｢白内障手術を受ける前に知っておきたい注意点｣を眼科医が解説 手術前日･当日の流れ､術後の通院など

市川先生

白内障は、目の中のレンズの役割をしている「水晶体」というところが白く濁ってくる病気で、主な原因は老化です。正常な水晶体はほぼ透明ですが、加齢によって年々濁ってきて、光が十分に通らなくなります。だいたい50〜60歳くらいから発症すると言われており、80歳くらいになるとほとんどの方に白内障が認められます。

市川先生

白内障の症状としては主にかすみ、ぼやけ、まぶしさなどがありますが、これらの症状は徐々に進行するため、自覚しづらい場合もあるのです。例えば、眼鏡の度数が頻繁に変わってしまう場合、「老眼が進んだ」と思ってしまう方も多いのですが、「核性白内障」の初期症状の可能性があります。このタイプの白内障は、早めの手術が推奨されるので、思い当たる方は早めに受診してください。

市川先生

そうですね。白内障の根本治療は、手術しかありません。濁った水晶体を取り除き、その代わりに人工の水晶体である眼内レンズ（IOL）を挿入するという方法です。初期の白内障であれば、点眼薬で少し様子をみて治療を先延ばしすることもできますが、こちらはあくまで対症療法ですね。

市川先生

まずは一般検査やカウンセリングをおこない、眼内レンズ（IOL）の度数などを決めていきます。手術は点眼麻酔と眼内麻酔でおこなうため、ほかの病気がある方でもほとんど問題なく手術は受けられますが、念のため高血圧、糖尿病、心疾患などがある場合は、前もって内科医に白内障手術を受けることの了承を得ていただきます。ほかには、3日前から目薬を点眼していただきます。手術自体は通常であれば10分以内で終わります。

市川先生

必要です。術後の状態によって差はありますが、一般的には術後翌日・翌々日・5日目・2週間後・3週間後・1ヶ月～6ヶ月後までは月に1～2回・6ヶ月～1年後までは月に1回といった通院スケジュールです。

市川先生

術後しばらくの間は、ある程度の制限があります。まずは、術後の目を守るため「保護用眼鏡」をつけていただきます。着用期間は、屋内で手術後約1週間、屋外では手術後1ヶ月です。

市川先生

紫外線にさらされるリスクが高い場合を除き、通常はデスクワークの方で手術後3日目から、汗をかくような重労働の方でも手術後5日目からの仕事復帰が可能です。ただし、復帰後すぐは、無理をしないように心がけてください。

市川先生

運動はウォーキング程度であれば翌日から可能、そのほかは医師に相談してください。プールなどは、術後1ヶ月はお控えください。一般的に運転は手術の翌々日から可能です。

市川先生

手術翌日から入浴はできますが、手術4日目までは、お湯や水に顔をつけないようにしてください。同様に、洗顔や洗髪も手術5日目以降となります。ただし、目の中に水が入らなければ良いので、洗髪に関しては美容院などにて上を向いた状態で洗ってもらう分には問題ありません。

市川先生

ほとんどの方は、翌日からすぐに見えるようになります。注意点として、手術で急に濁りがとれると光がたくさん入り、視界がまぶしく感じられます。 しかし、時間の経過とともに気にならなくなってくるので心配はいりません。

市川先生

結論からいうと、手術にリスクはほとんどありません。しかしながら、ごく稀に、傷から菌などが入って眼内炎となってしまうことがあります。合併症などで追加の手術を必要とするとこもありえますが、おおよそ1％くらいの割合です。これは、術後の感染対策をしっかりしていただくことで防ぐことができます。

市川先生

白内障は誰にでも必ず起こる加齢変化ですが、手術で治すことができます。手術にリスクはほとんどなく、安全性が非常に高いと言われているものの、やはり90歳を超えるとお気持ち的になかなか踏ん切りがつかなくなる方も多いようです。症状が進行する前に早めに対応しておくのが一番なので、何か気になる症状がある方は、まずは一度受診されるのをお勧めします。