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白内障手術後の生活 | 注意点も解説

 公開日:2024/01/22
白内障手術後の生活 | 注意点も解説

白内障手術は濁った水晶体を取り除いて人工のレンズを入れる手術です。

手術後の生活は感染や圧迫を防ぐため、注意すべき点がいろいろあります。

手術後の見え方に差異がある原因はレンズの種類や個人差によるものです。洗顔・入浴・運動・メイク・車の運転・飲酒・喫煙などの日常生活の過ごし方にも関わります。

また、仕事復帰や術後のケアなどの注意点を解説しますので参考にしてください。

柳 靖雄

監修医師
柳 靖雄(医師)

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東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

白内障手術後の生活について

白内障手術後の生活について
白内障手術後は一般的に通常通りの生活が可能です。手術後1週間程度は目に水が入らないように、汚れた手で目を触らないようにしましょう。
汗をかくような運動や力を入れる作業は控えましょう。テレビやパソコンなどの画面を見るときは1時間ごとに10分から15分の休憩を取るようにします。
目にゴミが入るような作業には保護メガネの着用がおすすめです。見えづらくなって強い痛みや充血があるときは眼科医に相談してください。
手術後の経過観察は一般的に、手術の翌日・数日後・1週間後・その後は病状に応じて行われます。

白内障手術には入院が必要?

白内障手術には入院が必要?
白内障手術は局所麻酔で行われる短時間の安全な手術で、ほとんどが日帰り手術で行われ入院の必要はありません。ただし、日帰り手術の条件に適さないときは入院が必要になります。
日帰り手術の利点は、仕事や日常生活のリズムを変えずにすむこと・入院の煩わしさがなくストレスが少ないこと・費用面の負担が軽いことです。
手術後の経過には個人差がありますが、手術から4〜5時間ほどで瞳孔が元のサイズに戻る過程でよく見えるようになった方もいます。
一方で、手術終了から数日間にかけて手術による炎症の解消や、眼内レンズでの新しい見え方の慣れで改善を実感する方もいるようです。

入院が必要なケース

白内障手術は日帰りで行うのが一般的です。ただし、入院が必要になることもあります。
入院が必要なのは、足腰が弱く通院が難しい方、1人暮らしで家事に不安な方、加入の医療保険の給付金が日帰りでは適用されない方などです。
入院期間は一般的に1泊2日から2泊3日くらいです。入院するかどうかは体調や生活環境、保険の加入状況などを考慮して決めましょう。
入院手術では翌日の診察や感染予防のための点眼などを病院で行ってもらえますし、家事や雑用をしなくて済む利点もあります。頼れる家族が近くにいない一人暮らしの高齢者も安心です。

日帰り手術が可能なケース

白内障手術は入院を伴わない日帰り手術で、手術自体は早くて約10分、手術後は約30分で帰宅することができます。
日帰り手術には手術が終わり次第帰宅できるというメリットがあります。外出の予定が入っている方や仕事が忙しい方などにはうってつけの手術です。
年齢が若く体力も一定量あり、併発している病気もない方は日帰りの手術を受けることができます。
日帰り手術後の帰宅困難な方・手術翌日の通院困難な方・白内障以外の眼病併発の方には、入院を伴う手術がおすすめです。

白内障手術後の生活で控えるべきこと

白内障手術後の生活で控えるべきこと
個人差がありますが、よく見えるようになるのは手術後4~5時間から数日間のようです。手術直後や回復期間中の生活には注意すべき点がいくつかあります。
眼科医の指示に従い目薬を点眼し、眼帯や保護メガネは着用しましょう。手術した目を清潔に保ち目に負担をかけないようにします。
紫外線やほこりなどから目を守るためサングラスがおすすめです。回復期間中は飲酒・喫煙・化粧・運動は控えましょう。
視力が変化したときは、裸眼視力が安定した1〜2か月後に眼鏡の作成ができます。術後の定期検診を受けましょう。

洗顔や入浴

洗顔や入浴
白内障手術後の洗顔や洗髪は感染や合併症を防ぐために、目に水やお湯が入らないようにしましょう。洗顔は清潔なタオルで軽く拭く程度にします。
入浴は首から下をシャワーするだけなら翌日から可能です。湯船につかったりシャンプーを使ったりは手術後1週間からにしましょう。
水泳や海水浴は手術の傷が落ち着く、1週間から1ヶ月後程度で、担当医に確認してからが望ましいです。温泉など旅行に関しては近場で短期なら手術後1週間から、遠距離(特に海外)旅行は1ヶ月ほど避けた方が無難です。
手術後は保護メガネや眼帯を着用し、処方された点眼薬を用法通りに使用してください。

運動

白内障手術後の運動は手術の種類や個人差によって異なります。詳細は眼科で主治医に尋ねましょう。ウォーキング・ラジオ体操などの軽い運動なら手術の翌日から可能です。
軽く汗をかく程度の運動なら手術後1週間くらい、筋トレ・ランニングなどなら2〜4週間くらいは控えましょう。
ゴルフは力まず走らない程度は手術後2週間後から、いつも通りラウンドを回るには1ヶ月後からが目安です。テニス・バドミントン・卓球は2〜4週間くらいは控えましょう。
水泳は水の中を歩く程度なら手術後1週間後から、ゴーグルをつけて泳ぐなら1ヶ月後からが目安です。なお、ゴーグルによる目の圧迫に注意しましょう。
運動を再開する際は必ず主治医に相談してください。また、運動中に目に異常を感じた場合はすぐに眼科クリニックへ連絡してください。

メイク

手術の当日は目の周りのメイクは避けるようにしてください。お化粧が可能となる時期は、手術後1週間が目安です。
手術翌日から目の周りを避けたメイクなら可能です。ただし、アイシャドウ・アイライン・マスカラなどの目元や眼の周りのメイクは控えてください。
眉のメイクは問題ありません。ただし、ファンデーションでも目や目元には触れず周囲の肌に塗ってください。
まつ毛のエクステンションは手術後1か月から、カラーコンタクトレンズも手術後1か月からにしましょう。

車の運転

車の運転
手術当日は目に眼帯や保護メガネをしていますので運転禁止です。どうしても運転しなくてはならない場合は、医師に相談して手術日を調整してもらいましょう。
手術後1週間程度は短距離・短時間の運転にとどめるべきです。新しい見え方に慣れるまで時間がかかることがあります。
手術後1ヶ月程度は遠距離・長時間の運転や夜間の運転を控えましょう。多焦点眼内レンズを入れると光のチラつきやまぶしさを感じることがあります。
白内障手術後の車の運転は眼科医の指示や判断に従うことが大切です。

飲酒・喫煙

白内障手術で傷口は非常に小さいですが、出血や感染のリスクがあり注意する必要があります。
アルコールは血管を拡張させ出血や炎症の原因になる可能性があり、手術直後は飲酒を控えてください。
一般的に手術後1週間ほどで傷口が塞がり、その後からなら飲酒してもあまり問題ないようです。
喫煙は血行を悪くし傷口の治りを遅らせます。タバコのニコチンや一酸化炭素は酸素の運搬能力を低下させ組織の修復を妨げる要因です。
喫煙は目に刺激となる煙や細菌感染のリスクがあり控えるべきとされます。完全な禁煙が難しい場合は、最低でも手術後1週間は喫煙を避けましょう。

白内障手術後の仕事復帰はいつから?

白内障手術後の仕事復帰はいつから?
白内障手術後の仕事復帰の時期は、仕事の内容や手術後の経過によって異なります。一般的に、デスクワークなど軽作業は手術の翌日から復帰可能です。
歩き回る仕事・運転を頻繁にする営業のような仕事は手術後1週間からが目安となります。目をこすったり触ったりしないよう注意し、目薬の点眼が必要です。
重たい荷物を運ばなければならないような仕事は2~4週間くらい控えてください。
なお、ほこりっぽい場所での作業は目の傷から細菌に感染する可能性がありますので要注意です。保護メガネなどでガードしてください。
仕事内容については主治医にも申告して、手術前に仕事復帰について相談し、必要に応じて安静に過ごしましょう。

白内障手術後に気を付けたい症状は?

白内障手術後に気を付けたい症状は?
白内障手術後に気を付けたい症状がいくつか挙げられます。目の痛み・充血などの不快感はありませんか。
目の感染・炎症・出血などの合併症はないでしょうか。眼圧の上昇・眼球内出血などの重篤な合併症はありませんか。
手術後に視力回復が遅い場合や視力が低下することはないでしょうか。これらの症状はすべての方に起こるわけではありません。
軽度であれば自然に治まる場合もあります。重篤な場合は視力低下や失明の危険もありますので注意が必要です。
手術後は定期的に検診を受けて眼科医の指示に従ってください。

黒い点のようなものが見える

白内障手術後に黒い点のようなものが見えるのは飛蚊症の可能性が高いです。飛蚊症は眼球の硝子体が濁ることによって視界に蚊が飛んでいるような影が見える現象です。
白内障手術によって視力が回復すると硝子体の濁りや影がはっきりと見えることがあります。
飛蚊症は一般的には無害で時間が経つと気にならなくなることが多いです。
しかし、光の閃光が急激に増えている場合は、網膜剥離や眼内炎などの合併症の可能性があります。
支障をきたす場合や長期間続く強度の飛蚊症は治療できますので、早めに眼科医に相談してください。

ひどい充血がある

白内障手術後の目のひどい充血は、手術中に目の表面の血管が切れたり炎症が起こったりすることが原因です。
手術の副作用としてよく見られる現象であり、目薬をしっかりさしていれば、通常、3日~7日ほどで自然に治ります。
目を清潔に保ってこすったりせず負担をかけないようにして、処方された目薬を指示通りに点眼しましょう。
しかし、強い痛みや違和感がある場合や、視力や視界が急激に低下する場合は注意が必要です。
充血や出血が長く続く場合や、発熱や頭痛などの全身症状がある場合も注意してください。
これらは合併症の可能性があるため、早期の診断と治療が必要です。

急に見えにくくなった

白内障手術後に急に見えにくくなる場合、いくつかの原因が考えられます。
後発白内障は手術で水晶体を取り除いた後、水晶体を支えていた膜が濁って視力が低下する現象です。
前嚢収縮白内障手術時に円形に切開した窓にあたる部分の前嚢が術後に収縮しています。
いずれも軽度で視機能に影響がない場合は特に治療は必要ありません。
視機能に影響がある場合は治療が必要となり、外来のレーザー治療なら短時間で終わるため痛みもありません。
これに対し、細菌性眼内炎は手術の傷口から細菌が目に入り炎症を起こす重篤な合併症です。早急に抗生物質などの治療が必要です。

痛みがある

白内障手術後に軽いゴロゴロ感やチクチク感は普通で、時間とともに自然に消えていきます。
ただし、強い痛みや赤みがある場合は合併症かもしれません。手術後は一時的に目の圧力が高くなって重い鈍い痛みを感じることもあります。
手術で傷口から細菌が目の中に入り込んで化膿した状態になると、眼内炎となり失明する恐れがあります。
手術後の高眼圧は手術による炎症や眼の中を手術で触ったことによる一時的な眼の機能低下ですが、2~3日で正常な眼圧に戻ることがほとんどです。
目に痛みを感じた場合はすぐに眼科医に相談してください。

再び白内障のような症状がみられる

白内障手術後に再び白内障のような症状がみられるのは、後発白内障の可能性が高いです。
後発白内障は、手術で入れた眼内レンズを包んでいる水晶体嚢が濁ってしまうことで起こります。
白内障手術を受けた人の約20%が5年以内に発症するといわれ、症状が現れるのは早い場合は数週間、遅い場合は数年後です。
進行する病気ではありませんが、放置すると視力低下が進み治療が困難になることもあります。
レーザー治療が主流で外来で行えて数分で終わり痛みもほとんどありませんし、翌日には視力が回復します。早めに眼科で診察を受けることが大切です 。

白内障手術後に行うケア

白内障手術後に行うケア
白内障手術後は感染や圧迫を防ぐために適切なケアが必要です。保護メガネを使用して目を守りましょう。手術当日は運転は避けて目の負担を減らします。
手術直後は目に過度な圧力がかかるのを避けるために前屈みの姿勢をとらないようにしましょう。可能な限り、手術のすぐ後はくしゃみや嘔吐をしないことです。
手術後は目をこすらないようにして慎重に歩行するようにしましょう。ドアやその他の物にぶつからないようにすることです。
手術後数週間はほこりや砂塵・風などの刺激にさらされないようにしましょう。重い物の持ち上げや激しい運動を控えてください。
手術後1週間は水泳やお湯を入れたバスタブの入浴は避けましょう。手術後は定期的に眼科で検査を受けて経過観察や点眼指導を受けてください。

処方された点眼薬を使う

処方された点眼薬を使う
点眼薬を正しく使用すれば、炎症・感染・合併症を予防し視力の回復を促進できます。一般的な処方は、抗生物質・抗炎症薬・ステロイドの点眼薬です。
抗生物質は抗菌効果、抗炎症薬は炎症予防、ステロイドは抗炎症作用があります。
しっかり手を洗い、目薬の先端が目やまぶたに触れずに、下まぶたを引き下げて点眼しましょう。
通常、手術後2〜3ヶ月使いますが、医師の指示があるまではきちんと点眼して自己管理をすることが大切です。治ったと感じても、眼科医の指示があるまで使い続けましょう。
点眼薬の種類や使用方法は事情により異なりますので、眼科医の指示に従ってください。

手術後は目をいじらない

白内障手術後は感染や圧迫などのリスクを避けるために、目の傷が治るまでは目をいじらないことが大切です。
目を触ったり目を押さえたりしないようにしましょう。目をこすったり強く押したりすると、眼内のレンズがずれたり傷ついたりする恐れがあります。
また、濡れた手で目を触ってまだ傷のある目に水や汚れが入ると引き起こされる可能性があるのは、感染性眼内炎という合併症です。
感染性眼内炎には視力低下や失明の危険があり治療が必要になります。目に何らかの大きな変化があったら、早急に眼科医に相談してください。

異物が入らないように注意する

目に異物が入ると感染症のリスクが高まり、視力が低下したり失明したりする危険性があります。
目に異物が入らないように、手術後1週間は保護メガネをかけてください。保護メガネは接触や圧迫を防ぎホコリや細菌の侵入を防ぎます。
また、手術後1週間は洗顔や洗髪で水が目に入らないように注意が必要です。目の周りの化粧も感染の原因になります。
手術後1ヶ月は水泳や海水浴を避けましょう。水泳や海水浴では目に水が入りやすく感染原因となる菌も多いです。
手術後の翌日・1週間後・1ヶ月後には眼科で検診を受けてください。

編集部まとめ

編集部まとめ
白内障手術と手術後の生活に関連する事項を解説しました。白内障手術で目の見え方は回復します。

手術後の生活では、細菌感染や圧迫を防ぐように注意して生活してください。

  • 白内障手術と入院ついて
  • 手術後の仕事への復帰
  • 気を付けたい症状
  • 手術後のケア

などについて説明しました。

手術後の目の見え方はレンズの種類や個人差によって異なります。気になることがあればぜひこの記事を参考にしてください。

この記事の監修医師