頭痛が治らない理由は?症状別・対処法・危険についても紹介
多くの方が何度も経験する症状の1つに、頭痛があります。近年の疫学調査では、日本国民の4人に1人が頭痛に悩んでいると結果が出ているほどありふれた症状です。
皆さんの身近な頭痛の例を1つ挙げてみましょう。かき氷を食べて頭がキーンとした痛みが起こったという経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
このかき氷やアイスクリームなどの冷たいものを急いで食べた時に起こる痛みは「アイスクリーム頭痛」と呼ばれる立派な頭痛に該当します。
さらに頭痛は、機能性の問題で頻繫に痛みが発生しつつも命に関わることのない頭痛持ちから、命に関わる緊急性のくも膜下出血による頭痛まで、原因が幅広いことがわかっています。
今回は頭痛に悩む人に知っておいてほしい頭痛の症状別・対処法・危険性について、詳しく解説していきましょう。ぜひ、参考にしてみてください。
監修医師:
上野 龍(宮前平脳神経外科クリニック)
横浜市立大学市民総合医療センター 脳神経外科 非常勤医師
横浜市立大学病院 脳神経外科 非常勤医師
神奈川県立こども医療センター 脳神経外科 常勤医師
西新井病院 脳神経外科 常勤医師
東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科 常勤医師
埼玉医科大学国際医療センター 脳卒中外科 助教
横浜市立大学 医学部 脳神経外科学 助教
横浜南共済病院 脳神経外科 医長
みらい在宅クリニック 常勤医師
目次 -INDEX-
頭痛が治らない理由は?
頭痛は人間が感じる痛みの1つですが、その痛みは脳で感じているものではありません。私たちの頭部には、痛覚感受性器官が存在しています。
頭蓋内の硬膜・硬膜動脈・脳動・静脈・静脈洞などに存在している痛覚感受性器官で刺激を感受すると、電気信号が感覚神経に伝達されて脳に伝えられることで頭痛となります。頭痛のメカニズムを知ったうえで、頭痛が治らない原因を探っていきましょう。
病気を引き起こしている
慢性的な頭痛がある中で、注意しなければならない頭痛があります。それは、ほかの病気が引き起こしている頭痛です。頭痛だけでなく嘔吐や痛みが強くなっていく場合には、速やかに病院で受診しましょう。
- 50歳以降に初めて感じる頭痛
- 今まで経験したことのないような普段と違う頭痛
- 突然強い痛みを引き起こす頭痛(雷鳴頭痛)
- 全身症状に伴う頭痛(発熱・悪寒・体重減少)
- 癌や自己免疫疾患などの全身性疾患者さんの頭痛
- 頭を動かしたときや呼吸を止めたときに起こる頭痛
- 小児期の後頭部痛
- 運動活動の変化や麻痺を含む局所神経症疾患者さんの頭痛
- うっ血乳頭の合併によるもの
上記の頭痛は特に注意を要するため、当てはまる人は医師に相談しましょう。
誤った内服をしている
頭痛持ちの代表格ともいえる片頭痛は、仕事や日常生活に大きな支障をきたす非常に厄介な症状です。また、ストレスから引き起こされる緊張型頭痛でも同様のことがいえるでしょう。
機能性に分類される片頭痛と緊張型頭痛の治療方法は、主に薬物療法です。しかし、処方される薬物を過剰使用することによる薬物乱用頭痛が問題となっています。医師の説明をしっかり理解した上で、正しい内服量を守ることが大切です。
体の別の箇所から併発している可能性も
頭痛に気を取られていても、実はほかの病気が併発しているケースもあります。このような状態の場合には頭痛とは別の症状がみられることも多いです。頭痛とほかの症状が一緒にみられる状態を、随伴症状(ずいはんしょうじょう)といいます。
- 吐き気
- 嘔吐
- めまい
- 光に敏感になる
- 音に敏感になる
上記のような随伴症状は、夕方に増悪しやすい特徴があります。さらに、ストレッチや入浴などでも症状が改善されやすいことも特徴の一つといえるでしょう。
頭痛の代表的な症状は?
さまざまな原因から引き起こされる頭痛ですが、ここからは代表的な頭痛の症状を4つお伝えしていきます。慢性的に症状が続くため「頭痛持ち」としても知られる片頭痛から、命に関わる危険な頭痛まであります。
それぞれの特徴を押さえて早期発見と早期治療に努めましょう。
片頭痛
随伴症状を伴って「ズキンズキン」とまるで拍動しているような強い痛みが、頭の片側や両側に生じて生活に支障をきたすことがあるのが片頭痛です。日本では1年間に約840万人が片頭痛に悩まされているデータがあるほど、片頭痛は身近な疾患で苦しんでいる人も決して少なくありません。
発症の割合をみてみると女性は男性の約4倍と多く、20~40歳代の働き盛りに多い傾向にあります。片頭痛の原因は、まだ全てが明らかになっていません。
- ストレスなど何らかの誘因により血管が収縮することで片頭痛が生じる血管説
- 神経細胞の活動変化が要因で生じる神経説
- 何らかの刺激により三叉神経から脳幹内の各種神経へ投射で生じる三叉神経血管説
上記のような仮説が立てられてきましたが、近年の研究により自律機能の調整を行う総合中枢(視床下部)が活性化することで片頭痛が生じるのではないかと注目が集まっています。視床下部の活性化が引き起こされる原因はストレスです。
また、気候や気圧の変化・環境の変化・生活リズムの変化・飲酒によっても視床下部を活性化すると考えられています。女性の発症率が高いのは、月経・妊娠・出産による女性ホルモンの急激な変化が関与していると考えられるでしょう。
群発頭痛
まず群発頭痛は眼球の収まる頭蓋骨のくぼみである眼窩(がんか)周囲、または側頭部の片側だけに耐え難い痛みを引き起こします。同側性の自律神経症状を伴う場合もあります。症状がみられるのは眼瞼下垂・流涙・鼻漏・鼻閉です。さらに群発頭痛は男性に多く、20〜40歳で発症する傾向にあります。
発作性である群発頭痛は1日1回以上の発作が1〜3ヶ月間にわたり起こる頭痛発作期と、その後数ヶ月~数年続く寛解期がみられます。しかし、人によっては寛解期がないことがあるため一概にはいえません。原因については不明な点が多く、いくつかの仮説が立てられています。
- 後部の視床下部が活性化して生じる説
- 三叉神経血管系の活性化から生じる説
- 内頸動脈の周囲の神経線維に何らかの興奮が発生して内頸動脈の拡張が生じる説
- 三叉神経の過剰興奮が副交感神経を活性化させて生じる説
これらの仮説がされる中で、群発頭痛には周期性があることから視床下部機能障害が示唆されています。さらに発作期には飲酒をすると群発頭痛を誘発するため、注意が必要です。
くも膜下出血
人間の脳を覆う3層の髄膜のうち2層目のクモ膜、3層目の軟膜の間には「クモ膜下腔」という空間があります。この2層目と3層目の間に出血が生じ、脳脊髄液中に血液が混入した状態がくも膜下出血です。脳血管障害の8%を占め、突然死の6.6%がくも膜下出血に該当するといわれています。
発症しやすいのは50〜60歳で、男性より女性の発症率が2倍多いのが現状です。さらに、くも膜下出血の恐ろしいところは突然死であるといえるでしょう。
- 突然ハンマーで殴られたり頭が割れたりしそうな激しい痛みと吐き気が起こる
- 突然に意識をなくして倒れる
- 突然に瀕死の状態になる
必ずしも前兆があるわけではありません。自覚症状がないまま、最悪の状況を迎えることも少なくないため注意が必要な病気であるといわれています。軽い頭痛の場合だとクモ膜下腔で少量の出血があるにも関わらず、くも膜下出血だと疑われず風邪と認識されることも多いです。もし普段の頭痛より違和感を覚えたら、しっかりと医師に伝えることが大切です。
ほかにも前兆として動眼神経麻痺(どうがんしんけいまひ)が起こることがあります。眼球を動かす神経が麻痺すると、まぶたが下がったり物がふたつに見えてしまったりする症状がみられます。
突然、目に異常が現れた場合には眼科だけでなく、脳神経外科を受診しましょう。
脳腫瘍による頭痛
脳腫瘍による頭痛は、二次性頭痛に分類されます。癌や自己免疫疾患者さんにみられる転移性のものや小児期後頭部痛も脳腫瘍によるものが多いです。
頭痛の頻度が増えていったり、吐き気や嘔吐を繰り返したりする症状が現れた場合には脳腫瘍による頭痛の可能性が高いといえるでしょう。
頭痛への対処法は?
慢性的な頭痛を抱えている人は多くいます。病院に受診することを前提として、ご自身で対処できる方法を3つ解説していきましょう。あくまでも対処法ですので、しっかり頭痛と向き合うことが大切です。
筋肉をほぐす
頭痛持ちの代表格である片頭痛では、ストレッチやお風呂に浸かるなどの筋肉をほぐすことが効果的であると判明しています。また、肩こりや首筋のコリも頭痛の原因となりますので、定期的に筋肉をほぐして負担を減らしていきましょう。
場所や時間を問わず簡単に生活に取り入れられるストレッチは、ストレスを緩和する効果も期待できるためおすすめです。
正しい内服
すでに病院へ受診していて、薬物治療を受けている方は正しい内服量を心がけましょう。多く服用すれば、さらに頭痛を引き起こす原因となることもあります。薬物療法でも頭痛が収まらないのであれば、医師に相談するようにしてください。
通院
頭痛を根本から治していくには、通院が必要となる場合もあるでしょう。特に日常生活にまで支障が出ている場合には、自身で行える対処法は難しいと考えてください。症状を悪化させないためにも、定期的な通院と医師によるカウンセリングは非常に大切です。
頭痛を感じていながら放置することは、くも膜下出血など注意が必要な病気のリスクを高める原因となります。同じ目線で寄り添ってくれて、幅広い治療方法と安心して治療に臨める病院を選びましょう。
軽い頭痛を放置するのは危険?
先述していますが、頭痛を放置するとさらに注意が必要な病気を引き起こしてしまう可能性を高めると認識しておいてください。突然死のリスクも高くなり、危ない状態を招きかねません。頭痛が起きた時の対応を医師と相談し、予め対処方法を講じておきましょう。
重大な疾患を発症している可能性がある
軽度の頭痛でも、少量のくも膜下出血を発症しているケースもあります。頭痛以外の症状が併発している場合にも、症状が急変するケースもみられるため注意が必要です。どのような頭痛の症状が出ているのか、いつからなのかをしっかり医師に伝えるようにしましょう。
頭痛持ちの方ほど見逃しやすい
慢性的な頭痛持ちの人は、普段とは違う頭痛でも見逃してしまう可能性が高くなる傾向にあります。ストレスと頭痛の時間的な関連性など、普段の様子を一目で把握できるメモなどがあれば、適切な治療に役立ちます。薬物療法を受けている場合には、服用した薬の量なども記入しておきましょう。
また、片頭痛と緊張型頭痛は心理社会的要因が密接に関係すると指摘されているため、頭痛の症状が悪化した場合にはすぐに医師に相談してください。
症状が軽くても危険な場合もある
症状が軽いなら、しばらく安静にしていると治まるケースもあります。市販の痛み止めで対処されている方も多いのが現状です。しかし根本的な治療にはならないため、仕事・家事・勉強などがはかどらなかったり日常生活に支障をきたしたりと大きな影響を与えます。
忙しい生活の中で、なかなか病院へ受診に行かない人もいるでしょう。しかし、症状が悪化すれば、治るのにも時間がかかるなどの弊害を及ぼすこともあります。症状が軽くても自覚した場合には、速やかに病院へ受診するよう心がけてください。
頭痛が治らなくてお悩みなら宮前平脳神経外科クリニックへ
宮前平脳神経外科クリニックは、通常の診療時間内で頭痛外来を行っている頭痛治療のスペシャリストです。さまざまな頭痛に対応しているため、軽い症状の頭痛でも正確に拾い上げて適切な治療を提供してくれます。頭痛に悩んでいる人はぜひ、一度足を運んでみてください。
優しさと技術で苦痛と不安に寄り添う
まだまだ解明されていない頭痛ですが、300以上の種類がある頭痛を大きく2つに分けて適切な治療を施していきます。
脳に病変のみられない一次性頭痛なのか、他の病気の症状として生じている二次性頭痛なのか、まずは詳細な問診と身体診察で調べているそうです。少しでも不安を和らげられるよう誠心誠意を持って診察してくれるので安心して受診できるでしょう。
設備が整っており、周辺医療機関との連携でMRI検査を行う
宮前平脳神経外科クリニックでは、即日で放射線被ばくの心配がないMRI検査を受けることが可能です。また設備も充実しています。注意が必要な二次性頭痛の心配がないかを丁寧に診断されており、周辺の医療機関とも連携しているので安心です。詳細な検査の結果、入院での再検査が必要となるケースもあるそうですが、正確な情報を基に診断するからこそ、早期発見と早期治療に全力を注いだ治療を提供しています。
頭や神経の悩みに頼られる脳のかかりつけ医を目指している
頭痛が悪化すると、日常生活に支障をきたすことが懸念されています。どのような頭痛でも、専門の医師がしっかりカウンセリングを行います。数多くの手術経験もあるため、信頼できるかかりつけ医になってくれるクリニックです。
さらに生活習慣の管理にも力を注ぐなど、患者さんに寄り添ったサポートをされている点も安心して治療を受けられるポイントです。生活習慣の改善やストレスとの向き合い方を学んで、悩みの種と頭痛の発症リスクを下げたい方は受診を検討してみてください。
宮前平脳神経外科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
京浜急行線 馬堀海岸駅 徒歩3分
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参考文献