性病検査を受ける医療機関の選び方|性病の種類や検査を受けた方がいい人
性器などに違和感があると、性病の不安を覚えることもあるでしょう。
性病は自覚症状の有無に関わらず、不安があるのなら早期に検査をすることが大切です。匿名で検査を実施している機関もあるので、悪化する前に相談しましょう。
本記事では、性病の種類や性病検査を実施している医療機関の選び方を紹介します。
監修医師:
中川 義明(福井医院)
目次 -INDEX-
性病(性感染症)の主な種類
性病(性感染症)は、性的行為によってお口や性器などの皮膚や粘膜を通して感染します。オーラルセックスやアナルセックスなどの性行為でも感染するため、性器周辺だけではなく喉にも感染する病気です。
性感染症の自覚症状がない場合は気付くのが遅れることがあるでしょう。基本的に自然治癒はありません。また、感染症法では4類や5類感染症にあたるため、診断した医師は保健所に届ける義務があります。
なお、感染症によっては放置すると、不妊症の原因になることや神経や心臓に合併症や後遺障害を残す場合があります。
性病にはどのような種類があるのかみていきましょう。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマによる細菌性の感染症です。梅毒の感染は世界中でみられ、日本でも2018年頃から増加の傾向にあり注意を呼びかけています。
梅毒の症状は、早期顕症梅毒(Ⅰ期、Ⅱ期)、早期梅毒(感染後1年以内)、後期梅毒(感染後1年以降)の4期に分類されます。
早期顕症梅毒Ⅰ期の症状の特徴は、細菌の侵入部位にできる硬いしこりです。なお、無痛性の所属リンパ節の腫脹がみられることもありますが約3~6週間で症状は軽くなるでしょう。
早期顕症梅毒Ⅱ期の症状は、Ⅰ期から4~10週間程経過した頃にバラ疹や無痛性の紅斑などの発疹が全身に出現します。発熱・倦怠感・全身性リンパ節腫脹などの症状が出ることもありますが、症状は自然に軽快に向かうでしょう。
後期梅毒は、感染後約10~15年経過した頃に心血管梅毒・脊髄癆・進行性麻痺などを発症する場合がありますが、発生する臓器を特定するのは難しく命に関わる可能性があります。ただし、検査や抗菌薬による治療で現在では後期梅毒に至ることは稀です。治療には、ペニシリン系の抗菌剤(飲み薬・注射)が使用されます。
性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は、クラミジアトラコマティスが病原体です。若年層の女性の感染者が男性を上回っています。
性行為によって感染しますが、新生児がクラミジア感染している場合は母親からの産道感染が原因です。女性の感染者は初期症状がないことも少なくないため、気付かないうちにパートナーや出生児に感染していることがあります。オーラルセックスにより咽頭に感染している場合もあります。
進行すると不正出血や性交時の痛み、不妊症、早期流産などが起こる可能性があります。男性の場合、感染者の半数程に自覚症状が出ます。具体的な症状は以下のとおりです。
- 尿道炎
- 精巣上体炎
- 尿道不快感
- 排尿痛
- そう痒感
- 精巣付近の腫れや発熱
- 不妊
性器クラミジア感染症はパートナー同士でお互いにピンポン感染するので、片方が完治してももう片方が治っていない場合再び感染する可能性があります。そのため、治療はパートナーと同時に行うことが重要です。治療には抗菌薬(テトラサイクリン系薬・マクロライド系薬・ニューキノロン系薬)が使用されます。
淋菌感染症
淋菌感染症は、淋菌(ナイセリア属のグラム陰性双球菌)の感染で起こります。淋菌は、保有者の粘膜から離脱すると数時間で感染力がなくなります。日光や乾燥、湿度変化、消毒薬で簡単に死滅するのが特徴です。そのため、性的行為以外での感染は稀です。
女性は、おりものの増加や発熱、下腹部痛、喉の違和感、不正出血、性交時の痛み、不妊などの症状が確認できますが、無症状の場合も少なくありません。淋病に感染していることに気付かずに放置すると、骨盤内炎症性疾患や卵管炎・、肝臓周囲炎などの原因になることがあります。
男性の症状には、以下のものがあります。
- 激しい排尿痛
- 尿道のかゆみ・発熱
- 不快感
- 膿
- 前立腺炎
- 精巣上体炎
- 無精子症
男女共通として咽頭・目・直腸の感染もあります。なお、淋病は何度でも再感染するので注意が必要です。治療には抗菌薬を使用します。
性器ヘルペスウイルス感染症
性器ヘルペスウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルスに感染して性器やその周辺に1~2mm程の水泡や潰瘍などが発生する感染症のことです。性交の相手が無症状であっても性器の粘膜・分泌物・唾液にウイルスが存在すれば感染する可能性はあります。
抗ヘルペスウイルス剤の服用でいったんは治癒しますが、単純ヘルペスウイルスは一度感染したら神経節に潜伏して再活性する特徴があり、長期間再発を繰り返す場合があります。単純ヘルペスウイルスは唾液などでも感染するので、幼少期に感染していたものが思春期以降に性行為を行うことで相手が感染した例も少なくありません。症状は急性型(初発感染)が重いといわれています。
- そう痒感
- 発熱
- 全身の倦怠感
- 所属リンパ節腫脹・痛み
- 強い疼痛
- 排尿困難
- 歩行困難
病変が発生する部位は、男性は包皮・冠状溝・亀頭で、女性は外陰部や子宮頸部に発生します。治療には、抗ウイルス薬アシクロビルを使用します。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス6型および11型などのウイルス性感染症です。生殖器や肛門まわりに発症して、白・赤紅色・茶色のカリフラワーのような特徴的なイボができます。イボの数が増加すると鶏のとさかのようになりますが、自覚症状はほとんどありません。
軽度の痒みや痛みを感じることもありますが、自然治癒も少なくない良性の感染症です。ただし、パピローマウイルス型によっては悪性化する可能性もあります。性的行為により感染しますが、稀に親の手指を介して子どもに感染します。また、分娩時の感染から乳児が喉頭乳頭腫(喉にできる良性腫瘍)を発症する可能性があることから、妊婦の感染には注意が必要です。
尖圭コンジローマは特徴的なため視診で特定できます。イボを切除する外科的治療や軟膏などを塗布する薬物療法が一般的です。なお、再発の可能性があるため治療後も3ヵ月程度は経過観察するとともに、パートナーとの同時治療を行う必要があります。
HIV(エイズ)
HIV(エイズ)は、ヒト免疫不全ウイルス感染により発症します。感染経路は、性的接触・母子感染・血液感染などがあります。血液や体液から感染し、体外では不活化するので日常生活で感染者と接触しても感染する確率は限りなく低い感染症です。
HIVの症状は、感染後2~3週間程すると発熱・リンパ節腫脹・咽頭痛・皮疹・頭痛・下痢などがみられます。自覚症状がない人や無菌性髄膜炎を発症する人まで症状には個人差があります。
初期症状は数日から10週間程続きますが、自然に軽快に至ることも少なくないためHIVと気付かず放置する場合もあるでしょう。しかし、初期段階で診断でき治療を開始できれば予後が飛躍的によくなります。
診断は性的行為から1~3ヵ月で陽性判定はできますが、陰性結果が出ても3ヵ月目以降に再度検査を行う必要があります。治療は3剤以上の抗HIV薬組み合わせる多剤併用療法で行われるのが一般的です。
性病検査を受けた方がいい人は?
性病は性的行為により血液・精液・膣分泌液などに潜むウイルスが皮膚や粘膜から侵入すると感染します。性的行為の覚えがあり、コンドームなどの予防処置を怠り性器などに違和感がある方は、早めに性病検査を受けた方がよいでしょう。
感染していても症状が軽く、感染に気付かないままパートナーや幼児に感染させてしまう場合があります。性病は早期発見・早期治療が重要です。匿名での受診も可能なので、気になる場合はすぐに検査しましょう。
性器に痛み・かゆみ・できものなどの症状がある人
性器の痛み・かゆみ・できものは性病の症状ではよくあるものです。性病は自然治癒するものは少ないため、症状が続くようなら早めに検査を受けましょう。
不妊症の不安がある人
淋病に感染すると、女性では骨盤炎症性疾患・卵管不妊症・子宮外妊娠など、男性は無精子症などの症状があるため不妊の原因になります。性病には不妊に関連する疾患も少なくないので、もともと不妊症の方は性病検査を定期的に実施して不妊のリスクを減らしましょう。
排尿時に痛みがある人
排尿痛やおりものの増加なども性病を疑う症状になります。性器クラミジア感染症や淋菌感染症などは排尿痛のある疾患です。
結婚前・妊活前の人
妊婦健診では妊婦の3~5%にクラミジア保有者がみられ、自覚症状がない感染者はかなりの数になると推測されます。淋病の感染を知らずに妊娠や出産をすると新生児に感染する場合があります。
クラミジア・淋病・梅毒などは、子宮頚管炎の原因となり早期流産を起こす可能性がある疾患です。妊娠を望む場合、性病は胎児に影響する可能性があるため事前に検査をしましょう。
パートナーが性病に感染している人
パートナーが性病に感染している場合は、自分も感染の可能性があると考えた方がよいでしょう。性病は再発を繰り返すものも少なくないので、治療はパートナーと同時に行う必要があります。
性病検査を受ける医療機関の選び方
性病の一般的な検査は、保健所や医療機関で実施しています。
無症状のまま経過する性病もあるので不安な性的行為があったら、悩みごとを抱え込まないで保健所で相談してみましょう。保健所では、匿名の電話相談も実施しています。保健所で実施している性病検査は、梅毒やHIV、クラミジア感染症、淋菌感染症などの検査ですが、実施時間や検査項目、費用は各保健所に確認してください。
上記以外の感染症の検査は、病院などの医療機関で実施しています。性感染症科が近隣にない場合は、耳鼻咽喉科(喉の違和感)や皮膚科(皮膚の症状)、泌尿器科(男性)、婦人科(女性)などで検査を受けることができます。
性病検査の検査方法
性病の検査方法は、血液検査・視診・検体採取などがあります。
血液検査が必要な性病は、梅毒またはHIVです。
性器クラミジア感染症・淋菌感染症は、尿・尿道・子宮頸部の分泌物やおりものを採取して培養検査やPCR検査で特定します。
性器ヘルペスウイルス感染症は、特徴的な病変があるので視診で診断が可能です。
性病検査のことなら福井医院にご相談を
性病検査を実施しているクリニックを探しているのなら、JR摂津富田駅北口から徒歩1分の福井医院にご相談してみてはいかがでしょうか。
福井医院は皮膚科・泌尿器科・外科があり、一般診療のほかに性病の相談や治療を実施しています。
男女問わず幅広い性の悩みに対応
性の悩みには個人差があります。福井医院では、男性の包茎・パイプカットなどの男性特有の治療や、女性の梅毒検査や喉の違和感などの検査も実施しています。
性病に関する悩みの相談にももちろん応じてくださるので、悩みがあるのなら一度受診してみてはいかがでしょうか。
泌尿器科・皮膚科・外科などに対応した地域のかかりつけ医
福井医院は、泌尿器科・皮膚科・外科などの一般診療から性病に至るまで、地域のかかりつけ医として幅広い診療を行っています。
女性の性病検査も実施していますが、喉の違和感・梅毒検査(血液検査)の対応のみとなります。ただし、頻尿・尿漏れ・膀胱炎・排尿痛などの女性の泌尿器科の症状には対応しています。
誰にも相談できずに困っている方も気軽に受診しやすいアットホームな医院
性病の相談はなかなかできないものですが、福井医院は性病に関する相談を積極的に受付けています。
院長は、泌尿器科・皮膚科の専門の医師で、小学校の校医や看護学校の講師も兼任していて話しやすい先生です。
金曜日の午前中は女性の皮膚科の先生も診察しているので、男性の先生には相談しにくいという方も受診しやすいでしょう。
性病の相談をするのは勇気がいるかもしれませんが、1人で悩みを抱えているうちに手遅れになることがあります。
手遅れにならないためにも、不安がある方は早めに相談するようにしましょう。
福井医院の基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR摂津富田駅北口より徒歩約1分
阪急京都線 富田駅北口より徒歩約5分
診察時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~12:00 | ● | ● | ● | ● | 皮 | ● | - | - |
17:00〜20:00 | ● | ● | - | - | ● | - | - | - |
※「皮」は女性医師による皮膚科専門日(泌尿器科医は不在)
※日曜・祝日および水、木、土曜の午後は休診
参考文献