「梅毒」に感染すると「唇」にどんな症状が現れる?進行すると唇はどうなるかも解説!

近年、日本では梅毒の患者さんが増加しています。梅毒は有効な薬があるため、早期に治療を行えば治ることが期待できますが、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があります。また、梅毒は気付きにくく、ほかの病気と見分けることが難しい病気です。本記事では、梅毒のなかで唇に焦点を当て、症状、ほかの病気との見分け方や治療法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
梅毒の基礎知識

梅毒とはどのような病気ですか?
梅毒の原因と感染経路を教えてください
具体的には、陰茎や膣(ちつ)、肛門、お口などの粘膜どうし、あるいは粘膜と皮膚どうしが直接触れる性的な接触(性交、オーラルセックス、アナルセックスなど)でうつります。また、そのほかの感染経路として、母子感染があります。妊婦さんが梅毒に感染すると、胎盤を通じておなかの中の赤ちゃんにも感染する場合があり、これを母子感染と呼びます。
梅毒は唇から感染することはありますか?
梅毒で唇に現れる症状と原因

初期の梅毒になると唇にはどのような症状が現れますか?
梅毒が進行すると唇はどのようになりますか?
そのほかのお口の病変には、粘膜斑があります。粘膜斑はややふくらんでおり、青みがかったような白色、もしくは灰色で、周囲は薄い赤色をしています。通常は、お口の中や喉の奥などの粘膜に出現します。
その後、さらに病状が進行しⅢ期になると、ゴム腫が発生する可能性があります。やわらかいゴムのような膨らみで、頭、顔、体幹(胸、お腹、背中)などさまざまな部位にみられ、ほぼすべての臓器に発生する可能性があるとされています。ただし、現代ではⅢ期まで進行するのは稀だとされています。
梅毒の唇の症状と似ているほかの病気はありますか?
まず挙げられる代表的なものが、単純ヘルペスウイルス感染症です。お口の周囲や陰部に小さな水ぶくれや潰瘍が現れる病気です。見た目で区別することは難しいくらい、梅毒と症状が似ています。ただし、ヘルペスによる水ぶくれは強い痛みを伴うのが特徴的です。一方、梅毒のⅠ期では痛みを伴わないことが多いとされています。
次に挙げられるのが、軟性下疳(なんせいげかん)です。細菌による性感染症で、潰瘍がみられます。主に陰部に発生しますが、お口にみられることもあります。軟性下疳は強い痛みを伴います。痛みがあるため、梅毒のように発見が遅れることは少ないとされています。
また、尖圭(せんけい)コンジローマもしばしば梅毒と似た症状を呈します。これは、ヒトパピローマウイルスによる感染症です。小さなイボ状の病変が、陰部や肛門の周囲にみられることが多いですが、お口の中や唇にみられるケースがあります。通常、痛みは伴いません。梅毒のⅡ期にも扁平コンジローマといわれるイボのような病変をつくり、見た目が似ているのでしばしば混同されます。
梅毒で唇に症状が現れる原因を教えてください
梅毒で唇に症状が出たときの対処法と治療法

梅毒で唇に症状が現れたら何科を受診すればよいですか?
- 皮膚科
- 産婦人科
- 泌尿器科
- 感染症内科
このほかにも、内科などで性感染症の診療を行っている医療機関もあります。受診前に梅毒の診療を行っているか確認するとよいでしょう。なお、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方は、産婦人科への相談を検討してください。
病院で行われる梅毒の検査方法を教えてください
唇の梅毒はどのように治療しますか?
ペニシリンに対してアレルギーがあるなど、ペニシリンが使用できない場合は、テトラサイクリン系といわれる種類の抗菌薬が検討されます。いずれが選択されるかは病状や患者さんの状況によって異なります。
参照:『梅毒に関するQ&A』(厚生労働省)
唇の梅毒は治療するときれいになりますか?
編集部まとめ

梅毒は近年、日本で急激に増えている性感染症です。早期に適切な治療ができれば、完全に治すこともできる可能性があります。しかし、初期には痛みなどを伴わないため、気付かず放置してしまうケースもあります。早期発見し治療をすることで、梅毒から自分自身と大切なパートナーを守りましょう。
参考文献




