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性病の潜伏期間中に検査は受けられるの?性病の種類別の潜伏期間について解説

 公開日:2024/07/11
性病の潜伏期間中に検査は受けられるの?性病の種類別の潜伏期間について解説

性病(性感染症)は、誰にでも起こりうる健康問題であり、早期発見と治療がとても重要です。しかし、多くの性病には潜伏期間があり、この期間中に症状が現れないことがあります。本記事では性病の種類別の潜伏期間について以下の点を中心にご紹介します。

・性病の潜伏期間とは?
・性病の潜伏期間中の注意点
・性病検査を受けられる場所

性病の種類別の潜伏期間について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病の潜伏期間とは?

性病の潜伏期間とは?
性病の潜伏期間は病原体によって異なり、数日程度から数週間、さらには数ヵ月に及ぶ場合があります。
この期間中は自覚症状がないため、感染に気付かないケースが多いとされています。

各性病の潜伏期間

各性病の潜伏期間
性病にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる潜伏期間があります。
以下に、代表的な性病の潜伏期間について詳しく説明します。

クラミジア

クラミジアは、性行為によって感染する代表的な性感染症の一つです。
症状がなくても感染している可能性があり、潜伏期間は1~3週間程度とされています。
しかし、人によっては数ヵ月後に症状が現れる場合もあり、個人差が大きいのが特徴です。
クラミジアは、男性の場合は尿道炎、女性の場合は子宮頸管炎などの症状が現れます。
しかし、約5割の男性と約8割の女性は自覚症状がなく、知らないうちに感染している可能性があります。

淋病

淋病の潜伏期間は、男性の場合、感染後2~7日程度で症状が現れる傾向があります。
排尿時の痛みや尿道からの膿の分泌が主な症状であり、クラミジアと比べて潜伏期間が短く、症状が強いため早期に判明する場合もあれば、自覚症状が出ない場合もあります。
女性は症状が現れにくいとされ、はっきりとした潜伏期間はわかっていませんが、感染するとおりものの増加や性交時の痛み、下腹部の痛みなどが現れます。
淋病は潜伏期間中でも感染力があり、無症状であっても他者に感染するリスクがあります。

梅毒

梅毒の潜伏期間は、感染後10〜90日程度(平均21日程度)とされており、個人差があります。
最初の症状(第1期梅毒)は、痛みを感じにくいしこりや潰瘍が性器やお口、直腸など感染部位に現れますが、これらの症状は約2~3週間で自然に消失するとされています。
その後、放置しておくと約3ヵ月後に全身の発疹やリンパ節の腫れなどの症状(第2期梅毒)が現れます。
第1期の症状が軽微で見逃されやすい傾向があり、第2期で初めて気付く場合もあります。
梅毒は、潜伏期間中でも他者に感染するリスクがあります。
症状が出ていなくても体内に病原菌が存在するため、性的接触によって感染が広がる可能性があります。

HIV(エイズ)

HIVの潜伏期間は、感染後約2週間で初期症状が現れる場合が多く、発熱、喉の痛み、倦怠感、リンパ節の腫れなど、インフルエンザに似た症状が見られます。
しかし、その後は無症状の期間が続き、個人差はあるものの数年から約10年にわたることもあります。
この期間中もウイルスは体内で活発に活動し、免疫システムを徐々に破壊していきます。
潜伏期間中でもHIVは他者に感染する可能性があり、症状が出ていなくてもウイルスは体内に存在し、感染力があります。
そのため、感染の疑いがある場合は、早期の検査が重要です。
HIVの検査は、感染後2~4週間程度で結果が得られるPCR検査や抗体検査が利用されます。

トリコモナス

トリコモナスの潜伏期間は、感染後5~28日程度とされています。
女性の場合、あわ状の悪臭の強いおりものや外陰部や膣の痛み・かゆみが主な症状として現れます。
一方、男性は無症状が多いとされていますが、尿道炎や前立腺炎を引き起こす場合があります。
トリコモナスは、症状が出ていない潜伏期間中でも他者に感染するリスクがあります。

マイコプラズマ、ウレアプラズマ

マイコプラズマおよびウレアプラズマの潜伏期間は、約1~5週間とされています。
感染後すぐに症状が現れない傾向があり、感染してからしばらく経って症状が出る場合があります。
男性では排尿時の痛みや尿道のかゆみ、膿の分泌が見られますが、無症状も少なくありません。
女性の場合も、無症状の傾向がありますが、場合によっては膣のかゆみや痛み、おりものの増加が見られます。
マイコプラズマとウレアプラズマの感染は、潜伏期間中でも他者に感染するリスクがあります。
これらの感染症の検査は、感染後24時間以上経過していれば可能とされています。

カンジダ

カンジダの潜伏期間は、感染後約1〜7日前後とされています。
男性の場合、陰部にかゆみや白いカスのようなものが生じたり、排尿時や性交時に痛みを感じる症状があります。
女性では、白いヨーグルト状のおりものが増え、外陰部や膣にかゆみや痛みが生じることが特徴です。
症状が現れるまでの期間には個人差がありますが、約1週間以内に症状が出るケースが多いとされています。
カンジダ感染は、潜伏期間中でも他者に感染するリスクがあります。
カンジダの検査は、感染後24時間以上経過していれば可能とされています。

B型肝炎

B型肝炎の潜伏期間は、感染後1~6ヵ月程度とされており、個人差が大きいです。
感染から約2週間で初期症状が現れる場合もありますが、数ヵ月経過してから症状が出る傾向があります。
症状としては、発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気、黄疸などが挙げられます。
B型肝炎は、潜伏期間中でも他者に感染するリスクがあります。
B型肝炎の検査は、感染後6~8週間以上経過していれば、血液検査で結果が得られるとされています。

C型肝炎

C型肝炎の潜伏期間は、感染後2週間から6ヵ月程度と幅広く、個人差が大きいです。
多くの方は感染初期に症状を感じることが少ないとされています。
典型的な症状には、倦怠感、食欲不振、吐き気、腹痛、黄疸などがありますが、これらの症状は軽度であるため見逃されがちです。
C型肝炎は、潜伏期間中でも他者に感染するリスクがあります。
C型肝炎の検査は、感染後約2週間〜3ヵ月以上経過していれば結果が得られます。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマの潜伏期間は、感染後3週間から8ヵ月とされています。
この性感染症は、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされ、主に性器や肛門周辺に小さなイボが現れることが特徴です。
イボは時間の経過とともに増加し、大きくなることがありますが、初期には気付かない傾向があります。
尖圭コンジローマは潜伏期間中でも他者に感染するリスクがあります。
HPVの検査は、感染後約3週間以上経過していれば正確な結果が得られます。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、感染してから約2~10日後に症状が現れる性感染症です。
感染した初期には、陰部に小さな水ぶくれや潰瘍ができ、痒みや痛みを伴う場合があります。
このウイルスは、一度感染すると体内に潜伏し続け、免疫力が低下した時に再発することが特徴です。
そのため、症状が出なくてもウイルスが存在し続け、パートナーへの感染リスクにつながります。

検査可能時期

検査可能時期
性病は、感染してからの経過時間によって検査可能時期が異なります。
淋病クラミジアは感染後約24時間以上で検査が可能とされていますが、HIVや梅毒、B型肝炎などは抗体が形成されるまでの期間(ウインドウ・ピリオド)があるため、感染機会から一定期間が経過してからの検査が推奨されています。
具体的には、梅毒は感染後約4週間、HIVは14日以上(NAT検査の場合)、B型肝炎は約6週間が検査可能時期とされています。
性病の検査は、早期発見と治療のためにとても重要です。
感染しているかどうかは、症状の有無ではなく検査結果に基づきます。
無症状でも陽性反応が出ることがあり、その場合は治療が必要です。
特にHIVや梅毒、肝炎などは適切な時期に検査を行わなければ、正確な結果が得られない可能性があります。
また、性病の感染経路にはセックスだけでなく、オーラルセックスやディープキスなども含まれるため、予防策としてコンドームの使用が推奨されます。
しかし、すべてを防ぐことは難しいため、感染の可能性がある場合は早めに医療機関で検査を受けましょう。

性病の潜伏期間中の注意点

性病の潜伏期間中の注意点
性病は、症状が出るまで時間がかかる場合があり、潜伏期間中に感染に気付くことは難しいですが、以下の点に注意することで、感染リスクの低減につながります。

潜伏期間中でも周囲にうつす可能性がある

性病は潜伏期間中でも周囲に感染させるリスクがあります。
たとえ症状が出ていなくても、体内には病原体が存在しており、性行為や接触を通じて他者に感染する可能性があるのです。
例えば、淋菌やクラミジアはキスやオーラルセックスによって喉や肛門にも感染し、そこから相手の性器へ感染を広げる場合があります。
感染の疑いがある場合は、潜伏期間中であっても早期の検査が推奨されます。
早期発見と早期治療により、自身だけでなくパートナーの健康維持にもつながります。

発症後に再び潜伏期間になることもある

性病のなかには、一度発症した後に再び潜伏期間に入るものがあります。
例えば梅毒やHIV感染症、性器ヘルペスが挙げられます。
梅毒は、初期症状が現れた後、一時的に症状が消えますが、その後再度潜伏期間に入り、再発する場合があります。
HIVは、感染後にインフルエンザのような症状が出た後、数年間無症状が続き、その間に免疫力が低下していきます。
性器ヘルペスも、初回の発症後に症状が治まる場合がありますが、ウイルスは体内に残り、免疫力が低下した際に再発する可能性があるとされています。
以上の性病は、潜伏期間が終わっても症状が再び現れる可能性があるため、定期的な検査と適切な治療が重要です。

無症状のこともある

性病は、感染していても症状が出ない場合が多々あるとされています。
クラミジアやトリコモナスなどの性感染症は、無症状の傾向があることで知られています。
無症状のため感染に気付かず、放置してしまい病状が進行し、パートナーへの感染リスクにもつながります。
例えば、クラミジアは感染者の約8割が症状を感じないとされています。
また、淋病梅毒も無症状のケースが多く、感染に気付かずに他者に移してしまう場合があります。
症状がないと安心してしまいがちですが、性病は進行すると深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
検査は症状がない時期でも可能とされており、なかでも不特定多数の方との性行為がある場合は、定期的な検査の受診が推奨されます。

性病検査を受けられる場所

性病検査を受けられる場所
性病は症状がない場合でも、知らないうちに感染している可能性があります。
性病検査は、主に以下の場所で行えます。

保健所

性病の検査は保健所で受けられます。
保健所での検査の大きなメリットは、無料で受けられることと、匿名での検査が可能なことです。
特にプライバシーを重視したい方におすすめです。
しかし、保健所で行われる検査は、HIV、梅毒淋病クラミジアの4種類に限られます。
また、検査の実施日が限られており、週に1〜2回程度と少ないため、都合のよいタイミングで検査を受けるのが難しい場合があります。
検査結果が陽性だった場合は、保健所では治療ができないため、医療機関を受診して治療を受ける必要があります。

病院

性病の検査は、病院やクリニックでも受けられます。
なかでも性病専門の病院や泌尿器科、婦人科では、幅広い種類の性病検査が可能な場合が多く、検査後すぐに治療を始められるのが大きなメリットです。

検査キット

検査キットを利用すると、自宅でも性病検査が行えます。
検査キットを使用するメリットは、プライバシーが守られる点や、忙しい方でも自宅で簡単に検査が行える点です。
検査キットはインターネットで注文できる場合も多く、自宅で採取した検体を郵送するだけで結果がわかります。
陽性の場合は、オンライン診療で診察や薬の処方を受けることも可能とされています。
検査キットは便利ですが、検査できる性病の種類が限られていることがデメリットです。
例えば、A型肝炎や毛じらみなどの性病は検査キットでは対応できません。
また、検査結果が出るまでに時間がかかる場合もあります。
そのため、検査キットを使用する場合でも、不安がある場合は病院での診察が推奨されます。
しかし、検査キットは費用が安く、手軽に検査ができます。
そのため、初めて性病検査を受ける方や、定期的に検査を行いたい方におすすめです。

まとめ

まとめ
ここまで性病の種類別の潜伏期間についてお伝えしてきました。
性病の種類別の潜伏期間などの要点をまとめると以下のとおりです。

・性病の潜伏期間は病原体によって異なり、数日程度から数週間、さらには数ヵ月に及ぶ場合がある
・性病の潜伏期間中の注意点としては、潜伏期間中でも周囲に移す可能性がある場合や発症後に再び潜伏期間になる可能性もある
・性病検査を受けられる場所は、保健所や病院のほか、検査キットを利用することで自宅でも行える

性病には、複数の種類があり、潜伏期間や症状の出現時期もさまざまです。
気になる症状がある場合は、性病の可能性を考え、自身の状況に合った方法で検査や受診を検討しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師