梅毒のしこりとは?梅毒の時期別症状について解説
梅毒の時期別症状を知っていますか?
本記事では、梅毒の時期別症状について、下記内容を中心に徹底解説していきます。
梅毒の時期別症状について理解するためにも参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
阿部 一也(医師)
そもそも梅毒とは
梅毒とは、梅毒菌という細菌によって引き起こされる性感染症の一種です。
梅毒菌は、主に性行為によって感染しますが、咽頭や直直腸などの粘粘膜にも存在するため、他の感染経路からも感染する可能性があります。
梅毒の症状は、しこりや風邪症状、湿疹などですが、自覚症状がない場合も多く、気づかないうちに重篤な合併症を引き起こすこともあります。
梅毒は治療が難しい性感染症であり、放置すると心臓や脳などの臓器に障害を及ぼすこともあるため、定期的に検査を受けることが大切です。
梅毒の時期別症状
梅毒の時期別症状について解説します。
第1期梅毒
第1期梅毒では、性器や肛門、口唇などの感染部位に硬いしこりができる初期硬結があらわれます。
初期硬結には、痛みや痒みといった症状は伴いませんが、重複感染があった場合には、症状があらわれる場合もあります。
その後、初期硬結部位を中心に潰瘍が生じ、このようにしてできた潰瘍のことを硬性下疳といいます。
また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れることがあります。
第1期梅毒の治癒率は約90%であり、早期の発見・治療が重要です。
治療法は主にペニシリン系の抗生物質であり、通常2〜4週間程度服用し、治癒後も定期的な検査を受ける必要があります。
治療することで感染は完全に消滅しますが、治療しない場合や放置した場合は、第2期や第3期に進行し、重篤な合併併症を引き起こす可能性があります。
そのため、第1期梅毒の初期症状に気づいたら、早めに医師に相談しましょう。
第2期梅毒
第2期梅毒に進行した場合、症状が手のひらや足の裏を含めた全身にあらわれます。
発熱や倦怠感、頭頭痛、リンパ腺の腫れ、のどの痛みや筋肉痛といった症状をはじめ、梅毒性バラ疹、梅毒性脱毛、扁平コンジローマ、梅毒性粘膜疹などが見られることもあります。
第1期梅毒と同じく、時間の経過とともに消失しますが、症状が消えても梅毒そのものが治ったわけではないため、治療が必要となります。
また、感染した部位(陰茎、外陰部、腟など)に痛みのない下疳と呼ばれる潰瘍ができます。
下疳は通常3〜12週間で治りますが、早ければ1週間ほどであらわれ、遅ければ13週間後に生じることもあります。
下疳以外にも、発熱、掌や足底に出現する皮疹、リンパ節腫大、粘膜病変(潰瘍、扁平コンジローマ)、脱毛、肝炎や腎炎など多様な症状がでることがあります。
発疹は通常、感染後6〜12週間であらわれますが、この時点でもまだ感染者の約4分の1に下疳がみられます。
第3期梅毒
第3期期梅毒は、感染から3年以上経過した時期に発症する重篤な段階です。
この段階では、細菌が全身や深部の臓器に侵入し、さまざまな症状を引き起こします。
梅毒は現在ではほとんど見られませんが、過去には多くの人々が命を落としたことがあります。
梅毒は、脳や内耳、眼などの神経系に感染することで、頭頭痛や聴覚障害、平衡感覚障害、視覚障害などを引き起こします。
重度の場合は、麻痺や失語語症などの神経学的な障害を起こすこともあります。
また、大動脈や心臓などの血管系に感染することで、高血圧や心不全、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こします。
重度の場合は、死亡する可能性もあります。
第4期梅毒
第4期期梅毒とは、梅毒に感染してから10年以上経過したときに発症する最も重篤な段階です。
この段階では、心臓や血管、脳や神経などの臓器に損傷が進行し、死に至る可能性が高くなります。
第4期梅毒の主な症状は、以下の通りです。
・心血管系梅毒:心臓に血液を送る冠動動脈が狭くなる、心臓弁が壊れる、大動動脈瘤ができるなどの症状があらわれます。
これらは心不全や心筋梗塞などを引き起こし、命に関わることがあります。
・神経系梅毒:脳や脊髄の神経細胞が壊死したり、腫瘍化したりします。
これらは頭痛や発熱、意識障害や錯乱などを引き起こし、神経障害や麻痺などを引き起こします。
・血管系梅毒:皮膚や粘膜に赤い斑点や水ぶくれができたり、皮下出血や深部出血が起こったりします。これらは感染部位の周囲の組織を侵食し、壊死させます。
梅毒の感染について
梅毒の感染について解説します。
梅毒になる原因
この細菌は、主に性行為やオーラルセックス、キスなどで、生殖器、口、肛門から侵入し、血液を通じて全身に広がります。
梅毒トレポネーマは温度や湿度の変化に弱く、皮膚や粘膜から離れると数時間で感染性を失い、死滅していきます。
梅毒になる確率は、コンドームを使用しない1度の性行為で、20〜40%ほど感染確率があるといわれています。
梅毒の原因は、性行為だけでなく母子感染にもあります。
妊娠中に梅毒にかかったまま出産すると、胎盤を通して子供に感染する場合があります。
それが原因で流産や死産となる場合もあります。
梅毒は、25〜29歳の男性に多く、主な原因が性行為とされています。
また、女性で多いのは20代で、コンドームを装着せずにオーラルセックスすることによって、咽頭の粘膜や小さな傷から病原体が侵入し、感染につながることが多いようです。
梅毒の感染ルート
梅毒トレポネーマは、皮膚や粘膜の小さな傷から体内に侵入し、血液や神経系を通じて全身に広がります。
梅毒の主な感染経路は、以下の2つです。
・性行行為:セックスやオーラルセックス、アナルセックスなどで、相手の精液や腟分泌液、血液、病変部などに触れることで感染します。梅毒トレポネーマは弱い菌であるため、直接接触しなくても感染する可能性があります。
・先天梅毒:妊娠中に感染した母親から子供に感染することがあります。
胎盤を通して子供の体内に侵入し、出産後も感染を続けることがあります。
先天梅毒は現代ではほとんど見られませんが、過去に多くの子供が発症しています。
梅毒は、早期の発見・治療が重要であり、放置すると重篤な合併併症を引き起こす可能性があります。
もし自分やパートナーに梅毒の疑いがある場合は、医師に相談してください。
梅毒の検査方法
血液検査では、梅毒トレポネーマに対する抗体の量を測定します。
抗体とは、免疫系が細菌を攻撃するために作り出す物質です。
血液検査には、非トレポネーマ抗原(STS法)とトレポネーマ抗原(TP法)の2種類があります。
STS法は、梅毒トレポネーマそのものを見ているわけではなく、感染した組織から分泌された自己抗体と反応するものです。
TP法は、梅毒トレポネーマに対する抗体の量を測定するものです。
細菌学的検査では、皮膚や粘膜などから分泌液を採取して顕微鏡で観察します。
分泌液からは、細菌が存在することが確認できます。
細菌学的検査には、培地培養法や顕微鏡法などがあります。
また、自分自身で検査する梅毒の検査キットもあり、以下のようなメリットがあります。
・匿名で検査が可能:プライバシーを重視したい方にとって、自宅にいながら匿名で検査ができます。
・通院の手間がかからない:病院に行く時間がない方でも、自宅で検査が可能です。
・検査精度は医療機関と同等:登録衛生検査所で検査するため、検査精度は医療機関と同等です。
・Web上で結果の確認が可能:検査結果は、最短で2日ほどでWeb上で確認できます。
これらのメリットにより、梅毒の検査キットは自宅で手軽に検査したい方にとって有用な選択肢となります。
梅毒の治療について
梅毒の治療には、ペニシリン系などの抗菌薬が有効であるとされており、他には内服治療や点滴治療などもあります。
内服治療は、期間等病期などを考慮して医師が判断します。
医師の許可を得るまでは、症状が良くなっても自己判断で内服を中断しないようにしましょう。
点滴治療は、神経梅毒などの場合に実施され、抗菌菌薬の効果を高めるとされています。
梅毒の治療期間は3ヶ月〜半年程度とされていますが、梅毒が完治しても新たな感染を予防できるわけではありません。
そのため、適切にコンドームを使用し、パートナーも治療を受けることが重要です。
皮膚や粘膜に異常がある場合は、性的な接触を控えて医師に相談しましょう。
妊娠している人や授乳中の人も、検査を受けることが望ましいとされています。
梅毒を予防するには
梅毒は、無防備なセックスを通して伝染するため、予防するには、不特定多数の人と性行為をしないことが重要です。
またセックスの際は、コンドームを適切に使用しましょう。
梅毒の症状があらわれた際には、パートナーと一緒に検査し、治療することです。
梅毒は、早期の適切な抗菌薬治療でよくなることもあります。
しかし、治療しなかったり、治療を中断したりすると、感染が進行して重篤な合併症を引き起こすことがあります。
また、1度梅毒にかかった場合でも、再び感染する可能性があるため、パートナーと一緒に定期的に血液検査や性器診察を受けて、感染の有無や症状を確認しましょう。
まとめ
ここまで、梅毒の時期別症状についてお伝えしてきました。
梅毒の時期別症状についてまとめると、以下の通りです。
・梅毒とは、梅毒菌という細菌によって引き起こされる性感染症の一種である
・梅毒は、第1期〜第4期梅毒という4段階の症状にわけられる
・梅毒になる原因は、梅毒トレポネーマという細菌への感染であり、主に性行為によって感染する
これらの情報が皆様のお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。