になることがあると聞いたことがあります。
小林奈々先生小林先生こたつによって体温が上がりすぎた状態で、水分不足と電解質の摂取不足が重なれば、ありえるかもしれません。それほど多いケースとは思いませんが、ご高齢の方の場合は、自覚症状に乏しいことがあるので、気をつけた方がいいです。

小林奈々先生

編集部そもそも熱中症とは医学的にはどう定義されているんですか?
小林奈々先生小林先生暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称です。簡単に言うと、体温が上がりすぎてしまい、体内にある塩分や水分などバランスが崩れて、めまいけいれん頭痛などの体調不良が起きている状態です。
大きく分けて3つの原因があります。
編集部3つを教えてください
小林奈々先生小林先生1つ目は、環境因子です。
暑い日差しが強いエアコンがない風がない、などですね。
編集部体温があがりやすい環境かどうかですね
小林奈々先生小林先生2つ目は、行動因子です。
激しい運動不慣れな運動長時間の屋外作業水分補給ができない状況などです。
編集部その方がどのような行動をしているかもポイントですね
小林奈々先生小林先生3つ目は、体調因子です。
同じ方でも、熱中症を起こす時と、起こさない時があります。
リスクが高くなるのは、低栄養下痢インフルエンザ二日酔い脱水症状などです。

「熱中症にならない人」はいない

編集部熱中症になりやすい人はいますか?
小林奈々先生小林先生リスク要因となるのは、高齢乳児肥満糖尿病精神疾患などです。ただ、どんな方でも熱中症になり得ます。若い人でも、炎天下でバーベキューをして、水分補給をせず、お酒しか飲んでいないケースなど、熱中症になりやすくなります。
自分は大丈夫だろうと思い込みすぎないでください。
編集部実際に、クリニックにも熱中症患者さんが受診されることもありますか?
小林奈々先生小林先生熱中症についての報道も増えたため、自分も熱中症ではないかと思い、受診される患者さんが増えています。とくに夏場は多いですし、秋もそれなりの人数の来院があります。
例えば、部活中に具合が悪くなった学生さんや外で作業していた方などが来院されます。風邪だと思っていらした方が、きちんとお話を聞いてみたら熱中症だったというケースもあります。
編集部どのようなケースでしたか?
小林奈々先生小林先生30代の会社員の方で、エアコンがない密室で作業をされていたそうです。室温はそれほど高くなかったそうですが、むしむしした湿度の高い部屋だったため、熱がこもり、急な体調不良に襲われたとのことでした。状況から鑑みて、熱中症と診断をしました。
編集部病院ではどんな治療を行うんですか?
小林奈々先生小林先生血液に直接水分や電解質を届けられる点滴が効果的です。ただ、点滴1本でいれられるのは500ml~1000mlですから、足りなくなった水分をそれだけで取り返せるとは限りません。
そのあとも、ご自身で少しずつ、しっかりと水分を摂りつづけることが大切です。

小林奈々先生

編集部熱中症が回復するまでには、どのくらいの期間がかかりますか?
小林奈々先生小林先生水分補給をして安静にすれば、1~2時間である程度は落ち着くはずです。ただ、身体のだるさが完全にとれるまでには、1週間くらいかかったという方もいらっしゃいます。乳児や高齢者の方など、死に至るケースもありますので、あなどってはいけません。
編集部熱中症になったらどうしたらいいのでしょうか? 受診が不要な軽度な場合や、受診をする前に行える応急処置があれば教えてください
小林奈々先生小林先生まずは水分補給をして、体温を下げるようにしましょう。脇の下や首筋、足の付け根の鼠径部を、保冷剤などで冷やすのもいいですね。横になって安静になるのも大切です。仰ぐのが無意味とは言いませんが、それだけでは足りません。

水分は、ナトリウムが含まれているスポーツドリンクや経口補水液などがお勧めです。これらの水分の摂取は予防のためにも効果的ですよ。

小林奈々先生

編集部そのほかの熱中症予防策を教えてください
小林奈々先生小林先生繰り返しになりますが、まずは、こまめな水分と塩分の補給を心掛けてください。これが一番大切です。基本的には日差しが強くなると体へのダメージが大きいので、日差しが強い時は日陰にはいるように心がけ、体調が悪い時は室内で過ごしてください。

日本の夏の厳しさが増しており、外気が、体温以上になることが起きています。上がった体温や熱がなかなか放出できず、体内に熱がこもりやすくなるので、お子さんや高齢者にとってはとても危険です。

編集部やはり、高齢者と子供はリスクが高いのですね。高齢者の方の場合、特に気を付けるべきことはありますか?
小林奈々先生小林先生高齢者の方は、体温調整機能が落ち、喉の渇きについても鈍感になります。また、体内の水分保有量自体も、成人を100%と仮定すると、高齢者は80%程度まで下がってしまいます。夜中にトイレに行くのが嫌だからといって水分を控える方がいますが、良くありません。
編集部1日にどのくらいの水分量が目安になりますか?
小林奈々先生小林先生持病などで水分制限がない方は、食事の時に飲む水分は除いて、1日1リットルくらいは飲んでほしいですね。
編集部子供が気を付けるべきことも教えてください
小林奈々先生小林先生子供はもともと体温が高く、発汗機能も未完成です。また、背が低いため、アスファルトからの放射熱の影響を受けやすいです。体感温度が5~10度ほど高いこともありますので、気を付けてあげてください。

編集部まとめ

熱中症は夏だけのものではなく、梅雨のころから秋、冬も対策が必要なことが分かりましたね。
屋外だけでなく、室内でも起きるというのもポイントです。特に、高齢者や乳児と出かけるときには、配慮が必要! これからは、暑さや湿度などの環境因子だけでなく、どこでどのようなことをしているかの行動因子や体調因子も含めて、リスク度をチェックしてください。
季節にかかわらず、いつでも、水分と塩分の補給を心掛けましょう。

この記事の監修医師