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HIVの検査キットってどこで入手できる?信頼できる?選び方やメリット・デメリット

 公開日:2024/01/19
HIVの検査キットってどこで入手できる?信頼できる?選び方やメリット・デメリット

「HIV」と言う言葉は、テレビの特集や雑誌などで目にする機会がありますが、「どのような病気なのか」と問われると正しく答えられる方はほとんどいないかと思います。本記事では、HIVの内容をはじめ、検査機関、検査キットの購入方法などを詳しく解説します。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

HIVとは

HIVとは

HIVに関して、「どうしたらHIVの感染を防げるのか」「HIVに感染するとどのような症状が現れるのか」「現在の感染者数はどれくらいなのか」など、気になることは多くあるかと思います。ここでは、HIVの概要や感染経路、初期症状、感染者数を紹介します。

HIVとは

HIVとは、Human Immunodeficiency Virusの略称で、日本語でヒト免疫不全ウイルスと言います。体内にヒト免疫不全ウイルスが侵入すると、免疫細胞に感染し、細胞を破壊します。免疫細胞が喪失することで、抵抗力が低下し、感染症や悪性腫瘍などの発症リスクが高まります。この病気が原因で命を落とす方は多くいます。2015年の国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告によれば、世界のHIV感染者数は約3700万人と推定されています。

HIVの感染源

HIVの主な感染経路は「性行為による接触」「注射や献血」「母子感染」の三つです。性行為による接触においては、感染源である精液や膣分泌液、血液が体内に侵入することで、HIVを発症してしまうリスクが高まります。また、注射器具の共有も感染経路として挙げられます。献血をする血液は念入りにチェックされていますが、現在の技術水準では輸血用血液からの感染を完全に排除することは難しく、まれにHIVを発症する可能性があります。ただし、献血由来の血液凝固因子製剤は加熱処理が行われており、現在の血液凝固因子製剤での感染リスクはありません。また、母親がHIVに感染している場合は、妊娠時や出産時、授乳などに子どもに感染するリスクがあります。しかし、日本ではHIVの感染を防ぐ薬の服用や、母乳を与えないなどの対策が行われているため、感染によるリスクは少なくなっています。

HIVに感染した際の初期症状

感染後、2~4週間にかけて、HIVの数が急激に増殖し、CD4陽性リンパ球が破壊されます。そうすると、発熱をはじめ、のどの痛み、筋肉痛、体のだるさ、頭痛など、風邪やインフルエンザに似た症状が現れます。これらの症状は数日から数週間で自然に消失し、その後は無症状期に進展します。なお、人によっては症状が現れないこともあります。

日本のHIVの患者数

2021年のHIV感染統計によれば、742人の感染者がいる状況です。その内訳は、日本国籍者が624人(男性614人、女性10人)、外国国籍者が118人(男性98人、女性20人)でした。前年から減少傾向であった日本国籍男性のHIV感染者報告数が、8年ぶりに増加しています。

HIV検査について

HIV検査について

次に「検査を受けるタイミング」「検査はどこで受けるべきか」について説明します。

HIVの検査を受けるタイミング

HIVに感染するリスクは、人それぞれ異なります。そのため、例えば性風俗店で働いている方は、定期的に検査を受けることが大切です。また、パートナーからHIVの感染を告げられた場合も、早めに検査を受けてください。初めての検査で、「陰性」と判定が出ても、感染してから1カ月以内の場合は陽性になる可能性があります。感染の有無がはっきりと確認できるのは、感染してから3カ月以上たってからになりますので、再び検査を受ける必要があります。

HIV検査を受けられる場所

HIV検査は保健所や自治体の特設検査施設で受けられます。保健所の検査は無料で受けられ、名前や住所を伝える必要がありません。また、お住まいの居住地以外でも検査が可能です。検査時や結果説明時に質問をすることもでき、感染している場合は医療機関を紹介してくれます。自治体が設置している特設検査施設は、保健所の対応とほとんど同じで、「HIV検査・相談マップ」のホームページで会場を探すことができます。このホームページには、即日検査・夜間検査・LGBT向けの検査などのイベント情報が掲載されています。また、民間の会社が行っているプレ検査でもHIVの有無を調べることができます。インターネットから申し込みをすることで、検査キットが自宅に郵送されます。自宅で検査できるため、検査を受けたということや検査結果を他人に知られる心配はありません。ただし、会社によって検査精度が異なるため、注意する必要があります。また、医療機関でも検査を受けることができますが、自由診療の対象となり、費用を負担しなければなりません。

保健所や医院でのHIV検査の流れ

まず、ホームページで検査日時を確認します。予約不要な検査場もあり、匿名でも受けられます。検査当日は、検査内容や検査の流れを聞いてから、検査をすることに同意をし、約5mLの血液採取という流れになります。検査結果については、地域によって異なりますが、1~2週間ほどで電話・郵送・検査場で確認することができます。陽性の場合は、専門の医療機関を紹介してくれます。なお、初めて検査を受けられる方で陰性であった場合は、3カ月後にもう一度検査を受ける必要があります。なぜなら、一度陰性と出ても、陽性反応に変わる可能性があるからです。

保健所や医院でのHIV検査の費用

HIVの検査費用は、保健所と医院で異なります。前述したように保健所は無料で検査が受けられますが、医療機関の場合は自由診療の検査になるため費用が発生します。医療機関によって異なりますが、5000円から10000円を支払わなければなりません。

HIV検査キットについて

HIV検査キットは、インターネットから購入することができます。費用は、約5000円です。自身で血液を採取し、指定の宛先に郵送します。検査結果は、1週間から2週間で確認できます。検査キットの種類にもよりますが、HIV以外にも梅毒・性器クラジミア・咽頭クラジミア・性器淋病・咽頭淋病・皮膚カンジダ・性器カンジダ・HPV・B型肝炎・C型肝炎・性器マイコプラズマ・咽頭マイコプラズマ・性器ウレアプラズマ・咽頭ウレアプラズマ・トリコモナスなどの性感染症を調べることが可能です。

HIV検査キットの入手方法

HIV検査キットの入手方法

ここでは、検査キットの購入方法や注意点などについてお伝えします。

ドラッグストアなどで購入できるのか

「ドラッグストアでHIV検査キットを購入することができるのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、ドラッグストアでは性感染症の検査キットの販売が認められてないため、購入することができません。アメリカなどは、販売の認可が下りているので、ドラッグストアでも検査キットを買うことができます。もし、インターネットで検査キットを購入する場合は、自己責任になります。よく検討してから、検査キットを購入しましょう。

HIV 検査キットのメリット・デメリット

HIV 検査キットのメリット・デメリット

検査キットを使用するメリットやデメリットを詳しく説明します。

検査キットのメリット

仕事が忙しく時間のない方もご自宅で検査を受けることができるのが、一番のメリットと言えるでしょう。また、人に会わずに検査が受けられますので、プライバシーも守られます。

検査キットのデメリット

保健所や自治体の特設検査施設は無料で検査ができるのに対し、検査キットは購入費用がかかります。また、キットの種類によって検査精度が異なりますので、注意する必要があります。さらに、検査結果のみの通知となるため、検査や検査結果に疑問があっても説明を聞くことができません。そして、検査キットでわかるのは、スクリーニング検査までです。再び保健所などの施設で検査を受ける必要があります。

HIV検査キットの選び方

HIV検査キットの選び方

検査キットを購入する上でのポイントである「検査機関の信頼性」「プライバシーへの配慮」「相談窓口や医療機関との連携」について解説します。

検査機関の信頼性の確認

検査機関の信頼性を確認するためには、「スタッフの資格と経験」「精度管理調査への参加」「機器の確認」の三つがポイントです。臨床検査技師などの資格をもつスタッフがいることで、検査体制がしっかりとしていることがわかります。また、精度管理調査への参加は、外部からの評価を得られているので、信頼性を示す一つの指標となっています。最後に、ホームページにHIV検査キットに関する情報が詳細に掲載されているかも信頼性を確認する判断材料となります。これらのポイントを抑えることで、選択した検査機関が信頼性のあるサービスを提供しているかを判断することができます

プライバシーへの配慮

HIVの検査はできる限り人に知られたくない方がほとんどだと思いますので、プライバシーに配慮しているかも検査キットを購入する際に確認する必要があります。家族やパートナーなどの同居人がいる場合は、検査機関名や内容がわからないように梱包がされているか、受取場所を自宅以外で指定できるかなどがポイントとなります。Pマーク(プライバシーマーク)の取得も検査機関であれば、個人情報や検査結果の取り扱いにおいて信頼性が高いと言えるでしょう。

相談窓口や医療機関との連携などがあるか

検査機関によって、連携体制は異なります。連携体制が整っている検査機関であれば、郵送検査の趣旨や概要について理解している医療機関で診療を受けることができます。陽性結果が出た後に、再検査することなく診察・治療がはじまるため、検査時間や検査費用が無駄に発生することはありません。連携体制がない場合であっても、電話での直接相談できる場合がありますので、ホームページを詳しく確認しましょう。

HIVにかかってしまった場合

HIVにかかってしまった場合

HIVにかかってしまった場合は焦らずに対処することが大切です。ここでは、陽性が出た場合の流れや、その後の治療方法について説明します。

検査で陽性と出た場合

保健所や自治体の特設検査施設で紹介してくれた医療機関を速やかに受診する必要があります。治療を早期に開始することで、HIVの進行を遅らせることができます。なお、スクリーニング検査で、陽性と結果を受けた方は、疑陽性の可能性もあるため、一人で判断せず検査を再び受けるようにしてください。

HIVの治療方法

HIVの薬には、核酸系逆転写酵素阻害剤・非核酸系逆転写酵素阻害剤・プロテアーゼ阻害剤・インテグラーゼ阻害剤・侵入阻害薬などの種類があります。3~4種類の薬を組み合わせて服用しますが、一錠のなかにこれらの成分が含まれているものもあり、一錠の内服のみで済ませることもできます。治療開始後は、ウイルスに薬の耐性ができてしまうため、自己判断で薬の服用を中断してはなりません。また、内服以外に筋肉注射による治療方法もあり、1~2カ月に一回打つこともできます。ただし、ウイルスが抑制されている状態でないと、治療を行うことはできません。

まとめ

まとめ

最後まで記事をご覧いただきありがとうございます。HIVの検査が医療機関だけかと思われていた方は、保健所や自治体の特設検査施設、民間の検査機関でも受けられることに驚いたことでしょう。本記事を読んで、検査を受けられる方が一人でも増えることを願っています。

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