【動画付き】「眼内コンタクトレンズ」って、どんな手術をするの？

荒井先生

いいえ。白内障ではなく「強度近視」の人に推奨する、水晶体を取らない治療方法です。厳格な呼び分けをしているわけではないものの、「コンタクト」という言葉が付く眼内レンズの場合、基本的に水晶体を取らない治療のことだと考えてください。

荒井先生

そういうことです。目の表面は角膜という透明な膜で覆われていて、その下に“絞り”に相当する虹彩、もっと下には水晶体というレンズがあります。眼内コンタクトレンズを埋入する位置は、虹彩と水晶体との間です。

荒井先生

ストローのような挿入器具を使って、眼内コンタクトレンズを目の中に入れます。角膜の横の部分を3mmほど、ストローの幅だけ切開します。眼内コンタクトレンズは筒状に丸められ、注射針から挿入することが可能です。丸まった状態で目の中へ挿入すると、自然に広がり、やがて安定します。

荒井先生

目の大きさによってレンズのサイズを変えていますし、4点で固定する“支え”もあるので、そう簡単には動きません。ただし、目に強い力が加わることで、回転してしまうことは考えられます。そうなると見え方が極端に悪くなると思いますので、施術した眼科医院で直してもらってください。

荒井先生

初診時に「適応検査」をおこないます。簡単にいうと、「できるか、できないか検査」ですね。目の形状によっては、眼内コンタクトレンズがふさわしくない場合もあるからです。問題ないようでしたら、改めてご予約いただき、レンズの度数などを決める詳細な視力検査をします。その人のベストな視力を測りたいので、目を酷使していない状態でご来院ください。

荒井先生

当院の場合、そうなりますね。なお、手術に要する時間は、両目で20分から30分程度でしょうか。また、手術後は経過観察が大切なので、手術の翌日、1週間後、1カ月後など、決められたスケジュールで再来院していただきます。

荒井先生

仕事などで外出可能なのは3日後くらいからでしょうか。土日などのお休みを上手にスケジューリングしてください。この間の入浴は、首から下なら大丈夫です。手術後3日間の洗髪は、“上を向いて洗うタイプ”の理容室や美容院でおこないましょう。また、水泳やマリンスポーツなどの、いわゆる「水もの」は、1カ月ほど控えてください。通常の運動やスポーツなら、1週間後くらいからできます。

荒井先生

眼内コンタクトレンズの場合、自然の水晶体を取らずに残しているので、ピント合わせが可能です。ただし、人工のレンズを目の力で可変させているわけではありません。あくまで自分の水晶体によるピント合わせです。この点は、目の表面にかぶせるコンタクトレンズと同様ですね。眼内コンタクトレンズは、基本的には老眼のない年齢の患者さんにおこなうのです。

荒井先生

いいえ。白内障用の単焦点眼内レンズには、ピントを合わせる機能はありません。水晶体を取って、その変わりとなるのが人工レンズなのです。水晶体がないので、ピント合わせはできません。多焦点眼内レンズを使えば、レンズに遠・中・近のピント機能があるので、老眼も治すことができます。ただし、残念ながら多焦点眼内レンズに健康保険は使えません。

荒井先生

老眼は水晶体によるピント機能が効きにくくなってきた状態のことで、多くは40代の半ばから始まります。眼内コンタクトレンズで近視が治っても老眼を止めることはできません。もし老眼世代で視力を改善したければ、最初から水晶体を取って埋める「多焦点眼内レンズ」で進める手もありますね。白内障予防としても有効です。

荒井先生

懸念されるのは、一般のコンタクトレンズが正しく使えておらず、目の表面を荒らしてしまっていることです。同じコンタクトレンズでも、目の中に埋入すれば目の表面を痛めません。また、災害時などに手ぶらで避難できることも大きいでしょう。何十年もコンタクトレンズを買い続けるより費用面でも有利です。ぜひ、この機会にご検討ください。