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うつ病は再発する?再発のサインや予防する方法を解説!

 公開日:2024/03/15
うつ病の治し方について解説!うつ病になる原因や症状、治療法を説明

うつ病は、一度治ったとしても再発する可能性があると言われています。近年一般的な理解が少しずつ広まってきた印象のあるうつ病ですが、外から一目で症状が分かるような病気でないため周囲のサポートを得るのが難しいですよね。特に、一度治療できたら「もうかかりたくないな」と思われる方がほとんどなのではないでしょうか。再発のサインを見逃さず、適切な予防を行うことが大切です。

この記事では、うつ病の再発率や再発のサインや予防する方法について、専門的な用語を避けながら解説します。うつ病に対する理解を深め、再発を未然に防ぐための知識が得られれば幸いです。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

うつ病は再発を繰り返す可能性が高い

うつ病は再発を繰り返す可能性が高い

うつ病は一度治癒しても再発する可能性が高い病気です。その理由や予防方法を知るために、まずはうつ病の基本的な情報から理解していきましょう。

うつ病の症状

うつ病の症状は人それぞれ異なりますが、一般的には気分の沈んだ状態が続くことが多いです。食欲の減退や睡眠障害、無気力などもよく見られる症状です。これらの症状が長期間続く場合、うつ病の可能性があると考えられます。
他にも、細かいものも含めて以下のような症状がうつ病にはあると言われています。

  • ・集中力の低下
  • ・体重の増減
  • ・意思決定が難しくなる
  • ・悲観的な考えがついて離れない
  • ・身だしなみや身の回りを整理できなくなる
  • ・耳鳴りやめまい
  • ・周囲の音に対して過敏になる
  • ・吐き気や胃もたれ
  • ・常に眠気を感じる
  • ・自分に対する評価が極端に低くなる
  • うつ病になる確率

    うつ病になる確率は、生活習慣やストレスの状態、遺伝的な要素などによって変わります。日本人の約5人に1人が一生のうちにうつ病になると言われています。この数字からも、うつ病は決して他人事ではないことがわかります。

    また、うつ病も含まれる気分障害の患者数は年々増加しており、ある調査では1996年には43万3千人だった気分障害患者数が、2008年には104万1千人とおよそ2.5倍近くに増加したそうです。

    うつ病の再発率

    治療を適切に受ければうつ病にかかっても数ヶ月で症状が治まることが一般的ですが、一度改善しても約60%が再発するといわれています。
    再発率が高いとトータルの治療期間も長期化するため、一度かかると長い付き合いになりがちなのがうつ病の特徴と言えるでしょう。本記事の後半で紹介する再発の予防策を実施することも重要ですし、治療自体を適切に受けることも大切です。周囲の人の援助も大事になってくるでしょう。

    うつ病再発のサイン

    うつ病の再発サインとしては、以前の症状が再び現れることが多いと言われています。例えば、気分が沈んで食欲がなくなる、睡眠が浅くなるなどです。個人個人でうつ病の症状が異なるのと同様、うつ病再発のサインも人それぞれであると考えた方が良いでしょう。

    自分がうつ傾向にある時にどのような症状が出る傾向にあるかを認識した上で、再発のサインを早めに察知し、早期に対処することが再発を防ぐ鍵となります。

    うつ病を再発させないために、うつ病の種類を確認しよう

    うつ病の特徴とは?

    うつ病と一口に言っても、いくつかの種類があります。それぞれの種類には特徴があり治療法も異なることがあるため、正確な診断が必要です。以下で、主なうつ病の種類について解説します。

    メランコリー型うつ病

    メランコリー型うつ病は一般的なうつ病の症状に加え、朝の気分の沈みや体重減少などが見られることが多いと言われています。抗うつ薬による治療が効果的であるとされています。

    以下は、メランコリー型うつ病の症状の典型例です。

  • ・朝に気分が沈む
  • ・体重が減少する
  • ・過剰な罪悪感を感じる
  • ・早朝に覚醒する
  • ・手足の動きが遅くなる
  • 非定型うつ病

    非定型うつ病は、気分が明るくなる時があるなど一般的なうつ病とは異なる症状が見られます。このため、新型うつ病とも呼ばれることがあります。一般的なうつ病とは異なり、時折気分が高揚することがあるためです。また、食欲増進や過眠なども特徴です。治療には専門医との継続的なカウンセリングが重要となります。

    季節型うつ病

    季節型うつ病は、特定の季節に症状が現れるうつ病です。多くは冬季に症状が出ることが多く、日光浴などの光療法が効果的な治療法とされています。

    季節型うつ病の原因は、特定の季節に体内のメラトニンが不足することに関連しているとされています。特に冬季に日照時間が短くなることで、メラトニンの生成が減少し、うつ病の症状が現れることがあるのです。

    季節型うつ病の症状の典型例は以下のとおりです。

  • ・憂鬱な気分になる
  • ・過食
  • ・過眠
  • ・力が出ないように感じる
  • ・関心を持てなくなる
  • 産後うつ

    産後うつは、出産後に発症するうつ病で、ホルモンバランスの変化が影響していると考えられます。また、睡眠不足や疲労の蓄積、育児に関するストレスの増加なども要因なのではないかと言われています。早期発見と適切なケアが重要で、特に家族や医師との連携が求められます。

    うつ病の種類を理解することで、自分に合った治療法を見つける手がかりになるでしょう。再発を防ぐためにも、自分の症状に合った治療を受けることが大切です。

    うつ病を再発させないために、うつ病の治療法を確認しよう

    うつ病の特徴とは?

    うつ病の治療は、症状や個人の状態に合わせて選ぶ必要があります。再発を防ぐためにも、適切な治療法を理解し、実践することが重要です。自分自身の健康を取り戻すための第一歩として、治療法について学び、自分に合った方法を見つけることが大切です。

    長期的な休養をとる

    うつ病の治療には、心と体の休息が欠かせません。長期的な休養をとることで、心身の疲れを癒し、回復への第一歩とすることができます

    特に、仕事や家事に対して責任感が強い人がうつ病にかかった場合は自分が他人に迷惑をかけてしまうことを恐れて休養期間を短くしようとしてしまうかもしれません。そういう場合は休養をとる期間を無理に切り詰めようとせず、本人的には長すぎるかもしれないと思ってしまう程度の期間のお休みをとるようにするくらいがちょうど良いかもしれません。

    薬物治療

    薬物治療は、うつ病の症状を和らげるための一般的な治療法です。抗うつ薬を用いることで、気分を安定させる効果が期待できます。ただし、薬の種類や服用量は医師の指示に従うことが重要です。
    うつ病の治療には複数の種類の治療薬が用いられる場合があります。

    ・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
    抗うつ効果があるとされる薬で、セロトニンの再取り込みを阻害します。一般的なうつ病の症状に対してよく用いられる薬で、副作用が比較的少ないため初回治療に選択されやすいです。

    ・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
    セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、抗うつ効果を発揮します。SSRIに効果が見られない場合や、エネルギー欠如、集中力の低下などの症状がある場合に用いられると言われています。

    ・抗不安薬
    不安症状を和らげる効果がありますが、短期的な使用にとどめることが推奨されています。

    ・睡眠薬
    睡眠を改善する効果があります。睡眠障害が主な症状として現れるうつ病の場合に選択されやすいです。

    ・気分安定薬
    気分の変動を抑制し、安定させる効果があります。双極性障害など、気分の変動が激しい場合に選択されやすいです。

    ・非定型抗精神病薬
    精神病症状を抑制する効果があります。うつ病に幻覚や妄想などの精神病症状が伴う場合に選択されやすいです。

    これらの薬物は、患者の症状や体質、既往歴などに応じて、医師が適切に選択します。薬物治療は個人に合った最適な治療法を見つけるプロセスであるため、医師との密接なコミュニケーションが重要です。

    精神療法

    精神療法は、医師や専門のカウンセラーや心理療法士との対話を通じて、心の問題を解決する治療法です。自分自身の感情や考え方を深く理解することで、うつ病の根本的な原因に対処できます。なお、精神療法の中の、認知行動療法対人関係療法といった特殊な技法を用いる場合は、公認心理師が行います。 

    認知行動療法
    考え方や行動のパターンを変えることで、うつ病の症状を改善します。具体的には、患者が持つ否定的な思考や自己評価を特定し、それらを現実的で健全なものに置き換えるプロセスを促進します。セラピストと一緒に、患者は自分の考え方や反応のパターンを分析し、それらを変えるための技術を学びます。日常生活での実践を通じて、思考と行動の変化を促進し、うつ病の症状を軽減します。

    対人関係療法
    人間関係の問題を解決し、うつ病の症状を改善します。具体的には、患者の人間関係のパターンを分析し、コミュニケーションの技術や対人スキルを向上させることを目指します。セラピストは、患者と一緒に人間関係の問題を特定し、それらの問題を解決するための戦略を開発します。対人関係の改善を通じて、自己評価の向上や孤立感の減少など、うつ病の症状の改善を促進します。

    精神療法は、患者の個別のニーズや症状に応じてカスタマイズされ、専門のセラピスト(カウンセラー)によって提供されます。患者とセラピストとの信頼関係や協力関係が重要な療法です。

    その他の治療法

    その他の治療法には、以下のようなものがあります。

    ・修正型電気けいれん療法(m-ECT)
    電気刺激を用いて、脳の活動を調整する治療法です。重度のうつ病や治療抵抗性のうつ病、自殺の危険がある場合などに用いられることが多いです。
    治療の概要としては、患者に麻酔を施し、脳に小さな電気刺激を与えます。これにより一時的なけいれんを意図的に引き起こし、脳の化学バランスを調整します。筋弛緩薬を用いることで、けいれんが極力最小限になるように配慮されたうえで施されます。通常、数週間にわたって数回の治療が行われます。

    副作用としては記憶障害、筋肉の痛みなどが報告されています。適切な監督下で行われるため、重大な副作用が発生することは稀のようです。

    ・経頭蓋磁気刺激法(TMS)
    磁気刺激を用いて、脳の特定の部分を刺激する方法です。副作用が少ないため、様々なケースで用いられます。中等度以上のうつ病に対して効果があるとされており、特に薬物治療に反応しない場合などに用いられます。

    TMSでは患者の頭部に磁気コイルを当て、特定の脳部位に磁気刺激を与えます。これにより、脳の神経細胞の活動が調整されます。治療は数週間にわたって毎日または隔日で行われます。頭痛、頭皮の刺激、一時的な聴覚障害などが副作用として報告されていますが、一般にTMSの副作用は軽度で一時的といわれています。

    運動療法
    適度な運動は、心身の健康を促進します。ウォーキングやヨガなど、自分に合った運動を見つけることが大切です。

    うつ病の治療法は多岐にわたります。自分に合った治療法を選ぶことで、再発を防ぎ、健康な日常生活を取り戻すことができるでしょう。

    うつ病の再発を予防することはできるのか

    うつ病の特徴とは?

    うつ病の再発は、多くの人にとって深刻な悩みです。しかし、再発の原因を理解し、適切な予防策を講じることで、再発のリスクを減らすことは可能です。

    うつ病が再発する原因

    うつ病の再発は、様々な要素によって引き起こされることがあります。以下のような原因を理解し、適切な対策を取ることで、再発のリスクを減らすことができます。

    ・自己判断で治療を中断
    うつ病の治療は、急性期、回復期、維持期というステージがあります。維持期には症状が出なくなることが多いため、治ったと誤解してしまうことがあります。しかし、この段階で治療を中断すると、再発のリスクが高まります。

    ・再発への理解不足
    うつ病の再発のメカニズムを十分に理解していないと、再発のサインを見逃してしまうことがあります。再発のサインを早期に察知するためには、正しい知識が必要です。自分の精神状態を自分で把握することは難しい面もあるため、本人だけでなく、家族や友人など周囲の人々の理解やサポートも重要であると言えるでしょう。

    ・環境の変化、ストレス
    職場や家庭の環境の変化、人間関係のストレスなども再発の原因となることがあります。ストレス管理の方法を学ぶことが重要です。
    特に、仕事が原因でうつ病を発症した場合は同じ環境に戻ることで再発の原因となるストレスを再度抱えやすいかもしれません。職場での異動やポジションの変更、転職なども検討してみても良いしょう。

    ・身体的な疾患
    身体的な疾患や薬の副作用も、うつ病の再発に影響することがあります。特に、糖尿病、心臓病、甲状腺の異常などは、うつ病の発症リスクを上昇させる主な疾患です。定期的な健康診断と、医師とのコミュニケーションが重要です。

    うつ病の再発は深刻な問題ですが、再発の原因を理解し、適切な予防策を講じることで、再発のリスクを減らすことができます。自分自身の健康を守るために、日々の生活の中で気を付けるべきポイントを意識することが大切です。

    うつ病の再発を予防する方法

    うつ病の再発を防ぐためには、自分自身の状態をよく理解し、日々の生活の中で予防策を実践することが重要です。ここでは再発予防のための観点をまとめました。

    ・治療の継続
    医師の指示に従い、治療を適切に継続することが基本です。自己判断で治療を変更したり中断したりしないようにしましょう。例えば抗うつ剤を服用していた場合は徐々に服用する量を減らしていくことが必要です。自己判断で服用を中止してしまうと離脱症状が強く出てしまう傾向があります。

    離脱症状とは薬の服用に体が慣れている場合に、薬の分量を減らしたり服用を止めた場合に発生する諸症状で、しびれや耳鳴りといった身体的な症状や、イライラや不眠といった精神的な症状が発生します。この離脱症状をうつ病の再発と勘違いしてしまう場合もありますので要注意です。

    ・再発のサインを学ぶ
    自分の再発のサインを理解し、早期に察知する能力を身につけることが大切です。先ほども紹介したようにうつ病の症状は人それぞれです。特に、はじめての発症前後に自分がどのような精神状態だったかを思い出し、似たような状態になっていれば再発を疑って早めに通院するなどの措置が重要です。

    ・ストレス管理
    ストレスを溜めず、適切に発散する方法を学ぶことも再発予防に役立ちます。趣味やリラックスできる時間を持つことが効果的です。

    ・健康的な生活習慣
    バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけることも再発を防ぐ手段です。

    うつ病の再発を防ぐためには、自分自身の状態をよく理解し、日々の生活の中で予防策を実践することが重要です。

    まとめ

    うつ病の特徴とは?

    うつ病は一度治癒しても再発する可能性が高い病気です。しかし、再発を防ぐための方法は存在します。うつ病の種類を正しく理解し、自分に合った治療法を選ぶことが第一歩です。また、治療を適切に継続し、再発のサインを早期に察知する能力を身につけることも重要です。うつ病の再発は恐ろしいことではありますが、正しい知識と対策を持つことで、再発の可能性を下げ、健康な日常生活を取り戻すことに一歩近づくことができるでしょう。

    この記事の監修医師