白内障手術ってどんな手術?術後の見え方は?合併症や注意点についても解説
白内障は加齢とともに発症リスクが高まる目の疾患です。進行に伴い、見えにくさや視力の低下が起こるものの、手術により症状を改善できます。
しかしどのような手術を行うのか、また術後の見え方がどのように変化するのか、不安に感じる方も少なくないでしょう。
この記事では、白内障手術の概要と術後の見え方を解説します。留意すべき術後の合併症や注意点もまとめているので、参考にしてください。
監修医師:
白矢 智靖(白矢眼科)
国保旭中央病院眼科 勤務
東京大学医学部附属病院眼科助教
東京大学医学部附属病院眼科特任講師
東京大学医学部附属病院眼科講師
公立昭和病院アイセンター部長(2023.4~)
目次 -INDEX-
白内障手術とは
進行した白内障の根治的な治療法は手術のみです。
ここでは、白内障手術とはどのような手術なのか、概要を3つのポイントに分けて解説します。
眼内レンズの選び方
白内障手術は混濁した水晶体を取り除き、眼内レンズと呼ばれる人工の水晶体を挿入するのが一般的です。
天然の水晶体とは異なり、眼内レンズにはピントを調節する力がないため、ご自身のライフスタイルに合わせた眼内レンズを選ぶことが大切です。
眼内レンズは、大きく単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズに分かれます。
単焦点眼内レンズは、一つの距離にピントを合わせます。メガネなしで遠くを見たいのか近くを見たいのか、自身の希望に合わせてレンズを調整します。ピントを合わせた距離以外は見えにくいため、メガネでピントを調整することになります。細かい作業をする方や、一定の距離を見ることが多い方におすすめです。
多焦点眼内レンズは、複数の距離にピントが合うレンズです。遠くと近く、遠くと中間などに合わせることが可能なため、あまりメガネを使いたくない方におすすめです。ただし、単焦点レンズに比べると見え方のシャープさは劣ります。
手術の流れ
白内障手術は基本的に点眼麻酔を使用するため、痛みを感じにくい手術です。手術が始まると、まず水晶体を包んでいる水晶体嚢に2~3mmの切開を行います。この工程は大変精密な作業となるため、一般的に顕微鏡を用いて行われます。切開にレーザーが使用されるケースもあります。
次に切れ目から超音波手術装置を挿入し、混濁した水晶体を砕きながら吸引し除去します。そこに代わりとなる眼内レンズを挿入します。創口は自然と閉鎖する構造となっており、縫合は必要ありません。
眼の状態によって異なりますが、手術時間は30分程で終了します。
費用相場
一般的に一箇所に焦点を合わせる単焦点眼内レンズを使用する白内障手術(水晶体再建術)は、保険適用となります。負担割合は患者さんの年齢や所得に応じて異なりますが、3割負担の患者さんで片眼40,000~50,000円程度です。1割負担の患者さんであれば、8,000~18,000円程度です。
一方、複数個所に焦点が合う多焦点眼内レンズは保険適用外となり、300,000〜400,000円(税込)程度の費用がかかります。
白内障手術後の見え方
白内障手術を受けた後、すべての患者さんが同じような見え方となるわけではありません。術後の見え方として代表的な5つの例を取り上げます。
よく見えるようになる
白内障以外に目の異常がなければ、手術前よりもよく見えるようになるでしょう。全体的に見えやすくなるとともに、周辺視野が広がり色覚も改善されます。手術の翌日から効果を実感できるのも、白内障手術を受ける利点です。
ただし、多焦点眼内レンズの場合はメガネを使用せずに全体のピントが合わせやすい一方で、単焦点眼内レンズよりも見え方の質が劣る可能性があります。また人工レンズを使用しているため、天然の水晶体による見え方と同じ状態になるとは期待しないようにしましょう。
まぶしいと感じることがある
以前よりも明るさが強く、まぶしいと感じる場合があります。この症状を羞明(しゅうめい)と呼びます。このように見えるのは、手術前にあった水晶体の濁りが急になくなったために大量の光が目に入ってくるためです。
大半の患者さんは時間の経過とともに目が慣れて、まぶしさは感じなくなるか気にならなくなります。まぶしすぎて目が開けられない場合には、サングラスをかけて対処してみましょう。
青みがかって見えることがある
全体に青みがかって見えると感じる方もいます。この症状は青視症(せいししょう)と呼びます。
水晶体は加齢によって混濁するとやや黄色味を帯び、青色のような短波長の光が入りにくい状態です。しかし手術で混濁がなくなると青色の光も入りやすくなるため、青みを強く感じることがあります。
特に片眼のみを手術した際に、左右差を感じて気になる可能性が高いです。多くの患者さんが3ヶ月程度で慣れるものの、異常感が強い場合は黄色味のある薄茶色のサングラスを使用すると解消しやすいでしょう。
黒いものが飛んで見えることがある
視界に黒いものが飛んでいるように見えたり、それが以前よりも増えたように感じたりするケースもあります。この症状は虫が飛んで見えることから、飛蚊症(ひぶんしょう)と呼ばれます。
飛蚊症は硝子体中の混濁で生じた陰影が網膜に投影されているもので、眼球運動とともに混濁も移動するために黒いものが飛んでいるように見える現象です。
これは手術が原因で生じるわけではなく、視界がクリアになったことで今まで見えにくかった陰影が、はっきりと見えるようになった可能性が高いです。
ハロー・グレア現象が起こることがある
ハロー・グレア現象は、夜間の光に対する見え方の不具合を指します。
ハロー現象は、光源を取り囲むように光の輪が見える状態です。眼内レンズ周囲の光の散乱や眼内レンズと角膜の相互作用によって生じるとみられています。
グレア現象は、強い光が目に入り、視野にまぶしさや拡散した光のハイライトが現れる状態です。眼内レンズ表面で起こる光の散乱や、レンズ内の光の反射によるものとされています。
徐々に慣れてくる方が多いものの、時間が経過しても気になる方は眼科で相談してみましょう。
白内障手術後の合併症リスク
白内障手術は日本で行われている外科手術のなかでも特に多い内眼手術で、安全性が高いといわれています。しかし稀ではあるものの、合併症を起こすリスクもあります。発症する恐れのある4つの合併症を解説します。
細菌性眼内炎
白内障手術の合併症で特に危険度が高いのは細菌性眼内症です。術後数時間~数日後に突然視界が悪くなり強い痛みや充血が生じます。
発生頻度は2,000〜5,000人に1人といわれていますが、治療が遅れた場合には失明の危険を有する程の重篤な合併症です。
治療は、抗生物質の局所投与・全身投与や硝子体手術によって行われます。
後発白内障
手術により症状が改善されたにも関わらず、まぶしさや目の霞みを感じ再び白内障になったような見え方になるケースがあります。この症状は後発白内障と呼ばれる合併症です。水晶体を混濁させる原因となる水晶体上皮細胞が、時間をかけて再度増殖するために起こります。
5年で約20%の患者さんが発症し、その後はさらに発症する症例が増加するとも報告されています。しかし、進行してもレーザーによる後嚢切開で治療が可能です。
眼圧上昇
通常、白内障手術を行うと眼圧は下降傾向にあるものの、約0.39%の発生頻度で手術直後に一時的な眼圧上昇がみられる場合があります。眼圧上昇に伴い、吐き気や頭痛も生じるでしょう。内服薬や点眼薬でコントロールし、1~2日程度で下降します。
眼内レンズの傾きや脱臼
白内障手術を受けた患者さんの約3%に、眼内レンズの傾きや脱臼がみられるといわれています。術後早期に発症する場合、水晶体嚢の破損やチン小帯断裂による眼内レンズの固定不良が原因となっているケースが多いです。このような症例では、基本的に早期に再手術が必要となります。
一方で術後3ヶ月以降に発症する場合、水晶体嚢ごと眼内レンズが脱臼しているケースが多くみられます。主な原因は落屑症候群・網膜色素変性症・高度近視・外傷です。眼内レンズの傾きや脱臼が起こると、眼内レンズを摘出して交換し縫着か強膜内固定によって処置しなければなりません。
白内障手術後の注意点
白内障手術後の目は大変デリケートです。術後の合併症を引き起こさないために、日常生活で気を付けておくべき4つの注意点を取り上げます。
安静・清潔にする
術後の目を守るためには、術後1週間程度は安静にし目の清潔を保つよう心がけましょう。日常の家事や室内でできるデスクワークなどは、手術の翌日から行えます。ただし適度な休憩を挟むようにし、汗をかくような運動や重労働は控えた方がよいです。
目を酷使する運転も術後1週間は避けて、術後の目の状態に慣れましょう。また、医師の指示通りに点眼薬を差すのを忘れないことも大切です。
急な視力低下に注意する
術後に急な視力低下を感じた場合は、眼内炎を発症している可能性が考えられます。見え方に変化が生じた際には放置せず、なるべく早急に眼科を受診しましょう。
洗顔・洗髪を控える
水が目に入ると感染症を起こす危険があります。術後1週間は洗顔・洗髪を控えるべきです。洗顔をしたい場合は固く絞ったタオルでお顔を拭き、医師の許可が出た後も洗顔中に眼球を圧迫しないように注意しましょう。
また洗髪はドライシャンプーで代用するか、美容院でお顔に水がかからないように洗髪してもらうことも検討できます。医師の許可が出た後の洗髪では、水やシャンプーが目に入らないように気を付けて行います。
飲酒・喫煙を控える
術後1週間は、飲酒・喫煙を控えましょう。アルコールは炎症悪化のリスクがあり、たばこの煙は目に刺激を与えます。
一方で、食事内容には制限がありません。術後はアルコールやたばこなどの嗜好品は避け、栄養バランスのよい食事を摂るようにしましょう。
白内障手術のことなら白矢眼科にご相談を
白内障手術を検討されている方は、東京都小平市の小平駅周辺にある白矢眼科を受診してみてはいかがでしょうか。
白矢眼科は、白内障や緑内障、また糖尿病・アレルギーから生じる眼疾患など幅広い症例の診療にあたっている眼科です。以下に白矢眼科の3つの特徴を紹介します。
経験豊富な医師による白内障手術
白矢眼科は、院長の白矢先生をはじめ、日本眼科学会 眼科専門医の資格を有する医師が多数在籍しており、患者さんの目の悩みに日々対応されています。
白内障手術を担当されているのは、公立昭和病院アイセンター部長でもある白矢先生と、慶応義塾大学眼科学教室の特任講師でもある小橋先生です。
目の手術には不安を覚える方も少なくないため、大学病院で豊富な経験を積まれた医師たちによる治療を受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。
豊富な眼内レンズから患者さんに適切なレンズを選択
白矢眼科では単焦点眼内レンズから多焦点眼内レンズまで、豊富な種類の眼内レンズを取り扱っています。そのため、患者さんの希望に合わせた適切なレンズが選択可能です。
単焦点眼内レンズか多焦点眼内レンズかによって、手術費用や見え方は異なります。選択肢が幅広く用意されているからこそ、医師と相談しながら、自分の視力の状態や生活習慣に合ったレンズを選択することで、術後の満足度を高めることができるでしょう。
先進的な機器を完備し安全性の高い手術を提供
取り扱っている医療機器によって、手術の精度には差が生じます。白矢眼科は安全性が高く効率的な手術を行うために、先進的な機器を完備しています。
代表的なのは、手術中に変動する眼圧を一定に保つCENTURIONやVERITASビジョンシステムです。これにより術中のリスクを軽減しています。
また、大画面モニターに表示された高精細な立体画面を見ながら手術が行えるNGENUITYも導入し、手術の正確性を向上させているそうです。
さらに、手術室はクリーンルーム空調システムで清浄度を保ち、術中の空気感染予防も徹底しています。
このように白矢眼科は医療機器を充実させ、合併症リスクの少ない治療に尽力されています。白内障手術に不安がある方は、白矢眼科に相談してみてはいかがでしょうか。
白矢眼科の基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療期間・治療回数
西武新宿線 小平駅南口より徒歩2分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~12:00 | ● | ● | - | ★ | ● | ● | - | - |
14:00~17:00 | ● | ● | - | - | ● | - | - | - |
★9:00~11:50まで
※水曜は終日手術日のため、一般診察はありません。
※木曜 午後は手術日検査日のため、一般診察はありません。
(手術検査のため来院する方は14:00~16:30までにご来院ください)
※水曜と木曜午後はコンタクトレンズの受け取りやお薬のみの処方箋の発行もいたしませんのでご了承ください。
【費用(税込)】
水晶体再建術(片眼)
1割負担:8,000〜18,000円
2割負担:15,000〜18,000円
3割負担:40,000〜50,000円
多焦点眼内レンズ:300,000〜320,000円
【治療期間】1日
【治療回数】1回
参考文献