硝子体手術は高齢でも受けられる?治療が必要なケースや合併症のリスクも解説
公開日:2025/08/22

眼の病気を治すために硝子体手術を検討しているけれど、高齢の場合に身体への負担などが問題ないのかと心配な方もいるのではないでしょうか。
この記事は、ご高齢の方が硝子体手術を受ける場合のリスクをはじめ、硝子体手術について気になるポイントについて解説していきます。

監修医師:
栗原 大智(医師)
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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。
目次 -INDEX-
硝子体手術について
硝子体手術とはどのような手術ですか?
硝子体手術とは、眼球内の大半を占める、透明なゼリー状の組織である硝子体部分に器具を差し込み、硝子体の切除や網膜の治療を行う眼球内の手術です。眼科の治療のなかでも特に難易度が高く、専門的な設備が整った施設で行われます。
硝子体手術はどのような疾患に対する治療方法ですか?
硝子体手術は、眼に入ってきた光を映像として脳に伝える役割を持つ網膜がはがれてしまい、視野欠損や失明を引き起こす網膜剥離や、網膜の表面に膜が張り付いて視界の歪みなどを引き起こす網膜前膜などの疾患に対して行われます。
網膜の治療にはほかにもレーザーによる治療や、眼球内に薬剤を注射する硝子体注射がありますが、重症化した眼の疾患を完治させるためには、硝子体手術が唯一の選択となることも多々あります。
また、網膜の血管が詰まるなどして硝子体内に出血したり、ぶどう膜炎などの炎症で硝子体に濁りが生じる病気の場合も、硝子体手術で硝子体を除去する治療が行われます。
網膜の治療にはほかにもレーザーによる治療や、眼球内に薬剤を注射する硝子体注射がありますが、重症化した眼の疾患を完治させるためには、硝子体手術が唯一の選択となることも多々あります。
また、網膜の血管が詰まるなどして硝子体内に出血したり、ぶどう膜炎などの炎症で硝子体に濁りが生じる病気の場合も、硝子体手術で硝子体を除去する治療が行われます。
硝子体手術には保険が適用されますか?
硝子体手術は、保険適用で受けることができる治療です。
硝子体切除術の保険点数が15,560点なので、全額を自費で負担する場合は155,600円かかり、3割負担の場合であれば45,000円程度となります。これに網膜再建術や増殖性硝子体網膜症手術など、疾患に応じた手術が追加で行われるほか、手術前の検査なども必要です。
また、場合によっては入院などが必要になるため、3割負担の方であれば片目の治療で10万円以上の費用がかかると考えてよいでしょう。 なお、硝子体手術は保険適用の診療であるため、高額療養費制度も利用可能です。
高額療養費制度は月の医療費が一定の金額を超えた場合に、支払った医療費の一部について払い戻しを受けることができる制度で、対象となる金額は前年の収入などによって異なります。
硝子体手術は高額な治療になりやすいため、診療を受ける際には高額療養費制度なども有効活用するとよいでしょう。
硝子体切除術の保険点数が15,560点なので、全額を自費で負担する場合は155,600円かかり、3割負担の場合であれば45,000円程度となります。これに網膜再建術や増殖性硝子体網膜症手術など、疾患に応じた手術が追加で行われるほか、手術前の検査なども必要です。
また、場合によっては入院などが必要になるため、3割負担の方であれば片目の治療で10万円以上の費用がかかると考えてよいでしょう。 なお、硝子体手術は保険適用の診療であるため、高額療養費制度も利用可能です。
高額療養費制度は月の医療費が一定の金額を超えた場合に、支払った医療費の一部について払い戻しを受けることができる制度で、対象となる金額は前年の収入などによって異なります。
硝子体手術は高額な治療になりやすいため、診療を受ける際には高額療養費制度なども有効活用するとよいでしょう。
硝子体手術の流れを教えてください
硝子体手術は、基本的に局所麻酔で行います。
点眼麻酔で眼の表面に麻酔を効かせてから、ベッドに仰向きになり、清潔なカバーをかけてから、まぶたが閉じないように器具を使用して目を開いた状態で固定します。
その状態で目の奥まで麻酔薬を注入し、眼球の表面だけではなく全体にしっかりと麻酔をかけ、痛みを抑えます。
麻酔をしっかりと効かせて痛みがないことを確認したら、まずは白目部分に1㎜以下の小さい穴をあけて専用の器具を眼内に挿入し、硝子体を慎重に剥がして吸引、除去していきます。
硝子体を切除する際には、透明な硝子体を可視化するための薬剤や、除去した硝子体の分を補うための潅流液などが注入されます。
硝子体を除去したら、症状に応じて網膜に必要な処置を行い、手術終了です。
疾患や眼内の状況によっては、ガスやシリコンオイルを最後に眼内へ入れて終了にする場合もあります。ガスの場合は1~2週間ほどで水に置き換わりますが、シリコンオイルの場合は再手術で除去を行う必要があります。
点眼麻酔で眼の表面に麻酔を効かせてから、ベッドに仰向きになり、清潔なカバーをかけてから、まぶたが閉じないように器具を使用して目を開いた状態で固定します。
その状態で目の奥まで麻酔薬を注入し、眼球の表面だけではなく全体にしっかりと麻酔をかけ、痛みを抑えます。
麻酔をしっかりと効かせて痛みがないことを確認したら、まずは白目部分に1㎜以下の小さい穴をあけて専用の器具を眼内に挿入し、硝子体を慎重に剥がして吸引、除去していきます。
硝子体を切除する際には、透明な硝子体を可視化するための薬剤や、除去した硝子体の分を補うための潅流液などが注入されます。
硝子体を除去したら、症状に応じて網膜に必要な処置を行い、手術終了です。
疾患や眼内の状況によっては、ガスやシリコンオイルを最後に眼内へ入れて終了にする場合もあります。ガスの場合は1~2週間ほどで水に置き換わりますが、シリコンオイルの場合は再手術で除去を行う必要があります。
高齢者の硝子体手術について
硝子体手術は高齢者でも受けることができますか?
硝子体手術は、ご高齢の方でも問題なく受けることが可能な手術です。そもそも硝子体手術が必要となる眼科疾患は、高齢の方に生じやすいものが多く、ご高齢の方が手術を受けるケースが多いといえます。
基本的に局所麻酔で行われるため、全身麻酔による手術のように身体に大きな負担がかかることもありません。また、医療機関によっては日帰りでの硝子体手術に対応している場合もありますので、入院による負担が心配という方は日帰り手術を行うクリニックで相談してみるとよいでしょう。
基本的に局所麻酔で行われるため、全身麻酔による手術のように身体に大きな負担がかかることもありません。また、医療機関によっては日帰りでの硝子体手術に対応している場合もありますので、入院による負担が心配という方は日帰り手術を行うクリニックで相談してみるとよいでしょう。
高齢で硝子体手術を受けるリスクを教えてください
硝子体手術は、感染症や、硝子体を除去する際に網膜が引っ張られて網膜剥離を起こしてしまうリスク、そして角膜障害や緑内障を引き起こすリスクなど、さまざまな合併症のリスクがある手術です。安全性に十分配慮して手術が行われていても、体質などによっては問題が生じてしまう可能性があるため、高齢の方や若い方を問わず、こうしたリスクもしっかりと認識したうえで、主治医とよく相談して手術を受けるか決めましょう。
また、高齢者特有のリスクとしては、白内障の進行や、入院生活による足の衰えおよび認知症の進行リスクなどがあります。
白内障は50歳以降に生じやすい目の病気で、細胞の老化などによって水晶体が濁ることで、視力低下を引き起こすものです。硝子体手術は眼球組織に負担をかけてしまうため、50代以降、特に高齢の方は白内障が進行してしまうリスクにつながります。
また、硝子体手術は入院が必要になる場合もあるため、ご高齢の方は入院生活によって行動が制限されることで、足腰の衰えや認知症が進行するといったリスクが考えられます。
白内障は50歳以降に生じやすい目の病気で、細胞の老化などによって水晶体が濁ることで、視力低下を引き起こすものです。硝子体手術は眼球組織に負担をかけてしまうため、50代以降、特に高齢の方は白内障が進行してしまうリスクにつながります。
また、硝子体手術は入院が必要になる場合もあるため、ご高齢の方は入院生活によって行動が制限されることで、足腰の衰えや認知症が進行するといったリスクが考えられます。
高齢による白内障も同時に治療できますか?
白内障は、水晶体と呼ばれる眼のピント調節を担う組織が濁ってしまう病気で、治療のためには水晶体を砕いて除去し、代わりに人工の眼内レンズを挿入するという手術が必要となります。
硝子体手術と白内障手術は同時に行うことが可能であり、50歳以降、特にご高齢の方が硝子体手術を行う場合、同時の治療が推奨される場合があります。
その理由として、上述のように硝子体手術は白内障の進行を早めてしまう可能性があるためで、同時に手術を受けることで通院や手術の回数を少なく済ませることができます。
硝子体手術と白内障手術は同時に行うことが可能であり、50歳以降、特にご高齢の方が硝子体手術を行う場合、同時の治療が推奨される場合があります。
その理由として、上述のように硝子体手術は白内障の進行を早めてしまう可能性があるためで、同時に手術を受けることで通院や手術の回数を少なく済ませることができます。
硝子体手術のリスクや副作用
硝子体手術に痛みはありますか?
硝子体手術はしっかりと麻酔を効かせて行われるため、基本的に痛みはありません。万が一麻酔の効果が不十分で痛みなどを感じる場合は、医師に伝えれば麻酔を追加するなどの対応を受けることができます。
ただし、手術の途中に網膜のトラブルがないかなどを確認するために白目を押したりする場合があり、この際には多少の圧迫感や痛みを感じることもあります。
どうしても痛みや手術中の恐怖感が強いという方は、全身麻酔による手術を行っている医療機関もありますので、そういったクリニックで相談してみるとよいでしょう。
ただし、手術の途中に網膜のトラブルがないかなどを確認するために白目を押したりする場合があり、この際には多少の圧迫感や痛みを感じることもあります。
どうしても痛みや手術中の恐怖感が強いという方は、全身麻酔による手術を行っている医療機関もありますので、そういったクリニックで相談してみるとよいでしょう。
硝子体手術による合併症のリスクはありますか?
硝子体手術は広く安全性に配慮した方法で行われている手術ですが、治療を行う疾患の進行状況や体質、手術後のケア方法などによっては合併症のリスクがあります。
合併症のリスクを減らすためには、硝子体手術の経験が豊富な医師の診療を受けることや、安全性の高い手術を行うための設備が揃っている眼科医院を選択すること、そして医師の指示をしっかりと守って、述語のケアに取り組むことが大切です。
合併症のリスクを減らすためには、硝子体手術の経験が豊富な医師の診療を受けることや、安全性の高い手術を行うための設備が揃っている眼科医院を選択すること、そして医師の指示をしっかりと守って、述語のケアに取り組むことが大切です。
硝子体手術で失明することはありますか?
硝子体手術そのものによって失明につながる可能性は少ないといえます。ただし、手術による切開部位から侵入した細菌による眼内炎や、網膜と強く癒着した硝子体を除去する際に生じてしまう網膜剥離など、場合によっては失明につながる合併症を引き起こす可能性もあります。
硝子体手術は眼科診療のなかでも特に難易度が高いため、医師選びや医療機関選びをしっかりと行うようにしましょう。
硝子体手術は眼科診療のなかでも特に難易度が高いため、医師選びや医療機関選びをしっかりと行うようにしましょう。
編集部まとめ
硝子体手術はご高齢の方に多い眼科疾患の治療などのために行われる手術で、身体への負担は小さいため、ご高齢の方でも問題なく受けることができる場合が多いといえます。
ただし、若い方やご高齢の方を問わず、体質や疾患の進行状況、術後の過ごし方などによっては合併症を引き起こすリスクがあり、場合によっては失明につながる可能性もあります。
硝子体手術を受ける場合は、信頼できる歯科医師のもとで手術を受けるようにして、術後の過ごし方もしっかりと医師の指示を守るようにしましょう。




