更年期のホルモン補充療法にかかる治療費用はどのくらい?保険適用や更年期障害の症状・ホルモン補充療法がおすすめな方も解説
年齢を重ねると、更年期障害に悩まされる方が増えてきます。特に女性は更年期になるとホルモンのバランスが乱れ、それまで経験したことのないさまざまな不調を感じるなど、日常や社会生活にまで影響するケースが多いです。
ホルモンバランスの乱れによる更年期障害に対しては、ホルモン補充療法(女性ホルモン)の利用を検討してみましょう。更年期に不足しがちなホルモンを補充できる療法です。
ホルモン補充療法(女性ホルモン)には、どのくらいの治療費用がかかるのか、不安に思う方も多いでしょう。今回は、更年期に有効なホルモン治療費用の目安を紹介します。
これからホルモン補充療法(女性ホルモン)を受けようか検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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更年期のホルモン補充療法にかかる治療費用はどのくらい?
更年期障害の対策として有効なホルモン補充療法(女性ホルモン)には、どのくらいの治療費用がかかるのでしょうか。これは、受診する医療機関によって違いがあります。
具体的な治療費用は、受診する医療機関で相談する必要があるでしょう。しかし、ある程度の相場を知っておくと、医療機関で相談を受ける際の基準にできます。
ホルモン補充療法(女性ホルモン)の費用は、保険が適用される場合には月間2,000~5,000円程度を目安と考えておきましょう。
ホルモン補充療法(女性ホルモン)にかかる治療費用の目安を理解し、カウンセリングを受けて安心できるクリニックで治療を受けましょう。
ホルモン補充療法の治療費用の目安
ホルモン補充療法(女性ホルモン)によって、どれくらいの費用がかかるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
ホルモン補充療法(女性ホルモン)の治療費用について、治療の種類ごとの目安を紹介します。ホルモン補充療法には、主に以下の3種類です。
- 経口剤
- 貼付剤
- 塗布剤
それぞれの種類に特徴があり、メリットとデメリットがあるため、専門の医師と相談しながらご自身に適した方法を選択しましょう。
また、実際の治療費は相談する医療機関によって違いがあります。治療前のカウンセリングで確認をしておくなど、おおよその費用について理解しておきましょう。
以下で、それぞれの治療の種類ごとの特徴と費用の目安を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
経口剤
経口剤とは、錠剤などの薬剤を口から飲用するタイプです。投薬治療といえば経口剤を連想する方も多いのではないでしょうか。
経口剤は必要な分量を飲んで摂取するため、場所や時間を問いません。簡単で便利な方法といえるでしょう。
しかし、胃腸や肝臓に負担がかかるというデメリットがあります。口から入った薬剤は、胃腸で吸収されて肝臓を経由し血液と一緒に運ばれるのです。
胃腸や肝臓の機能に不安がある方にとっては、身体への負担を増やしてしまう恐れがあります。カウンセリングを受けたうえで摂取する分量を守るなど、専門の医師と相談しながら治療を進めましょう。
また近年では、副作用が比較的少ない生薬を使った漢方を経口剤の代わりに処方する、漢方療法もあります。
経口剤の購入費用は、2,000~6,000円(税込)程度が目安です。漢方療法の購入費用は、3,000~4,000円(税込)程度が目安となっています。
貼付剤
貼付剤は、湿布などのように身体に貼って使用するタイプの薬剤です。薬剤の成分が皮膚から浸透して血液に入っていくため、胃腸や肝臓への負担がかかりません。
貼付剤を利用する際の注意点は、皮膚症状におけるトラブルです。体質によっては、かゆみやかぶれなどの皮膚症状が出てしまう恐れがあります。
また、長期間の使用でもかゆみやかぶれなどの皮膚症状が出現する原因です。どの種類の治療方法を採用するかは、自己判断をせずに治療を受ける医療機関の専門の医師と相談をして決定しましょう。
貼付剤の購入費用は、3,000~6,000円(税込)程度が目安です。
塗布剤
塗布剤は、直接身体に塗布して薬剤の成分を取り入れるタイプの薬剤です。貼付剤と同様、皮膚のトラブルが発症する恐れがあるものの、胃腸や肝臓に負担をかけずに利用できます。
さらに、経口剤と比べて安全性が高いとされる薬剤です。閉経前に卵巣からエストロゲンが分泌され、直接全身循環系へ運ばれていたときと同様の働きがあります。
塗布剤の有効成分は、卵巣が分泌しているものと同じエストロゲンの17β-エストラジオールを0.06%配合した天然型ゲル製剤です。
塗布剤を皮膚に塗ると、角質層に浸透して物質が高濃度に集積する場所から低濃度な場所へと自発的に移動する受動拡散という現象を起こします。
受動拡散され毛細血管にまでエストロゲンが浸透するため、血中濃度が安定した状態で維持されることにより更年期障害の症状を緩和できるのです。また、塗布剤は貼付剤と比べると、外観から目立たないというメリットもあります。
塗布剤の購入費用は、3,000円~6,000円(税込)程度が目安です。
ホルモン補充療法は保険が適用される
一般的には、ホルモン補充療法(女性ホルモン)は保険が適用されるケースが多いです。医療行為に含まれる療法であるため、受診者は治療費の3分の1の負担で済むケースが多いでしょう。
保険が適用される場合のホルモン補充療法の目安としては、高くとも月間5,000円程度です。月間2,000円程度で治療を受けている方が多いというアンケート結果もあります。
初回の診療では検査費がかかったり、定期的な検査の実施により追加で費用がかかったりと費用は高くなることが多いです。
受診する医療機関で事前にしっかりと相談をして、治療費用について理解しておきましょう。
更年期障害の症状
ホルモン補充療法(女性ホルモン)の利用を検討する前に、更年期障害にはどのような症状があるのかを理解しましょう。ホルモン補充療法を受けるのがよいのか、別の治療が適切なのかを判断する基準にできます。
更年期障害になった場合に発症しやすい症状は、以下の5種類です。
- ホットフラッシュ
- めまい
- 肩こり・腰痛・頭痛
- イライラしやすい
- 気分の落ち込み
更年期とは、一般的には45~55歳頃の時期を指します。更年期の年代になってから、普段とは違う身体や心の異常を感じた場合には、更年期障害の可能性を疑ってみましょう。
ホットフラッシュ
ホットフラッシュとは更年期障害でみられる症状の一つです。特に12ヵ月以上無月経なる閉経前後から約5年の間で日本女性の平均閉経年齢である約49.5歳から発症することが多く、とても個人差が大きく出る症状になります。
ホットフラッシュは更年期障害の内、約4~8割の人にみられる症状です。ホットフラッシュが起こる原因は、閉経することでエストロゲンの分泌が低下します。
そのため、脳にある自律機能の調節を行う総合中枢とされる視床下部から、性腺刺激ホルモンの放出が促進され、持続的な交感神経の勢いが高ぶる状態となることで発症するのです。
ホットフラッシュでよくみられる現象は、以下の通りになります。
- 血圧の変化なく脈拍が上がる動悸
- 突然の発汗
- 持続するほてり
- 手足の冷え
- 腰痛
- 季節や昼夜問わず症状がでる
これらの症状は、総称して血管運動障害ともいわれるものです。血管運動障害が数ヵ月~数年続くことにより、食欲不振や血圧が上がってしまうなど日常だけでなく社会生活にも支障をきたします。
症状が重たい方は、治療が必要となることもあるので注意が必要です。
めまい
更年期障害の主な症状の1つに、めまいがあります。めまいの種類はさまざまです。症状を大きくまとめると3種類になります。
- ぐるぐる回っている感覚が継続する回転性めまい
- ふらふらする動揺性めまい
- 気を失いそうになる失神型めまい
めまいは、女性に起こりやすい症状であると考えられており、特に更年期の女性に多いです。女性ホルモンの急激な減少により、自律神経のバランスが乱れてめまいを引き起こすと考えられています。
ひどいめまいを覚える場合は、ホルモンバランスの乱れとは異なり、より重篤な病気である可能性もあります。症状が治まらず生活に支障をきたしている場合は、早めに専門の医師に相談しましょう。
肩こり・腰痛・頭痛
肩こり・腰痛・頭痛も、更年期障害の症状の主なものに分類されます。これらの症状は、更年期に関係なく、日常的に感じている方も少なくないでしょう。
しかし、更年期になるとそれまで感じていた以上のひどい痛みを感じるケースが多いです。その原因は、女性ホルモン分泌量が急激に減少することであると考えられています。
女性ホルモンの減少により自律神経のバランスが乱れ、血行不良を引き起こしてしまうのです。身体の血行が悪くなると、身体の代謝がスムーズにいかなくなり老廃物が蓄積してしまいます。
その結果、肩こり・腰痛・頭痛などの症状が重くなるのはよくみられる現象です。さらには自律神経の乱れにより、痛みに敏感になってしまうという側面もあるでしょう。
イライラしやすい
イライラしやすくなるのも、更年期障害の主な症状です。更年期になると、以前ではあまり気にならなかったようなことでも、イライラが止められなくなるでしょう。
突然焦燥感にかられてしまったり、ささいなことが気になり腹が立ってしまったりします。感情のコントロールがうまくいかなくなることが多いといえるでしょう。
更年期でイライラしやすくなる原因は、女性ホルモンの減少に伴ってセロトニンが不足してしまうことだと考えられています。セロトニン不足により、感情をコントロールできなくなってしまうのです。
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、感情をコントロールし精神を落ち着かせる作用があります。ホルモンバランスを整えることで、イライラを鎮める効果が期待できるでしょう。
気分の落ち込み
更年期には、気分が急速に落ち込んでしまうケースも多いです。物事に対して興味がなくなり、気分が落ち込んでやる気を失ってしまう方が増えて、うつ症状のような状態に陥ってしまいます。
更年期に気分の落ち込みがみられる要因の主なものは、女性ホルモンの減少による自律神経の不調です。女性ホルモンの減少に起因して視床下部・下垂体の機能が低下し、自律神経や精神神経関連の症状を引き起こしてしまいます。
また、更年期の年代は外部的な要因でストレスを感じやすい時期です。親の介護や子育てを終えたことへの喪失感など、心理的なストレスを受ける要因が重なる時期でもあります。
身体のホルモンバランスの変調に加え、外部からのストレスが重なり、うつ状態に陥ってしまう方が多いです。
ホルモン補充療法がおすすめな方
以上で紹介したように、更年期にはホルモンバランスの変調により身体的・精神的な不調を引き起こしてしまいます。更年期障害の多くがホルモンに関連しているため、ホルモン補充療法(女性ホルモン)は効果が高いと考えられています。
ホルモン補充療法(女性ホルモン)をおすすめできる方とは、どのような方でしょうか。ホルモン補充療法(女性ホルモン)を試すのに向いている方の特徴を、以下に3例紹介します。
- 更年期障害の症状がある方
- ホルモンバランスが悪い方
- 健康を維持したい方
それでは詳しくみていきましょう。
更年期障害の症状がある方
更年期障害の症状を持っている方には、ホルモン補充療法(女性ホルモン)がおすすめです。めまい・肩こり・イライラ・気分の落ち込みがひどい場合は、更年期障害の疑いがあります。
更年期障害の多くがホルモンバランスの乱れに起因していると考えられています。特に、女性ホルモンの不足が顕著にみられる時期です。
ホルモン補充療法(女性ホルモン)を用いて、不足するホルモンを体内に取り入れることで、更年期障害の症状の緩和が期待できます。
ホルモンバランスが悪い方
ホルモンバランスが悪い方にも、ホルモン補充療法(女性ホルモン)はおすすめです。更年期に限らず、ホルモンバランスがもともと悪い方もいるでしょう。
また、生活習慣の乱れからホルモン分泌が悪くなる場合もあります。
ホルモンの分泌は、食生活や睡眠など基本的な生活習慣を見直すことで、改善が期待できます。しかし、場合によっては生活習慣の改善では追いつかないケースもあるでしょう。
ホルモン補充療法は直接的にホルモンを取り入れられるため、ホルモン不足により生じる症状の改善が見込めます。
健康を維持したい方
健康を維持したいと希望する方にも、ホルモン補充療法(女性ホルモン)はおすすめです。生活習慣に気を付けていても、ホルモンの減少は多かれ少なかれ避けられません。
減少したホルモンを増やすのに、ホルモン補充療法(女性ホルモン)は非常に有効です。具体的な症状が現れる前からホルモン補充をすることは、健康を維持するうえで一定の効果が見込めるでしょう。
ホルモン補充療法(女性ホルモン)は、一人ひとりの身体の状態によって、適切な分量や種類が異なります。必ず専門の医師と相談しながら治療を進めましょう。
また、日本国内においてはホルモン治療における承認されている医薬品はありません。
諸外国における安全性等に係る情報としては、FDA(アメリカ食品医薬剤局)に承認されているので、ご参照ください。
編集部まとめ
更年期障害の治療には、ホルモン補充療法(女性ホルモン)が適しています。直接的に不足するホルモンを体内に取り入れられるため、高い効果を発揮するケースが多いです。
さらに更年期障害の症状を改善しながら、健康・美容・精神的安定など身体全体のバランスを重視した治療としても注目されています。
更年期障害対策にホルモン補充療法(女性ホルモン)の治療費用は、医療機関ごとに異なるため、複数の機関を比較するのもおすすめです。
症状や身体の状態によって、適切な治療方法にも違いがあります。専門的な視点から適した治療を勧めてもらえるという点でも、専門の医師のカウンセリングを受けてご自身に合ったおすすめのホルモン治療を受けましょう。
参考文献